第四十五話
夜にオンラインゲームをしていると、スマートフォンにアカリさんから電話の着信があった。
「カスミ? 明日のバイトだけど大丈夫? 行けそう? 無理そう?」
「ごめんなさい。私、もうバイトできないかも……」
「原因はアイツだよね。もう新人イジメばっかり。バイトはイジメられたりするみたいだから。悪意を感じるよね」
「アカリさんは大丈夫なの?」
「私は言われたら言い返す。カスミも何か言い返してやったら。言われっぱなしだと悔しいじゃん」
「う、うん……」
アカリさんはメンタルが強くてすごいなと思った。それに比べて私は弱すぎる。他の人よりも心に受ける傷の度合いが大きいのかなと疑うぐらい。
何であの時“ちゃんとしています”って言えなかったんだろう。何故か言い返せない。たぶん、さらに傷つけられるのが嫌だからだと思う。私はいつも負けてばかりだ。
「とりあえず、明日はバイト休もうと思っている」
私は申し訳ない気持ちと弱い自分への嫌悪感を背中に抱えながら言った。
「うん、分かった。店長に伝えておくよ。アイツがね、いつまでいるのかも聞いておく。研修って言ってたから期間が決まってるはずだし」
「うん。ありがとう」
アカリさんはこんな私に対しても優しくて、申し訳ない気持ちになった。何かで今回の恩を返さないといけないと思った。
それに比べて粟田さんは嫌いだ。人の心を平気で傷つける人間は大嫌いだ。特に私の心を傷つける人間は許さない。
許せない人間を忘れる為にどうすれば良いのか。嫌な記憶を消す方法……。以前のガイコツ男の時の嫌な記憶をどうやって解決したのか思い出してみた。
私はまた苦肉の策を試みた……。




