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祇園精舎の鐘の声!

イベント最終日 7日目。


昨日までの戦乱が嘘のように、平安京で祇園祭が始まった。

山鉾や八坂神社の神輿が、平安京を練り歩く。


現在、イベントのポイント集計が進んでおり、祭りのクライマックスで順位が発表される。

この祭りは、ぶっちゃけ、ポイント集計の時間稼ぎ。

イベントに参加しなかった人や途中リタイアした人も祭りの参加ができる。

祭り限定のアイテムが販売されていたり、タイアップ企業の宣伝をぶらさげた山鉾が通ったり、リアルで発売される予定の、最新スイーツの「試食」があったり、飽きさせない工夫がちりばめられている。

商魂たくましい部分が見え隠れする。


俺は京都出身のほえもんに案内されながら、バーチャルの祇園祭を楽しんでいた。

さすがに現地の人だけあって、ほえもんの知識は面白く、見所を心得ている。

きゅうり食べないって初めて知った。


「ほえもんさん。これ、貰ってくれないかな?」

一振りの刀をほえもんに渡す。


『三日月宗近 国宝級業物 武力+9 耐久999/999』

刀身に三日月形の刃文を持つ、名刀中の名刀。

足利義輝を確保した際にドロップし、手に入れたのだ。


ほえもんは苦笑いし、俺に刀を返す。

「これを貰うわけにはいかないよ。

過程はどうあれ、佐久間殿がトドメを刺したのだからさ」

「いいえ、ほえもんさんに貰っていただきたいんです。

麒麟が言っていたでしょう?『絆、満たす覚悟』って。

これが、俺の覚悟です」

あのとき、ほえもんさんは、俺とPTを組むという約束の為に、

配下となりうるNPCをすべて跳ね付けた。

それが、結果としてイベントクリアに繋がった。

俺も、それに見合う覚悟を彼に示したかったのだ。

「むむ、そうか。ありがとう。佐久間殿の覚悟、確かに受け取った。

これからも、友人でいてくれよな」

ほえもんが、満面の笑みを浮かべながら右手を差し出す。

俺はその手を握る。

システムの「フレンド」ではない、本当の「友人」になれた気がした。


じつは、三日月宗近を拾った時

【部位破壊報酬】ってメッセージが出たんだよな。

きっと、義輝の右手を切り落とすと、三日月宗近が貰えるんだろう。

でも、そう考えると、他の部位破壊で別の天下5剣が貰えたのかな。

この情報はオープンにしない方が良いな。

今後、人道無視の捕虜虐待が起きそうな気がするから。


祭りは、山場を迎えていた。

【それでは、イベント結果を発表します】


【前半戦、最速脱出は、1467サーバ!

当該サーバに所属された方全員に、スキルガチャ券1枚を進呈いたします】

【脱出上位100位までの各サーバの方にも、順位に応じた金、銀を進呈いたします】


【次いで、征夷大将軍撃破・支援報酬です。

こちらは、各サーバの該当者様に、報酬として金100枚が貢献度に応じて分配されます。

対象者発表は、賞品の発送をもって、かえさせていただきます】

結局、およそ50%のサーバで将軍撃破により、松永家が勝利した。

残りのうち、半分で将軍が逃走に成功。もう半分は時間切れによる松永家勝利。

いずれにせよ、将軍は平安京から姿を消し、史実通りになった。


【それでは、最高ポイント獲得者を発表します】

【石川 ほえもんさんです!】

【石川さんは、最速脱出の1467サーバで麒麟を覚醒させた立役者です。

さらに、おしくも敗れたものの、将軍との一騎打ちが評価されました】

【石川さんの雄姿は、近日中に弊社HPにて公開いたします】

おめでとう、ほえもんさん。あの一騎打ちはすごかったもんなぁ。



【最後に、このイベントに参加されたかた全員に、

参加報酬として+2の業物を進呈いたします

ご参加 ありがとうございました】


そして、祇園祭(いべんと)は終わり、「俺様の野望」は普段に戻っていくのだった。

この1週間内政が滞ってるんだよな。

領地に戻ったら山積みになっているであろう難題を忘れるように、俺は目の前の祇園祭に集中した。

次回は、イベントまとめ

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