第二十六話
次の日、私は衣ヶ原駅で待ち合わせをしていた。相手は中学校からの親友の北上理央奈。高校三年生になってからお互い忙しくて、連絡が途絶えていた。
先日、久しぶりにリオから電話があって、今日遊びに行くお誘いがあった。電車で少し栄えた丘広ガーデンに行ってご飯を食べたり、買い物したりする予定。
「久しぶり、元気してる? カスミン! 髪型変えた?」
以前と変わらない、明るくて高いリオの声が聞こえた。
「リオ、久しぶり! 最近、ツーサイドアップに変えたの」
私もリオと同じぐらい元気に言った。でも、リオの様な明るくて高い声が出なかった。
リオと私は一緒に改札口を通って、都心方面の電車に乗った。
「最近、ずっと手が犬のにおいが取れなくって」
リオは自分の手を匂う仕草をしながら言った。
「えっ? 犬? あの、ペットの?」
「そうそう、動物の専門学校でペット学科に行ってるんだけど、トリマーの授業があると一日ずっと犬のにおいがついちゃって。洗っても取れないんだよね」
「アハハ、そうなんだ。トリマーの授業というのがあるんだね」
「実践は少ないけどね、まだ座学ばっかりで、法律の授業ばっかり」
「それじゃ来年は実践ばっかり?」
「なんかね、専門学校が三年間あって、一年は共通授業で、二年と三年が選択で専門授業になる感じ」
「そうなんだ、三年間って珍しいね」
「なんかね、トリマーだけじゃなくて、トレーナーとか、動物看護とかもあるみたいだし。動物看護もちょっと興味あるんだよねぇ」
「色々とあるんだね、その中から選択していく感じ?」
「そう。一年で一通り軽く体験して、二年に上がる時には、どの道に進むか決めないと」
私に比べてリオは自分の将来について一歩一歩進んでいる。私は自分の将来は何になるのか、まだ決まっていない。自分もなりたい職業を見つけておかないと。
丘広駅で降りて、雑貨店や飲食店が並んでいるせせらぎ通りを歩いた。この辺りは中学、高校生の時によく遊びにきたプレイスポットだ。




