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絶対王政の壊し方

「ヴェルサイユのバラ」の舞台で、観光地として解放されているヴェルサイユ宮殿。栄華の象徴といってもいい世界的な建物だけど、その建築理由の一つに景気対策があったんだ。


ルイ14世には、懐刀の文官としてコルベールという人がいた。歴史のテストなんかにも、場合によっては出るし、公務員試験の対策問題集にも名前を出すくらい有名な人。


コルベールは重商主義によって、フランスを景気回復を狙った。具体的な対策は貴族階級の消費の拡大だったんだ。つまり、流行を発信する事で流通を加速し、産業を復興しようと考えたんだね。


ヴェルサイユと言う装置の中で、フランスの中心たる王が流行を発信する。当然のことながら、貴族達は真似をしようと流行を追いかける。だから、流通が起こって産業の復興がなるという話なんだね。


ただし、ここで忘れてはならないのは、封建体制に止めを刺すのは外に対する経済の拡大と、内部に対する富の拡大ってこと。江戸時代は町人の活躍で武士の権威が衰え、薩摩藩の密輸交易による利益が、間接的にも直接的にも江戸幕府を傾かせ、止めを刺す機会を作った。


封建国家が最も安定するのは、農業において隆盛を誇る国土の場合だ。コメの日本、小麦のフランス。土地から算出する一定の富は、予想がつきやすく、流通経路が明快で、王や将軍が接収することができる。だけど、産業からの利益は王の目の届かないところで、金銭や富や権利のやり取りが起きてしまう。


指導者が絶対的に国土のすべてを認識できない経済体制。つまり、産業や商業の拡大こそが、実は封建国家と、王政国家にとっては最大の敵なんだ。先進国がえてして民主制に移行しているのは、王政では産業と商業の拡大が困難だからなんだね。


だって権利が中央集権なんだもん。王がすべての会社を監視、統治し、采配を振るうなんて無理。国家規模の組織の運営をワンマン社長が引っ張るなんて出来ると思うかい? トヨタやダイハツ、パナソニックだって、本社と支社と営業所、工場、流通と組織が分かれて複数の管理者、責任者がいるんだよ。


話を戻すけど、ヴェルサイユにおいて、ルイは太陽だった。地上で最も偉大であり、自分達が偉大だと信じているフランス人を統治するにふさわしかった。おっと、これは自論じゃないよ。「フランス人はヨーロッパを引っ張っていく役割を担っていると信じている」っていう教材があるんだ。佛教大学の英語教育のテキストだよ。教員になるための必須科目。


ちなみに、「魔法使いの仕事」で語っている。「アンジェリク」において、ルイ14世がジョフレ・ペイラックを魔女裁判にかけて火刑台にあげたのは、ジョフレが王を脅かすほどに金持ちで、偉大で、インテリで、女性にもてたからなんだ。太陽は自身に近づくものを焼くんだね。「昔のギリシャのイカロスは・・・」なんて歌があったけど。


完成された絶対王政において、王は誰よりも偉大であり、誰よりも金持ちであり、誰よりも魅力的でなければならなかったんだ。何しろ、フランスの中心なんだからね。ルイ14世は完璧超人以外が玉座につくのを許されない体制を自ら築きあげてしまったわけだね。


結果として、凡庸なルイ16世の時代にブルボン王朝は崩壊する。彼は鍛治仕事が好きで、陰気で善良な人だったらしい。選挙で王権を奪われ、フランスの一市民となったときも、フランスの市民になれたことをむしろ喜んでいた、ような描写がされている。遠藤周作の「王妃マリー・アントワネット」だよ。


偉大すぎる王こそが、封建体制に対する最大の敵だったわけだね。銀河英雄伝説で、ヤンがラインハルトの事を「彼が偉大な皇帝からこそ、民主共和制の最大の敵」とも言っている。つまり、偉大すぎ、完璧な王は封建社会にとっても、民主共和制にとっても滅びの使者となるわけ。


漢の一代目皇帝のリュウホウさんも、女にだらしなく、後継者問題をおろそかにした。為政者としてはかなり評価の低い人なんだな。一方、リュウホウ宿敵だった楚のコウウさんは武人としては超人だけど国は持たなかった。秦の始皇帝も偉大だけど、一代しか持たなかった。飛びぬけて偉大な人物が指導者になったとき、その国は短命なのかもしれない。ちなみに、両方ワンマン社長な気風があった。


だからといって、平成の24年間で16回も総理大臣を変える国が長命だとも思えないんだけどね。


むぅ……15回だったか?

どっちにせよ、徳川政権300年に比べれば、うっひゃー、ですね。

絶対王政の壊し方=放っておいたら自壊します。


いや、放っておいたら自壊するのは民主政治も同じだけどね。

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