ずんだ餅
転移した先は、御釜という湖の上空。近くに展望台があるからそこに移動した。展望台と言っても、何か建物があるわけじゃないみたいだけど。
「あ、リタちゃんだ!」
「来るかもとは聞いていたけど……!」
観光客さんもたくさんだね。お仲間だ。
「あれが五色沼?」
『宮城県の五色沼、御釜やな』
『五色沼っていうといろいろあるけど、宮城県ではそこが有名』
『今日は綺麗なエメラルドグリーンだ』
うん。確かに綺麗な湖だ。エメラルドグリーン。あまり普通の湖では見ない色だね。とても綺麗だとは思う。でも。
「ちょっと遠い……」
『まあさすがにね』
『水質が強酸性なので危ない』
『あとはまあ火山活動とか始まったらやばたにえん』
『古すぎて鳥肌たった』
『そこまで言う?』
御釜は火口湖というものらしい。火山の火口に雨水とかそういうのがたまってできた湖、なのかな? 綺麗だから近づいてみたいのに。
でも……。うん。ここからの眺めでも十分だね。
「色はいつ変わるの?」
『もしかして、そんなころころ変わると思ってる?』
『いろんな条件で変わるってだけの話で、短時間でころころ変わったりしないからね?』
「そっか」
考えてみれば当たり前だね。人工の湖ならともかく、天然の湖で、あくまで自然現象として色が変わってるらしいから。変化の瞬間とか見てみたかったけど、きっとそれもゆっくり変化するっていうことなんだと思う。
スマホで写真を撮って……。また今度、色が違う時に見に来よう。
「それじゃあ、そろそろ帰るけど」
『もう!?』
『そんなこと言わずに晩ご飯も食べよう!』
『ずんだ餅を! ずんだ餅を食べるんだ!』
「ずんだ餅」
そうだ。そうだった。ずんだ餅、ちゃんと買って帰らないとね。問題はどこで買うか、だけど……。視聴者さんに聞いてみたら、わりとどこでも買えるとのことだった。
『強いて言えば仙台かなあ』
『地図アプリ開いて、適当に仙台を拡大して、見つけたお店とか』
『ギャンブルすぎるw』
お勧めを聞いても候補が多すぎることになりそうだし、それもいいかもしれない。
ということで、スマホで地図を開いて、仙台あたりを一気に拡大してみる。するといくつかお店が見つかった。んー……。このお店、美味しそう。というわけで、転移。
転移した先は、商店街の入り口。入り口のすぐ近くに和菓子屋さんがあるみたい。
「り、リタちゃんだ!」
「かわいい!」
「ちっちゃい!」
ちっちゃい言うな。ちっちゃいけど。
『どこに行っても人気者』
『でも早く移動しないと人ですごいことになりそう』
『すでになりかけてるw』
そうだね。ここは人通りも多いせいか、たくさん集まってきてる。写真を撮る人たちに手を振りながら、目的のお店に入った。
なんだか細長いお店。和菓子がたくさん並んでいて、二階では実際にここで食べていくこともできるみたい。お菓子、楽しみだね。
「いらっしゃいま……せ」
今一瞬だけ固まったよね?
『これはプロ根性のある店員さん』
『お客様だと愛想良く迎えたらなんか光球や黒い板を付き従えてる魔女でした』
『配信見てなかったらびびるw』
いつものことだから気にしないでほしい。
「ずんだ餅が食べたい。ある?」
「は、はい! もちろんです!」
案内に従って二階に向かう。なんだか落ち着いた雰囲気だ。窓際の席に座ってちょっと待っていたら、すぐにお餅を持ってきてくれた。
黒いお盆にお皿がちょこんと置かれてる。オレンジジュースも。今回だけの特別なおまけだって。
「どうぞ、ごゆっくり」
「ありがと」
「はい。あの、後で写真を……」
「いいよ」
「ありがとうございます!」
それよりも、お餅。早く食べたい。
丸いお餅が五個入っていて、緑色の不思議なものがかかっていた。これがずんだ餡らしい。枝豆を使ったもの、だったっけ。どんな味なのかな。
しっかりとずんだ餡をお餅に絡めて、ぱくりと食べてみる。んー……。
なんだか不思議な味だね。あんこほど甘くはない、ほんのりとした甘さだ。つぶあんとはまた違うつぶつぶした食感がある。お餅は柔らかいから、その違いが特徴的だね。あとは……豆の味、なのかな? あんこのお餅とはまた違った風味がある。
うん。美味しい。悪くない。
「もちもちもち」
『ずんだ餅食べてみたいな』
『緑色の見た目で敬遠してたけど、試しに買ってみようかな』
『出前にずんだ餅がないんですがどうしてくれるんですか』
出前については知らない。どこかに買いに行けばいいと思うよ。
しっかりと完食して、最後に店員さんと写真を撮る。お土産も買わせてもらった。ずんだ餡を中に入れた大福、だね。これも美味しそう。
宮城県もとても美味しかったから満足。今度こそそろそろ帰ろう。
壁|w・)ずんだ餅を忘れていたのは内緒だ!





