第百二十三話
次の日、普段は学校を休ませないくれない母親が休ませてくれた。
母親は共働きで夕方まで帰ってこないので、家には私一人だった。
このままずっと毎日休めないかな……。
イジメが辛くて、学校にはもう行きたくない。もう逃げたい気持ちだった。何故、私がこんな目に合わないといけないのだろう。ベッドの上に座りながらうなだれていた。
朝に飲んだ痛み止めの効果が薄れてきて、左手の甲が疼いてきた。
イジメでこんな目にあわされて、心が苦しめられていた。このままエスカレートしていくと、いつか殺されるのではないかという不安が押し寄せていた。
もう死のうかな……。そうすることでこの痛みや苦しみも終わる。
この世界は酷い人間ばかりで、あまりにも理不尽で、私には生きづらかった。イジメられて心が壊れてしまったのだと思う。
なんだか、もう……、どうでもよくなってきた。
こんな世の中なんて無くなればいい。自分なんて消えてしまえばいい。
「私は貴方に消えてほしくない」
どこか遠くから声が聞こえた。女の人の優しい声。
「貴方を助けたい」
また聞こえた。耳の錯覚ではないみたい。
「ちょっと痛み止めを飲んでくる」
私はそう言って部屋を出た。
誰もいない台所に行って、不慣れな右手でコップに水を汲み、ゆっくりと薬を飲んだ。痛みが増してきた左手を眺めながら、大きなため息をついた。
部屋に戻ったら、また声が聞こえてくるのかな。暫くしたらもう声はしなくなってるかもしれない。
わざと時間をかけて残りの水を飲み、トイレにも行った後に部屋に戻った。
部屋の中を見渡して、誰もいないことを確認した。ベッドの上に座って安心したのも束の間、再び声が聞こえてきた。女の人の優しい声だ。
「一緒にお話したいの。相談にのるから聞かせて欲しい」
私はその声に違和感や嫌な気持ちは無かった。学校では友達のいない私は心に思うことを誰かに聞いて欲しかった。むしろ両親には話せない自分の胸の内を誰かに聞いて欲しかった。早く吐き出して楽になりたかった。
「うん、いいよ」




