第百二話
バイトからの帰り道、いつもの様にアカリさんと話をしていた。
「今日は全然、お客さん来なかったから楽勝だったね。でも、掃除ばっかりで逆に疲れちゃった」
アカリさんは首を左右に動かしながら歩くと、それに合わせてポニーテールが揺れた。
「そうだね。疲れたね」
私も疲れが溜まっていたからか、あまり言葉が出てこなかった。
夜の道路は昼間に吸収した熱を発していて、肌に汗がにじみ出る蒸し暑さだった。さっきまで冷房の効いた店内にいたから尚更だ。
そういえば、自動車免許についてアカリさんに聞いてみる事にした。
「アカリさんは自動車免許っていつごろに取る?」
「あー、免許ね。お金が溜まってからだね。でも、今は講義が忙しいから三回生、四回生になってからかな。免許あっても車が無いと、運転を忘れちゃいそうだからね」
「そうだよね」
「でも、みんなと一緒に車で旅行とか楽しそうだね。高速道路で行けば、“別荘”なんてあっという間じゃん」
「別荘って、あの避暑地で有名な?」
「そうそう。一回、子供の時に家族で行ったことがあるんだけど、電車とバスで二時間半も掛かるのに、車だと一時間ぐらいよ」
「そんなに違うんだね」
「本当に電車とバスでどんなに遠回りしてるんだろうって言いたくなるぐらい。車だとほとんど直線で行けるから」
「だから早いんだね」
「レンタカーで車を借りて、みんなで日帰り旅行とかも行けるね。日帰りだったら荷物も少なくて良いし。楽しみだね。まあ、免許取ってからだから先の話だね」
「そうだね」
「それじゃあね、バイバイ」
「バイバイ」
アカリさんと話をしていると駅まで歩くのがあっという間だった。




