第六十七話
日月島の中も普通の街並みが広がっていて、色々な飲食店や雑貨店が道路沿いに並んでいる。
「わぁ、楽しそう! ちょっと寄っていこうよ。私、小物好きなんだよね。カスミも小物好きでしょ?」
ポニーテールの髪を揺らしてアカリさんは私に言った。
「うん」
それに合わせて私もツーサイドアップの髪を揺らした。
「こんなにお店屋さんがあるとは思ってなかったな」
ユメさんは珍しくいつもよりテンションが高い感じで言った。
雑貨屋さんを見まわっている途中、ヒカリさんが声を掛けてきた。
「あっ、そういえばカスミ! この前、男の人と喋ってたよね? 大学の図書館で」
「えっ? な、な、何のことでしょう」
驚いてどもってしまった。やっぱりあの時、視線を感じたのはヒカリさんに見られていたからだと思った。
「背の高い、サラッとした短髪の人。楽しそうに話していたけど?」
ヒカリさんは私の目を見つめて、詰め寄ってきた。
「は、話はしたけど、全然知らない人だから。ぶつかりそうになっただけで……」
頭の中がグルグルと思考している、ぶつかった事のある人、と説明しても分かってもらえそうにないし、どこまで説明すれば良いのか。あんまり今まで男の子と話をしたことが無かった事もあって、ふわふわと説明していると、顔が熱くなってきた。
「顔が真っ赤だよ。すぐ顔に出るから分かりやすいね。ねぇねぇ、誰なの?」
ヒカリさんは興味津々で、私の両肩に手を置いて聞いてきた。
自分でも顔が赤くなっているのが分かった。
逃がしてもらえそうにない雰囲気だったので、授業初日にぶつかった事、やっと謝れた事、その人には何も思っていない事を正直に説明した。
「なーんだ、そうだったの。まさか“カレシ”ができたのかと思った」
ヒカリさんは安心した様子で言った。
「そ、そんなのいないよ」
私は“いらない”というニュアンスで答えた。
「みんな、次行こうよ!」
雑貨屋を見終えたアカリさんがこちらに向かって言った。
「ハイハイ、すぐ行くー」
ヒカリさんは返事をして、私の手を強く握って引っ張りながら歩いた。
嫉妬……?




