第百十三話
カフェバイトを終えて帰ってきてから、久しぶりにパソコンを立ち上げた。
藍嶺祭から約一週間半ほど過ぎて、動画サイトの藍嶺大学の公式ホームページに自作映画がアップされているのを確認した。ヒカリさんが言っていた通りだった。
二十分ほどの動画なので、ヒカリさんの映画を見てしまった。何度見ても自分の演技が微妙で恥ずかしい。
このページのアドレスを送れば良いんだよね。パソコンであまりメールを送ったことが無いので、ちゃんと届くのかちょっと心配だった。
メールソフトを立ち上げた時、一通のメールが届いた。
誰だろうと思ったら、東河さんからのメールだった。
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東河です。
メールを読んでくれてありがとう。
僕はHSPが生きづらいこの世の中で“生きていくこと”を諦めました。
何故、こんなに苦しみながら生きなければいけないのか。
この世の中ではもう生きていけない。
心が壊れないように頑張っていましたが、もう限界を超えていました。
これ以上、自分の心が傷つくのはもう嫌なんだ。
HSPが生きづらいこの世の中でHSPを助けたいと考えていた自分が、こんな状態になるなんて思わなかった。
HSPにとって、現実世界のこの社会は糞だ。この社会で自分の事しか考えない非HSPも糞だ。
HSPは生きていく上で、不遇な目に遭う事がとても多いですが、
心を壊されないように頑張って生き抜いてください。
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そのメールを読んだ私は東河さんの死を予感した。
まさか、そんなこと……。
どうすれば良いのか分からず、頭の中で冷たい液体が流れるような感覚があった。まだ心が落ち着かない。
東河さん……。
そういえば……。
私は以前、東河さんから貰った名刺を机の引き出しから取り出した。名刺に書いてある電話番号を確認した。スマートフォンであまり使った事のない電話機能を使って、電話番号を入力した。
あぁ、心臓がドキドキする……。怖い……。怖い……。怖い……。
何て言えばいいのか考えていた。頭の中で何も整理できない。思いついたことを言うしかない。
前回、会いに行った時には、そんな雰囲気無かったのに。いや、でも何かを“諦めた”って話の途中で聞いたような気がする……。
結局、コールが何回鳴っても繋がらなかった。




