第五十五話
授業の放課後、今日は大学付属図書館へ行った。
図書館内を歩いているとフロアの端っこの柱にパソコンが置いてあるのに気づいた。よく見るとこのパソコンで本の置いてある場所を検索できるみたい。今頃、気づいた。
いつも私が座る一番奥にあるテーブルの壁を背にした左側に座った。ここが安心する場所だから好き。周りに人がいないのを確認した。今日は“ぶつかった人”もいない。
以前、購入したHSPの本を鞄から取り出して、テーブルに並べた。
左に“HSPが上手く生きていくには”、右に“敏感で繊細な人が読む本HSP”、どちらも気になっているけど、右の本の方を先日、途中まで読んだ。じっくりと良く考えながら読んでいるので読むのが遅い。
私はさっそく続きを読み始めた。
暫くして“ぶつかった人”が現れて、離れたテーブルに座った。
私はチラリとそれを確認して、再び本を読み続けた。
本を読んで分かった事を頭の中で整理した。
HSPは“感受性が高く敏感すぎる人”という意味である。
HSPは病気や発達障害ではない。人の気質であり、先天的なもので成長によって変化はしない。
四つの特徴の尺度で感受性の高さを計る。それは“認知処理の深さ”、“刺激の受けやすさ”、“感情に対する反応の強さ”、“些細な刺激に対する気づきやすさ”の四つになる。
“認知処理の深さ”は物事を考える時とても深く考える事。
私は人と話すときに頭の中で何度もシミュレーションすることがある。それに一人で考え事をすることが多いかも。物事に対して何かと悩んだり、考えすぎてしまうことがある。頭の中で考えすぎて咄嗟に受け答えをする面接とかが苦手なんだと思う。
“刺激の受けやすさ”は強い光や大きな音の刺激に対する感受性や芸術に対する感受性の強さの事。
アカリさんと服を見に行った飛宮で天井の照明が眩しくて疲れたのを思い出した。珈琲を飲んで眠れなくなったのもカフェインの刺激を強く受けたからかな。すぐに落ち込んだり、心が傷つきやすいのもこれに関係してそう。
“感情に対する反応の強さ”は周りの人の感情を感じ取る事と共感できる事。
私は相手の気持ちになって考えることはあるかも。人の迷惑にならないように、って考えて行動する事が多いかもしれない。現代美術館に行った時も絵画を見て芸術に圧倒されたのを思い出した。オンラインゲームをしている時、自分のキャラにとても感情移入してしまうのもそうかも。
“些細な刺激に対する気づきやすさ”は周りの雰囲気の小さな変化や細かいことに気がつく事。
何となく周りの雰囲気とか人の表情とかを気にして確認することが多いかな。空気を読んで人に合わせたりすることもあるし、人の仕草や目線をよく見たりしているし。人に見られていると緊張してしまう。
自分はこの四つの特徴のいずれにも当てはまっていると思った。だけど、誰にでも当てはまっていそうな気もした。
また、本には次のように書かれていた。
HSPの人は感覚処理感受性が高くて敏感な為、非常に疲れやすい。人といるだけで相手を気にしてしまい疲れてしまう。だから自分を休める時間を作る必要がある。
四つの特徴によりHSPの人は、この世の中で“生きづらさ”を感じることがある。それは自分に自信を持てなくて、ネガティブな思考が多くなり、人間関係で気を遣い、疲れ果てることがある。
HSPという敏感に反応しすぎる気質を理解して、現実と向き合って行動する。環境によって不安定に上下しやすい心をケアしながら、自分のペースをできるだけ保つ事で、生きづらさを軽減させる。
「はぁ……」
HSPという自分自身の境涯に私は深い溜息をついた。




