第三十六話
今日は日曜日でお昼から、いつものメンバーで現代美術館で鑑賞するお誘いがあった。ヒカリさんからのメールには“芸術に触れて感性を磨こうぜ”と書いてあった。
土曜日は午前中からカフェバイト、日曜日は自分の部屋でゆっくりと休みたい。だけど、誘われると断れない。
美術館の最寄り駅の鳳空駅で待ち合わせの約束なの。
「遅くなってごめんなさい」
私の乗っている電車がまた遅延して、十分ほど待ち合わせ時間に遅刻してしまった。
待ち合わせ場所に、いつもの三人が待っていて、私が最後だった。
「いいよ、いいよ。十分ぐらい誤差範囲だから遅刻にはならないよ」
ヒカリさんは私の肩に軽くタッチした。
みんなはそう言ってくれるけど、私はみんなに迷惑を掛けることが大嫌いだから、人一倍申し訳なく思う。雨が降ったぐらいで遅れる電車って本当に困る。
傘を差しながら歩くこと十五分ぐらいで美術館が見えてきた。
外観も芸術的で、普通の四角い建物とは違って六角形か八角形の建物だった。
入口に入ると、壁一面に巨大な鯉のぼりの絵が貼ってあり、その上に沢山の小さな鯉のぼりの絵が重ねて貼ってあった。
「子供の日にイベントで来場者も小さな鯉のぼりに色を塗るっていうのがあったみたいよ。来場者もアーティストの一員となって作品を作るコンセプトね。私も塗りたかったなぁ。かなり混んでいたみたいだけど」
絵を眺めながらアカリさんは子供のように言った。
「入館は無料だし、あんまりドレスコードも気にしなくて良いから、気軽に行けるよね」
先頭をきってヒカリさんは歩いていく。
「これって芸大が集まって開催しているから無料なんだよね? 普通は千円ぐらい払わないと入れないもんね」
キョロキョロとしながらアカリさんは後をついていく。
ユメさんと私は二人の会話を聞きながら後に付いて行った。




