第百三十一話
光が徐々に遠ざかっていく。
光と闇の狭間で、明暗のグラデーションが映し出された光の流れの中にいた。
小さくキラキラと輝く欠片が近づいてきて、仄かな光で人の姿を映し出した。それは東河さんだった。
光の中に現れた東河さんから心の言葉が伝わってきた。
僕はこの世界のこの社会で生きていくことができないと悟った。人に傷つけられると、人と話したくなくなる。僕はこの世の中に向いていなかった。
この社会は他人の気持ちも考えず、人を虐める非HSPの人間が上に上がっていくシステムなんだ。HSPの人間は虐げられ、生きづらさの中で生きている。それがこの社会の“真実”であり“現実”。HSPの人間が夢や希望を抱いて、この社会に出てもこの真実に気が付いた瞬間、絶望が襲ってくる。だから、この社会ではHSPは心を壊されてしまう。
生きづらいのはどこに行っても同じだ。HSPに向いている職業のプログラマーになろうが、デザイナーになろうが、どこに行っても非HSPが偉そうにのさばって、HSPを蹴落として上に上がろうとする。そんな酷い人間ばかりだった、今までも、これからも、ずっと。
これから先も生きづらい世の中で、こんなに苦しみながら生きるのなんて耐えられない。非HSPが作り上げた社会では生きてはいけない。僕は先に旅立ちます。
現実の自分を大切にしたいと思わなくなった。こんな世の中は嫌いだから、どうだっていい。
「HSPをイジメないでください」
僕は社会全体に言いたかった。
東河さんの心の叫びが私の心に響き渡り、涙を流しながら深く受け止めた。私もこの社会に出たときに同じことを思うかもしれない。でも、私は私なりに頑張ってみようと思う。私は東河さんにそう伝えた。
東河さんを映し出した光は儚く消えていった。
辺りは静寂に包まれ、暗闇へと戻った。




