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「お前は用済み」と追放されたけど、俺のことが大好きな幼馴染も一緒に抜けたせいで元パーティの戦力が崩壊した件  作者: 荒火鬼 勝利


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第163話 死の宣告


『ぐぎゃぁああああああ!!!』

 カルミアの絶叫が広間に響き渡る。


(なんだ!? なぜだ! なぜ俺がダメージを受けた!?)

 突然の激痛に、カルミアの思考は混乱と焦燥(しょうそう)で塗りつぶされていく。


 全身を覆う漆黒の(うろこ)は、炎も冷気も通さない。

 そのどちらでもない攻撃に、一瞬だけ不安がよぎったが、それも結局は効かなかった。


 ――それなのに。


(あのユークの魔法は、なぜ効いたんだ!?)

 脇腹を貫いた痛みがじわじわと広がっていく。


 視線を落とせば、突き刺さっているのは何の変哲もない石槍。

 どうやってこの(うろこ)を貫く威力を出せたのか。あれはいったい何の魔法だ?


 疑問はすぐに、怒りへと変わる。


(……ふざけやがって。俺に傷を負わせた代償、たっぷり払わせてやる!)


『こうなったらすべて、ブレスで灰にしてやる……!』

 セリスの不意打ちを警戒しつつ、カルミアは大きく|(あご)《あご》を開いた。


 体内で生み出した灼熱のエネルギーを口内にため込み、さらに凝縮させていく。


 この熱を浴びれば、肉も骨も跡形もなく消える――そう確信した瞬間。


 (あご)の下から、信じられないほどの衝撃が走った。


(なっ――!?)

 視界が揺れ、(あご)が強制的に閉じられる。その反動で激痛が(ほとばし)った。


 次の瞬間、吐き出すはずだった炎と爆風が口内で暴れ狂い、大爆発を引き起こす。


『――――――――っ!!』

 焼けた(うろこ)の匂いと、頭蓋を叩く衝撃音。何が起きたのか理解できないまま、ふらつく視界の端に人影が動く。


(――セリスっ!!)

 槍を構え、こちらへ迫って来ていた。


(まずい……いま攻撃を受けるわけにはいかない!)

 朦朧(もうろう)とした意識のまま体を動かし、なんとか防御姿勢をとる。


 だが、それは甘かった。


「『スラッシュエッジ』!」


(近接系のEXスキルだと!?)

 斜めに振り抜かれた一撃が空気を裂く。次の瞬間、(うろこ)ごと肉を深く断ち割られた。


『があああああああ!!!』

 防御したはずなのに、その上から切り裂かれ、深手を負う。


(くそっ……お前ら、早く片付けて俺を助けろ!)

 苛立ちとともに部下の方へ視線を向けると、すでに何人も地に伏していた。


 残っているのは、マーダーエイプに変身した数人のみ。だが、それもユークの仲間に押されている。


(なんで……なんで俺はあんなザコどもを部下にしたんだ!)

 怒りで震えるカルミア。だが、すぐに理由を思い出す。


(デスサイズに、サイクロプスの二人組……)

 本来なら部下にできる強い奴はいくらでもいた。


 ――だが、全員男だったのだ。

 強さではなく、見た目の好みで選んだ結果が、これだ。


(くそっ……全部俺のせいじゃねぇか……)

 心の中で悪態(あくたい)をつきながら、セリスの追撃を避けるように後退する。


(そうだっ! 上に逃げれば……!)

 翼を広げ、空へと舞い上がった。


「『フォースジャベリン』!」

 下からセリスの声。次の瞬間、槍のような衝撃波が飛来する。


『二つ目だと!?』

 反射的に腕で受け、(うろこ)で弾く。


『は、ははは……さすがに遠距離系じゃ、あの威力は出せねぇようだな!』

 安心感からか、カルミアは(あお)るように言い放った。


「《ストーンブレイカー》!」

 不意にユークの声が響く。


(っ! これは――!)

 その瞬間、嫌な予感を感じて、全力で回避する。


『ぐ……おぉっ……!!』

 だが、足に石の槍が深々と突き刺さった。


(まずい! このままじゃ全身ハリネズミだ……!)

 ドラゴンの生命力は膨大だ。この程度で致命傷にはならない。


 だが、受け続ければどうなるか――。


 ドラゴン化して以来、長らく感じなかった死の気配が脳裏をよぎり、カルミアは背筋が寒くなった。


(逃げないと……もっと上へ!)

 天井近くまで一気に飛び上がる。


 下を見れば、ユークがじっと視線を追ってきていた。


(ダメだ……これじゃ逃げ切れねぇ!)

 魔法を避けるため、カルミアは部屋中をジグザグに高速で飛び回る。


(これなら狙えねえだろ!)

 高みから見下ろし、ほくそ笑む。


(見てろ……ここからブレスで一気に焼き払ってやる……!)

 その時、下でユークが何かを始めたのが見えた。


「EXスキル発動――《リミット・ブレイカー》」


 その声は、まるでカルミアにとって死の宣告のように響いていた。


◆◆◆


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ユーク(LV.35)

性別:男

ジョブ:強化術士

スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)

EXスキル:≪リミット・ブレイカー≫

備考:まるで狩人のように、冷静にカルミアを追い詰めていく。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

セリス(LV.33)

性別:女

ジョブ:槍術士

スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)

EXスキル:≪タクティカルサイト≫

備考:はじめのうちは、ユークの指示で疑似EXスキルを使わず、わざと手を抜いていた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

カルミア(LV.13)

性別:男

ジョブ:荳顔エ壼殴螢ォ

スキル:蜑」縺ョ謇(蜑」縺ョ蝓コ譛ャ謚?陦薙r鄙貞セ励@縲∝殴縺ョ謇崎?繧貞髄荳翫&縺帙k)

備考:精神を鍛えていれば、まだ違う結果になっていただろう。

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