第三十八話
次のフロアでは大きなキャンバスの絵が飾られていた。
海の中で瞳がキラキラと輝いた人魚とイルカが泳いでいて、周りには色取り取りのサンゴとカラフルな熱帯魚が囲んで楽しそうに泳いでいる絵だった。
「超カワイイじゃん。こういうのを見たかったの」
アカリさんは一瞬でテンションが上がった。
「すごく綺麗だな」
ユメさんも頷きながらじっくりと見ていた。
「うん、とても綺麗な絵だね」
その絵を見て、私の感性は圧倒された。
こんな大きなキャンバスに細かい所まで描き込まれていて、動き出しそうなほどの躍動感があって、しばらく立ち止まって見入っていた。
「キャンバスの大きさはF百五十号だって。ユメの身長より大きいよ」
アカリさんはユメさんの頭に向かって指を指した。
「だいたい横が一メートル八十センチで縦が二メートル三十センチ。アカリの身長の倍はあるぞ」
ユメさんは珍しく軽い冗談を言った。
「私はそんなに低くないって」
アカリさんはムッとした表情で背伸びをした。
他にも作品が色々とあったけど、人魚の絵が一番印象に残った。ずっと眺めていたかった。
やっぱり私は分かりやすい作品が好きかな。
美術館を出た時には雨は上がり、晴れ渡った青空がいつもより一段と綺麗に見えた。
ヒカリさんが言うように、今日は芸術に触れて感性が磨かれたのかもしれない。




