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第百十六話
目が覚めると、私は暗闇の中にいた。
何をしていたのかな?
目線を左上に向けて思い出してみた。
頭の中で考えてみても、何も思い出せない。
まあいいか。
居心地が良いから、ここで寝転んでいよう。
のんびりとしていたいし、しんどいのは嫌だし。
上に行く元気もない、上に行くのが良いとも思えない。
上? 上ってどこ? 知らないし。
もう傷つきたくない、もう苦しみたくない。
ここにいれば安心だ。
ここなら誰にも干渉される事もない。
怖い思いをする事もない。
じっとしていられるし、深呼吸をして目を瞑れば心が落ち着く。
どこからか誰かの声が微かに聴こえたような気がした。
ん? 気のせいかな。
声に耳を澄ますと、徐々に言葉が聴こえてきた。
“HSPをイジメないでください”
その言葉に私の心は泣きそうになった。
心の中でモヤモヤとした嫌な気持ちが泡のように沸いてきた。
何も思い出したくない。
私は左右に首を振って、嫌な気持ちを無視しようとした。
上の方から光に囲まれた扉のようなものが近づいてきた。
光が段々と近づくにつれて、徐々に眩しくなり目を閉じてしまった。




