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HSP少女とHSPカレシ  作者: なみだいぬ
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第百四話

 三十分ほどで雨が徐々に霧雨に変わってきた。


「あの黒い雨雲は流れていきそうだな」

 ユメさんは雲の行先を見つめていた。


「撮影イケるんじゃない」

 ヒカリさんは空の様子を見て言った。


「白のワンピースだと濡れたら透けたりしないかな……」

 私はまだ雨が心配だったからそう言った。


「大丈夫、大丈夫。風邪はひかないから」

 ヒカリさんは答えになっていないことを言った。


「そ、そうかなぁ」

 私はヒカリさんの言葉に何となく頷いた。


「良し! もう撮影しちゃおう」

 ヒカリさんは私の肩とユメさんの肩を後ろから押して、バルコニーへ移動した。


 私とユメさんはびしょ濡れの柵に肘を置いて、いつ撮影が始まっても良いように準備をした。


「ラストはキスシーンで終わるから」

 ヒカリさんは私とユメさんを指差した。


「えっ? ちょっと、本当にキスするの?」

 私は本当にするのか焦りながら聞いた。


「冗談よ。実際にキスしなくても、カスミの後ろから撮影したら、キスしているように見えるから」


「良かった」


「はい、スタート!」

 ヒカリさんはスマホを三脚に設置して撮影を始めた。



「真理、明日の朝にはフランスへ発つよ」

 ユメさんは遠くを眺めながら、少しシリアスに言った。


「つ、次は……、いつ会えるの?」

 私はユメさんを見つめて悲しそうな声で言った。


「次は年末かな。帰ってこられるのは」

 ユメさんはそのまま遠くを眺めながら言った。


「もっと会いたいな。もっと会いたいよ」

 私はわがままだけど、お願いする気持ちを込めて言った。


「そうだね……。俺も会いたいよ」

 ユメさんは私の方を向いて顔を近づけた。


 私も顔を近づけて、つま先立ちでキスをするフリをした。

 これでちゃんとキスしているように見えているのかな……。

 オッケーの声が出てくれることを待っていた。

 急に頭の中が白くなってきたので、目を開けてみたがそれでも真っ白だった。

 どこかに飛んでいるような感覚のまま、全身の力が抜けた。



 気が付くと、私はベンチで横になり、ユメさんに膝枕をしてもらっている状態だった。

「あ、あれ? 私……」

 何でこんな所で寝転んでいるのだろうと不思議に思った。


「カスミ! 大丈夫?」

 ヒカリさんは私の顔を覗き込んで言った。


「う、うん。私、どうしてた?」

 起き上がると、後ろ頭に鋭い痛みを感じて顔がゆがんだ。 


「カスミ、突然倒れたからビックリした」

 ヒカリさんは撮影した動画を再生して私に見せた。


「あぁ、本当だ」

 さっき撮影したキスシーンで私が仰向けに倒れる瞬間が映っている。人形が倒れるみたいに頭を強打していた。その後にユメさんが驚いた顔が映っていた。

 頭が痛い理由が分かり、自分の後頭部を触ってみるとたんこぶができていた。撮影中に突然の眩暈めまいで倒れたみたい。

 私は自分の事よりも撮影が上手く出来たのかどうかが気になっていた。


「撮影はバッチリよ。全シーン終了、クランクアップよ!」

 ヒカリさんは親指を立てるジェスチャーをした。


「良かった……」

 私はその言葉を聞いて安心した。

挿絵(By みてみん)

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