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Mr.NO-GOOD´EX  作者: 慎之介
EXtra
66/77

エピローグ①

悪意……。


そう呼ばれ、レイ達が戦い続けた敵は一掃されました。


ただ、世界から完全に消えたわけではありません。


世界自体……。


人間という存在自体が消えなければ、彼らはやがて姿を現してしまいます。


もう、彼はいませんが破壊神や双子神が戦うでしょう。


あらゆる世界の神や天使達も……。


弱体化したそれらは、容易に排除できます。


たとえ、討ちもらし強大になったとしても、さらに強くなった破壊神が戦えば済むことです。


何より、対処方法は確立されています。


今回の事態は、神々が対処の準備をする間に敵が強くなり過ぎた事。


仕方のない事でした。


敵の存在に気が付いた時には、何億年分もの悪意が誕生した後だったのですから……。


その負債を、彼はすべてリセットしてくれたのです。


破壊神達がいる限り、悪意は永遠に駆逐されるでしょう。


終わったわけではありませんが、平和は約束されたと言えるでしょう。




では……。


質問です。


悪意と呼ばれたそれは……。


そんなに簡単な敵でしたか?


何故、死神達は絶望に飲みこまれたのですか?


そんな、ただ魔力が強いだけの敵に……。


レイや真幸は苦戦したのですか?



そうです。


彼らは狡猾で、残忍……。


常に、レイの裏をかき続けた敵でした。


最後だから油断した?


まさか……。


ありえないことですよ。


これ以外の方法ですか?


レイが選んだ方法こそ、唯一で最高の方法です。


だからこそ、彼はそれを選んだのですから。


思い出してください。


世界の未来は……何色でした?


レイが消え去って、一週間。


潜んでいたそれは、変化を起こし始めました。


誰にも気づかれません。


それが特性だから。


****


「調整完了ですか? お疲れ様です」


世界と分離し、部屋を出てきた梓に真幸が声をかける。


「うむ。今日からは、微調整で済むじゃろう」


おや?


最高神の梓でも気が付かないのでしょうか?


「どうかされましたか?」


どうやら、気が付いたようですね。


眉間にしわを寄せ、腹部を抑える梓はどうするでしょうか?


「い……いや。なんでもない」


「そうですか……。そう言えば、オリビアから伝言があります」


「なんじゃ?」


「今度あの世界上げての祭りがあるそうで、ルー様もぜひ来てほしいと」


「わかった。ぜひ伺うと伝えてくれ」


「わかりました」


気のせい……。


では、ないことに気が付いていますね。


それでも、梓にはその選択しかできませんか。


仕方がない事ですね。


その選択は、仕方がない事。


彼女の過去を考えると、責めることも出来ません。


ですが……。


それは終末の始まり。


敵が用意していた、残酷な計画。


その日……。


梓以外の誰にも気付かれず、悪魔が発芽する。


全ての世界で同時に……。


****


その日から、十月十日……。


何もしていない女性からも……。


世界中で同時に、大勢の赤子が産み落とされました。


中絶された個体もかなりいますが……。


それでも十分な個体が誕生したのです。


その赤子達は、急速な成長をみせます。


三か月。


その期間で、成人と変わらない姿になりました。


その姿を、知っている者も多いでしょう。


灰色の頭髪と、端正な顔立ち。


そう、信じられない人数の彼が誕生したのです。


正確には彼のクローンが。


大きく違う事……。


宿っている魂は、悪意であり……。


使うスキルは、吸収ではなく浸食。


そして、心も……。


梓は、それを殺すことが出来ませんでした。


頭では分かっているのに……。


本当の彼ではないと……。


でも、ダメでした。


もう二度と、彼を殺す事が出来なかったのです。


双子神も……。


それ以外の彼を知ってる女性の神も同様です。


彼を知る女性……。


この人達に対して……。


とても見ていられません。


相手の名を呼び……。


心臓とコアに刃を突き立てる。


そして、命をすべて食らう……。


悪意は、もっとも性能の高い体を手に入れました。


それと同時に、もっとも障害となる梓の攻略も同時に行ったのです。


「母さん……」


「なんじゃ?」


「欲しいものがあるんだ」


「……」


「梓……。お前の命を、俺にくれよ」


彼の凶刃は梓を殺して、食らってしまいました。


最強の個体が誕生しました。


梓は、それに抗いませんでした……。


いえ、違うようですね。


梓は、彼を殺した自分自身を憎んでいた。


殺したいほどに……。


彼に自分が殺される……。


彼女が最も望んだことかもしれませんね。


抗うはずがありませんよね。



おっと……。


問いかけの答えを言っていませんでしたね。


答えは、真っ黒です。


世界が、終わりを迎えていきます。


完全でないとはいえ、それは最強の軍団なのだから……。


いくら最強の破壊神でも、最高神と双子神の力を持った自分を超えた弟子には勝てません。


その四人が倒された後は?


彼はもういません。


そう、レイはもういないのです。


答えは、彼が消したはずの真っ黒な未来。


何もなくなったそこでは、彼ら同士が殺し合う地獄。


何故そんな事を?


悪意は欲望の塊です。


仲間の命すら食らう対象なのです。


****


レイが消えて、約一年半……。


世界は滅びました。


これが全ての終わりです。

END2:彼は世界を救い、そして殺した

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