第九十九話
撮影が無事に終わり、友達と一緒に飲食店で昼食を食べていた。オムライスで有名な店みたいだけど、私は店の名前は聞いたことが無かった。
「今日、撮影したのも良い感じ。まあ最終的には編集次第ね。今回はカスミが台詞を何度も噛みまくってたね」
ヒカリさんは撮影した動画を見返しながら言った。
「上手く喋れなくてごめんなさい」
私は自分の駄目さに心が締め付けられるような思いがした。
「良いの。良いの。NG集で使うから」
「えぇー、面白くないと思うけど」
「面白いというよりも可愛ければ良し! まあ、良いじゃん、良いじゃん」
ヒカリさんは笑顔でごまかした。
「ん~」
私は自分が台詞を噛んでNGになったシーンを、知らない人が見て笑われるのが嫌だった。
「そうそう。今日さ、美術館に来るときにシェアハウスを見つけたんだよね。後で見に行きたいんだけど」
ヒカリさんは面白そうな物を見つけた時のテンションが高い感じで言った。
「ああ、時間が空いてるから行こうかな」
ユメさんは頷いて、そう言った。
「カスミも一緒に行くよね?」
「う、うん。見に行く」
疲れてたけど、何となく断れなくて頷いた。
オムライスを食べた後、皆でそのシェアハウスまで歩いて行った。
現代美術館から北方向に歩くと他路線の「六峰ニュートレラント」という駅があって、そこから脇道を進んだり、公園を通ったりして辿り着いた。
「迷いそう」
同じような住宅と道路の風景が続くので、道順が分からなくなってしまった。
「この辺一帯の一軒家がシェアハウス用に建てた家なんだって」
ヒカリさんはどこからか聞いた情報を言った。
「一軒家か」
ユメさんは辺りを見渡して呟いた。
「のぼりが出ている所は入居者募集中みたいよ。そこ、入ってみよう」
ヒカリさんは一軒家の門に置いてあるのぼりを指差して言った。
私達は近くにある外観は普通の一軒家に見えるシェアハウスに入った。




