第百二十話
春休みが終わった四月初旬、小学六年生になった私はイジメの不安を抱えながら学校の門を通り抜けた。
六年も畑島さんと同じクラスになれたら良いな。
心の中でそう思いながら、集合場所である学校の体育館へ向かった。
体育館の入り口近くの壁にクラス分けの名簿が張り出してあった。
近づいて名簿をじっと見つめていた。六年一組の欄に自分の名前をすぐに見つけて、畑島さんの名前を探した。
ゆっくりと見たかったが、後ろから他の女子の声が聞こえてきた。
バイ菌扱いの私がここに居たら迷惑だろうから、仕方なく体育館の中へ進んだ。
畑島さんと同じクラスではなかったことがショックだった。
もっとショックだったのは、後で配られた全クラスの名簿を確認したら、畑島さんの名前はどこにも載っていなかった事だった。
春休みの間に転校していってしまったのだと思う。
唯一の友達を失った私にとって、本当の地獄はこれからだった。
六年生になっても私へのイジメは続いていた。
五年生の時に同じだったクラスメイトはイジメの対象であった私の事をバイ菌だと言って嫌った。五年生の時に同じじゃなかったクラスメイトはバイ菌と言われて嫌われている私の姿を見て私の事を嫌った。
女子からだけでなく、男子からもイジメを受けた。無視は日常的で、バイ菌騒ぎや暴言、酷い時には暴力を受ける事もあった。
クラスメイトで私を庇う人は誰もいなかった。庇った瞬間、その人もイジメの対象にされるからだ。
先生にイジメに対する相談をしたかったが、イジメっ子からの報復が怖かったからできなかった。先生も私がイジメられている事に気づいていると思うけど、見て見ぬふりをしている気がしてしかたがなかった。
自分の存在を消して、とにかく空気でいることが自分を守る方法だった。




