第百三十三話
「おはよう、仙人!」
ヒカリさんはいつも通りの挨拶をするように私に向かって言った。
「えっ? 何? 何で私が仙人?」
私は頭の中を回転させて何となく分かっていたが聞いた。
「だって、仙人と言えば“かすみ”を食べるでしょう!」
ヒカリは謎かけを答える芸人のように言った。
「あはは、なるほど。それで仙人ね」
私は納得した表情で言った。
「カスミ、良く聞いて! シェアハウスするよ!」
ヒカリさんは私の目を見つめながら言った。
「シェアハウス? 本当に? 前は……」
意外な言葉に私は目を丸くして驚いた。
「そう! 前に内見した一軒家。六峰ニュートレラントの近くのね」
ヒカリさんも目を丸くしてそう答えた。
「あ、あの時の一軒家ね」
私は映画撮影の合間に寄った一軒家を思い出した。
「映画を編集した時にユメの家に泊まったのよ。思いのほか良かったからさ。シェアハウスも良いんじゃないと思ったんだぁ」
ヒカリさんは説明した後に一瞬笑みを見せた。
「四人で住めば、家賃が一人四万五千円で済むから、今のアパートより安くなるし、電車代はいらないから金銭的に楽になるんだ」
ユメさんは腕を組んで説明を付け加えた。
「通学は自転車? 大学まで結構、時間が掛かるんじゃないの?」
アカリさんが会話の輪へスムーズに入ってきた。
「自転車でも良いし、歩いて三十分ぐらいかな」
ユメさんは頭を傾けて答えた。
「三十分だと喋ってたらすぐだよ。自転車は雨の日に面倒だからね」
ヒカリさんは楽しそうに言った。
それを聞いていた私は電車での通学時間が短くなるのが一番嬉しいと思った。今まで電車は遅延することが多いし、乗車時間が長いから嫌だなぁと思っていた。大学も近くなるし、バイトも近くなるし、メリットが大きいと思った。
でも、家賃が心配だった。家賃を支払ったらバイト代が数万円しか残らない。家賃だけじゃなく食費も掛かるから、ほとんど無くなってしまう。実家暮らしだと掛からない費用が重く感じられた。
私はどうしようかな……。




