第百七話
日差しの強い朝、目が覚めると大汗をかいていた。首周りから胸辺りまで、まるで水を被ったかのようにびっしょりな状態だった。
さっきまで怖い夢を見ていたから。思い出してみても怖い地震の夢。
夢の中の私は部屋の中にいて、ベッドで眠っていた。
突然、ベッドがゆっくりと揺れだしたから、すぐに“地震”と気が付いて目が覚めた。三十秒くらい揺れが続いていて、その間は浅い息しかできなかった。
家が揺れるたびに、ミシミシと音をたてているので、恐怖で私の心臓の鼓動が大きく鳴っていた。
ベッドが一瞬沈み、身体が急に突き上げられた。
「きゃあ!」
絶叫マシンに乗っている時の様に驚いて声が出た。
縦揺れの地震が三秒ほど続き、その揺れに身体が強張っていた。机の横にある本棚が倒れてきたが、ベッドの端で止まったので下敷きにならなかった。
心臓が止まりそうなくらい驚いて、息ができなかった。
ここで夢から覚めた。
何だかとてもリアルな夢だった。身体が恐怖で震えていた。夢の中だと感覚や感情が現実よりも鋭いような気がする。
汗が臭いそうだったので、シャツを着替えて洗濯機まで持って行った。
台所に母親がいたので、さきほどの夢の話をした。
「でも、悪い夢を見ると良いことが起こる前兆かもしれないわよ。そういう話を聞いたりするわ。夢診断ってあるじゃない?」
母親も同じような事があったみたいに言った。
「うん」
私は物事をいつもポジティブに考えて話す母親をうらやましく思った。
父親は私と母の会話を静観していた。
あんまり夢を見ないと言っていたこともあって、会話に入れないのかもしれない。
私は部屋に戻って、スマートフォンで夢診断について検索してみた。
地震の夢は、良いことが起こる吉夢と書いてあるが、今の安定した生活が何かで壊れそうな予感の表れ、とも書いてある。
フロイトやユングの“夢分析”は深層心理学で無意識を解釈するために研究されていたみたい。
夢分析は授業でいつか出てくるのかな。
夢は何がきっかけで見るのだろう……。
眠っている間に現実での記憶を整理整頓している時に、記憶がそのまま映し出されたり、記憶が捻じ曲げられて映し出されたりするみたい。
良いことが起こると良いなぁ。




