第百二十六話
五十インチぐらいの大きなスクリーンには“中学校に入学した時の自分”が映っていた。
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入学式が終わって、クラス分けのプリントが配られた。同じクラスに知っている名前は無くて安心した。
教室内は静まり返っていて、小学校の時のような頭の悪い生徒がいる雰囲気とは全然違っていた。
休み時間に周りの人を見ていると、社交性のある人は前後や左右の席の人に話し掛けて、友達を作ろうとしていた。
私も友達を作って、どこかのグループに入らないと孤立してしまいそう。孤立するとまたイジメられるのではないかと不安になった。
でも、どんな人か知らない人に話しかけることができなかった。小学生の時にイジメられた影響で人間嫌いになっていた。人と話すのが怖くなっていた。
「通学は自転車?」
突然、前の席の人が振り返り、話し掛けてきた。気の強そうな顔立ちの女子だったので、苦手な感じがした。
「えっ、……電車」
急だったので。片言でたどたどしい返事になってしまった。
「電車! やった、同じじゃん」
前の席の女子は嬉しそうに笑顔になり、姿勢を戻して背を向けた。長い髪の毛を後ろで括った後頭部が目に入った。
私はプリントを見て、自分の一つ前の名前を調べた。北上理央奈という名前だった。
新しい教科書が配られて、机の上が埋まってしまった。ページをめくると、新しい教科書の匂いがした。教科書を机に置いて帰るのはいけないので、今日持って帰らないといけない。
全部持って帰れるのかなぁ……。
今日は午前中で終了なので楽だ。早く帰れて嬉しかった。
通学カバンに教科書を全て入れると、持ち上げられないぐらい重たくなった。
手で持つよりも背負うことで、何とか持って帰れそうだった。
「駅まで一緒に帰らない?」
前の席の北上さんは聞いてきた。
「うん、……良いよ」
私は頭の中で色々と考えて答えた。でも、一人で帰りたい気持ちもあった。




