第百三十七話
今日は七町珈琲でカフェバイトです。いつもよりお客さんが入っていなくて暇な雰囲気だった。
「もうすぐハロウィンだから、店で何かイベントみたいな事をしたらどうかな?」
アカリさんは何かを思いついた表情をして言った。
「良いね。でも、イベントってどんなの?」
私はお客さんに“トリックアンドトリート”と言っているアカリさんを想像した。
「例えば、カスミがゾンビに変装して、店内を徘徊するとか」
アカリさんは冗談交じりで楽しそうに言った。
「えー、私がするの? もちろんアカリさんもするよね」
私は自分だけ恥ずかしいゾンビ役をさせられるのではないかと心配した。
控室から出てきた店長が言った。
「世間はハロウィンでも何もしないよ。カボチャのケーキも無いし。なんならゾンビに変装するかい?」
「それは冗談ですけど、イベントがあったらお客さんも楽しいんじゃないかな、と」
アカリさんは自分の考えを説明した。
「分からんでもないが、エンターテイメント性を求めている遊園地とかだったら分かるけどさ。珈琲を飲みに来る客は別にエンターテイメントを求めてないんだよ」
店長は正論で説明した。
「そういうもんなんですね」
アカリさんは納得いかない様子で話を終わらせた。
「手が空いてるんだったら、外窓を拭いといてよ」
店長はそういって奥の控室に戻っていった。
店長はお客さんが少なくて機嫌が悪いのかもしれない。私は雰囲気からそう感じ取った。




