第七十一話
私は“嫌な記憶”に対して想像をした。私なりに考えて導き出した苦肉の策を想像した。
“嫌な記憶”の中に新しい“想像の私”を創造した。
私の瞳は怒りに満ちてレッドサファイアのように赤く光っていた。
展望塔で女性に声を掛ける茶髪の男性の姿が視界に入った。
私はそのナンパ男の胸ぐらを右手で掴んで、女性から引き離した。そして、左拳をナンパ男の顔面にめり込ませた。
「ぐへっ」
ナンパ男は鈍い声を出した。鼻の骨が折れて、大量の鼻血を出した顔面にもう一回左手の硬い拳を叩き込んだ。
「ぐわっ」
脳震盪でナンパ男は気絶をしてグッタリと力が抜けた。腫れて肉の塊となった顔面にもう一回左手の鉄拳で重い一撃を見舞った。
掴んでいた胸ぐらの服が裂けて、ナンパ男は展望塔の転落防止柵を越えて外へ落ちた。三階だから、さすがに死ぬだろう……。
でも、私は展望塔の一階まで階段で降りて、外に落ちているナンパ男を視界に捉えた。
鞄の中から曲刀を取り出して、ナンパ男の胸に突き刺した。正確に心臓を貫いている。これで良い。
まだ腹が立っている。
曲刀を振り下ろしてナンパ男の首を切断した。そして、その汚い首をサッカーボールのように蹴り飛ばした。向こうの方まで転がっていくのを見ていた。
深いため息をついた。
振り返ると展望塔は無く、見知らぬ森が広がっていた。
いいや、ここは見たことがある。私はいつの間にかモーニングスターを手に握っていた。
目の前にはいつもの三人の後ろ姿があった。
私は何故か心の奥底から闘志が湧き上がってきた。
静かにモーニングスターを振り上げて、ユメの後頭部に鉄の玉の部分を強く振り下ろした。不意打ちにより一撃で兜を破壊して、頭を陥没させた。ユメはその場に倒れた。
その状況にアカリとヒカリは驚いて距離をとって、戸惑っている。
私は防御力を上げる魔法を唱えた。これで私の勝利が決まったようなもの。
素早くアカリへ近づき、モーニングスターを振り下ろした。アカリは小さな盾で防いでいるが、私は何度も何度も殴り続けて盾を弾き飛ばした。そして、剣も同じように弾き飛ばした。尻もちをついて何かを言っているアカリを殴りつけて兜を破壊して、頭を陥没させた。アカリはその場に倒れた。
残っているのはヒカリ。何かを言って弓を構えている。もし矢を撃たれてもダメージは少ない。回復は私しかできない。私の方がレベルは上。
ヒカリが構えていた弓をモーニングスターで弾き飛ばした。ガードができないヒカリを殴りつけて兜を破壊して、頭を陥没させた。ヒカリはその場に倒れた。
私は倒れている三人を横目にその場を立ち去った。
ナンパ男を殺した。
ユメ、アカリ、ヒカリを殺した。




