第百三十話
「チキントルティーヤにしようかな」
リオは指をパチッと鳴らして、そう言った。
「私もそれにしようかな」
「指パチ知ってる? ドラマで流行ったやつ。美味しそうに料理をずっと食べるドラマ」
「えっ、知らない」
普段、ドラマを見ない私には疎い話題でついていけなかった。話題を合わせるために次はドラマを見てみようと思った。
テーブル席で買ってきたチキントルティーヤを一緒に食べながらリオと話していた。
「カスミンがジェットコースターを降りた後、突然笑い出したのには驚いた。驚いたというよりも怖かった」
「あはは、そういえば笑っていたね」
自分でもあの時に何で笑っていたのか分からなかった。ジェットコースターを降りた後に身体が震えるぐらいの恐怖が襲ってきたのを思い出した。
「どうすれば良いか分からなくて焦っちゃったよ」
何だかこんな感じで友達と話をするのが楽しかった。
リオがメインで話しをするタイプで、私は話を聞いて相槌を打つタイプだから、リオとは相性が良いと思った。それに私は自分から話すのが苦手だったので、つり合いが取れていると感じた。
リオと私はその後もずっと仲が良い友達だった。
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中学生の頃の記憶を映し出した五十インチぐらいの大きなスクリーンを前に大学生の私は嬉しい気持ちで一杯だった。
リオとは最初に行ったスターランドの記憶が一番印象に残っている出来事だった。年パスでほとんど毎週スターランドに行って色々な乗り物に乗った。5回目にスターランドに行った時にはジェットコースターにも乗れるようになった。
それにしても中学校ではイジメられることが無くて良かった。リオと仲良くなったのもイジメられない要因だと思う。リオには助けてもらってとても感謝している。
リオと出会って、今までの“友達”という概念が変わった感じがした。
この中学校に行くことを提案してくれた幽霊さんにもとても感謝している。
でも、リオと仲良くなって中学校生活を忙しく送っていると、幽霊さんはいつの間にか現れなくなっていた。
今になって思えば、高校二年生の“嫌な記憶”があった時に創造していた“想像の私”は自分自身ではなく、幽霊さんだったのかもしれない。この時も私を助けてくれた。私はその事に気づくと涙が溢れてきた。
身の周りを包み込む光が強くなり、目の前が真っ白で何も見えなくなった。




