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鬼が島1  ぷ~さんとグリズリー

■easy

「は~い。H&K(へいあんきょう) G48の、はるはるで~す。

今日は、待ちに待った「俺様の野望」無人島イベントの初日!

鬼が島なんていうから怖かったけど、今日はお友達が遊びにきてくれました」

黒髪を長く伸ばした美少女が、カメラに向かって楽しげに話しかける。

H&K(へいあんきょう) G48は、「俺様の野望」でうまれたネットアイドル。

運営側もテコ入れに乗り出し、CMにも採用されるようになった。 

カメラがズームアウトし、周囲の様子を見せる。

木で作られたコテージが二棟あることを除けば、周辺に人工物は存在しない。

ここは、「鬼が島」と呼ばれる無人島エリア。

周囲は生い茂る木々に包まれている。森を抜けると砂浜があり、青い海へと続く。


彼女が向かった先には、子犬ほどの大きさの、2匹の小熊がいた。

他のH&Kメンバとじゃれあっている。

「かわいい~」

彼女が駆け寄ると、小熊は人懐っこく、彼女の膝の上に上がってくる。

「鬼が島から、はるはるがお知らせしましたぁ」



■ExHARD

巨大な熊の咆哮が、周囲の空気をびりびりと振動させる。

ほえもんさんと赤影さん、佐野は、3人ががりで、体長3mはある灰色熊、

通称「グリズリー」2匹と激戦を繰り広げる。

「すまん、1匹抜けた!」

グリズリーが3人の包囲を抜け、後方で銃を構える鷹目に襲いかかる。

とっさに飛びのく鷹目。

グリズリーの一撃は、鷹目の背後にあった電柱ほどの太さの木を粉砕する。

「10倍返しよ!」

鷹目が銃を構え、グリズリーの頭部に向かって撃つ。

放たれた銃弾は、正確にグリズリーの目を潰す。

だが、巨体は倒れず、滅多やたらに暴れ始める。

俺が熊の背後から投網をかけると、その動きが鈍る。

「GJ、佐久間」

鷹目は波野から装填済みの銃を受け取り、残った目に照準を合わせて引き金を引く。

さすがのグリズリーも、2発目の銃撃で倒れ、消滅していった。

「こっちも終わったぞ」

ほえもんさんと赤影さんは、まだ余裕がありそうだが、佐野は肩で息をして、真っ青になっている。




■easy

H&K(へいあんきょう) G48の、みーなです。

 とかげが居てコテージに入れません しくしく」

長めの黒髪を後ろでポニーテールにした美少女が、泣きまねをする。

カメラは移動し、コテージのドアにくっつく、5センチほどのヤモリを移す。

「それ、やもりだよ~」というメンバの声が後ろから聞こえる。

「トカゲでもやもりでも、どっちもいやです~。誰か取って~」




■ExHARD

「ね、ねぇ……あれ、なんだろ?」

グリズリーとの激闘を終え、一息つくためにコテージの方に行ってみると、

大きなトカゲが、コテージの階段の下で寝そべっていた。

全長3mはありそうだ。丸太としか思えないほど、胴体もしっぽも太い。

「やつには毒がある。気をつけろ」

赤影さんが教えてくれる。

我々のキャンプ地には、コモドオオトカゲがやってきた。

分厚そうな皮は、刀が通るかどうか。

有効だったとしても、後できちんと砥がなければならなくなりそうだ。


「夜になって冷えてくれば、居なくなるだろう。

しょうがないから、森の探索にでも行くか」




■easy

H&K(へいあんきょう) G48のかなえです。

さっきまで晴れていましたが、雨が降ってきちゃいました」

ショートカットの彼女は、大きなフキの葉を傘代わりに持ち、

まるでコロポックルのような出で立ちだ。

雨がぱらぱらと降っており、水滴がフキの葉を伝って地面に落ちる。

「一回、これやってみたかったんですよね」

そのままフキの葉を片手に、周囲を一回りする。

雨音が森の木々に当たり、都会では聞こえないようなメロディを奏でる。

しばらく、そのあたりを歩いていると、雨が小降りになり、止んだ。

「綺麗な虹が見えます。鬼が島から、かなえがお伝えしました」




■ExHARD

森の探索をはじめてから、30分もしないうちに雨が降ってきた。

雨風はどんどん激しさを増し、経験したことの無い土砂降りになった。

自分の手の先も見えないような、激しいスコール。

「はぐれるな!」

ほえもんさんの声が風と雨音でかき消される。

前後でつないだ、仲間の手の感触だけが頼りだ。

「ながされそう~」

後ろに居る波野が泣き言を言う。

最前列の赤影さんが何か言ってるようだが、そう遠くもないのに何も聞こえない。

「洞窟だってさ!」

前に居る佐野が伝言してくれた。

激しいスコールに打ちたたかれながら、我々はなんとか洞窟までたどり着いた。




「俺様の野望 23」第二回公式イベント。

朝廷から、三種の神器が盗み出された。

犯人は、鬼。

彼らは、本拠地である鬼が島に神器を隠したという。

だが、鬼が島には、選ばれたもの(プレイヤ)しか立ち入ることができない。

豪族たちよ、力をあわせて、神器を取り返せ!


というのが、今回のストーリーだ。

プレイヤでPTを組み、無人島「鬼が島」を探索する。

鬼が島は、PTごとに専用のエリアとして構築される。

平安京のときと同じように、途中退場すると、再入場は出来ない。

鬼が島の謎を解き、三種の神器を見つけ出せ というのがイベントの内容になる。

イベントの報酬は、施設「離宮」の建設許可。


施設「離宮」がある場合、停戦交渉を成功させやすい。

なぜなら、停戦交渉を無視すると、高確率で朝敵になり

「官位」が一時的に停止されるからだ。

官位が停止されると、官位で与えられる統率兵士数ボーナスがつかなくなる。

そうなると統率可能兵士数が半減するので、合戦で不利になる。

本来であれば、いくつかの面倒な手順を踏むことで建設許可が得られるのだが、

今回のイベントで与えられる謎を解くことで一気に条件がクリアできる。


俺は、ほえもんさん、鷹目、赤影さん、佐野、波野とPTを組んで参加している。

俺と佐野、波野の3人が、各々「頼りになる人」を連れてきた結果こうなった。

ある意味、ドリームチームだ と自負している。

だが、開催と同時に恐るべきことが発表された。


【PTメンバの今までの功績レベルに応じて、難易度が変わります】


俺たちは、超高難易度、Extra Hardの島に放り込まれた。


鬼が島に転移した先には二棟のコテージがある。

片方だけでも10人は入れそうな広さがあるので、男性用、女性用という形で提供されているのだろう。

ここまでは、すべての難易度で一緒。


だが、コテージに入る間もなく、森の中から現れたグリズリーに襲撃を受けた。

グリズリーの攻撃で、コテージの壁に大穴が開いた。

残ったコテージも、いつの間にか、コモドオオトカゲが出入り口に居座り中に入れない。

仕方がないのでトカゲが居なくなるまで森の探索をしようとしたら猛烈なスコール。

なんという、悪魔的な難易度。


正直、先が思いやられる。

次回「鬼が島2 激辛バナナと洞窟の謎」


生き残れるか、最高難度

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