第四十二話
私はカップを取り出して、コーヒーサーバーに溜まったコーヒーを注いで、バニラミルクを上に浮かべた。グラスにはコーヒーをそのまま注いで、アイスコーヒーの出来上がり。
あとは……、何だったっけ。
あっ、ワッフルを忘れていた。カップを間違えて怒鳴られたことで、そっちに気を取られていた。
ワッフルメーカーを開いたら、全体が焦げていた。タイマーをしていなかったからだ。
粟田さんは焦げたワッフルを見て、思いっきり私を怒鳴り散らした。
「こんなものをお客さんに出すつもりか! 下手くそ! お前は向いていないから辞めちまえ!」
「ごめんなさい……」
私は我慢できずに泣いてしまった。
何事かと新崎さんとアカリさんがキッチンへ飛び込んできた。
「大声を出してどうしたんですか? 営業中ですよ」
新崎さんがその場を治めるように、強い口調で言った。
「指導をしているだけだ、気にしないでくれ」
「倉里さんは入ってまだ二週間だから、失敗ぐらいするでしょ。指導じゃなくてパワハラですよ」
「パワハラ? 店長候補として研修しているんだから、指導するのは当然のことだ」
「指導するにしても言い方があるでしょ。こんなに怒鳴らなくても、女の子なんだから優しく教えてあげなよ」
「身につかないだろ、きつく言わないと」
「人によるでしょ。きつく言うと身につかない人もいるから。店長に言いますから」
「勝手にどうぞ」
粟田さんは事務室へ入っていった。
「カスミ、大丈夫?」
アカリさんは私の背中を撫でてくれているのが分かった。
失敗した私が悪いんだ。全て私が悪いんだ。




