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ダンジョン大陸A&J  作者: Zyuka TIME
第1章・ファロ・オリジン
8/43

side-J・出現! ゴージャスな不審者

 ――

 ―――

 ――――

 ―――――

 ――――――

 ―――――――




 今のオレの持ち物――スマホと、ファロや防犯グッズの入ったカバン+DXヤッタルデー激戦仕様――以上!!


「いやなんで買っちゃったんだろ、ヤッタルデー……………」


 ショッピングモールのロゴが入った大きな紙袋に入ったヤッタルデーを目の高さに合わせて自問自答する――


 梨乃亜との対決――ファロに似合うコーディネートを選ぶ対決で、僅差で勝利したと思う――それまではよかった――

 やはりオレとファロは一心同体、ファロに似合うコーディネートを一番わかっているのはオレということなのだろう。


 ――ただそれに時間を取られすぎたため、ファロの新装備を選ぶという本来の目的を果たせなくなってしまった――


「だけど、何も買わずに帰るのもなんだかなぁって感じになって……梨乃亜のやつはヒューマノイド用の衣装をいくつか買ってたし……………」


 明日の学校でファロを含めたヒューマノイドたちのファッションショーを開催するとか言っていた。オレも、観客としてそれを楽しませてもらおうと思う――




 ……………でもそれは、


「……………明日、俺が学校に行けたらの話、だけどな―――――」




 ジ……ジ…ジジジジジ……………


 その異変は、近道のために通り抜けようとした公園に入ったところで始まった。

 公園内の街灯が不安げな音を立ててチカチカと点滅し始めた――――


 ――そして、目の前の何もないはずの空間に――ピンク色の得体のしれない、煙――? いや、霧――? そういった不定形なものが現れて広がっていく


 ――ある程度の大きさに広がると、ピンク色の大きな扉へと姿を変える――!!


 オレはスマホを取り出し、七瀬さんからもらったアプリを起動すると、


「超常自衛隊、だっけ? その人たちが来るまで持つかな?」


 特殊警棒と暴漢撃退スプレーをカバンから取り出し、ピンク色の扉を睨みつける――


 ギッ……


 扉が、少し開く……………


 バァン!!!!! ドォン!!!!!


「ア~~ハッハッハ!! 余こそがゴージャスな不審者、ノーヴェル・マシーである!!」


「―――――!!?」


 瞬間!! 突然扉が全開し、そこからでかく、派手な格好をした顔の濃いおっさんが飛び出してきた!!


 バババババン!! ドドンッ!! バッシ~~ン!!


 ド派手なおっさんが、地面に勢いよく着地すると同時に、大きな音を立ててピンク色の扉が閉まる――!!


「さて!! 日本人の若者よ!! 汝は今のこの世界とは別の世界に興味はないか!? 汝が望むのであれば余が、異世界への扉を開いてやろうではないか!! この神秘なる宝玉もつけてな!!」


 ダッ!! バシッ!!


 オレはそれに答えず特殊警棒をその男――ゴージャスな不審者ノーヴェル・マシー――に向かって勢いよく振り落とした!!

 が、特殊セラミック製の警棒は……指2本だけで止められる!!


「抵抗してくるとは――珍しいな! もしや汝、レアものか!?」


「意味わからん!!」


 ブシュ~~~~~!!


 オレは、ノーヴェル・マシーの言葉に応えず暴漢撃退スプレーを噴出する!!


「フンヌゥ~~!!」


 ボッ!!


「!!?」


 ノーヴェル・マシーは口から気合と共に吐き出した息――だとしか思えない――で、スプレーの噴出剤を上空に弾き飛ばしてしまう!!


「う、嘘………だろ?」


 ペキッ!


 ノーヴェル・マシーの手の中でオレから取った特殊警棒が音を立ててへし折れる――!!


「ハッハッハ!! 元気があってとても好感がもてるぞ!! やはり、物語の主役たるものははそういう感じでなくてはならぬな――汝、名は?」


「神城真一だ!!」


 オレは心に芽生えた不安を消し去ろうと大声で叫ぶ!!


「……」


 ……一時、沈黙……」


「ほっほほう~~君が――シンイチ・カミシロ、か……」


 オレの名前を聞いて一瞬何かを思い出そうとするノーヴェル・マシー――そして、作り笑いを浮かべて言った――


「噂、は聞いているよ――ダイチ・シシドやサツキ・アズマヤからね!」


「そいつはどうも!!」


 ビュンッ――パシッ……


 はるか上の方にあるノーヴェル・マシーの濃ゆい顔面に向かってハイキックを放つも簡単に止められる!


 クルンッ! ドスッ……


「うっ……」


 そのままオレの体は一回転させられ、かろうじて地面に立てたものの――その強い衝撃でふらつき、思い通り動けなくなる――


「受け取りたまえ、シンイチ・カミシロ」


 そう言って、動けないオレに何かよくわからない光る石を渡してくる――


「さあ、その宝玉を手に、新たな物語を見せてくれ、シンイチ・カミシロ――」


 ノーヴェル・マシーはそう言って、俺を宙に浮かぶピンクの扉の前に突き出す――


 コォ―――――……………


「ん?」


 ドバァンッ!!


「何?」


 その時突然、扉が再び全開し、凄まじい光の本流がそこからあふれだす!!


「……!? この魔力は!?」


 ゴオオオオオオオオ!!


「な……………?」




 ……………前に見せてもらった動画では、ピンクの扉の向こう側は見たこともない世界の風景だった――でもこんな光の本流が出てくるとは――ノーヴェル・マシーも想定外だったのか――? てか、魔力?




「追い詰めたよ! オ・ジ・サ・マ――!!」

「覚悟してください――ノーヴェル・マシー!!」




「女の声!?」


 光の向こうから聞いたことのない二人くらいの声が聞こえる――




 って、いうか!! ピンクの扉からあふれた光の本流、オレに向かってきてないか!?




 ―――――――

 ――――――

 ―――――

 ――――

 ―――

 ――

 ―――

 ――――

 ―――――

 ――――――

 ―――――――




 ザザンッ!!


「え……うわあああっ!!」


 オレの口から大きな叫び声が出る!!


 凄まじい衝撃!! 体が、自分が引き裂かれる感覚!!


 き、斬られた――?! ――何に!?


 体全体に落下感を感じる――落ちている? どこに――?! 地面……いや、地面なんてあるの!?


 ここは上も下も左も右も、周り中どこにも何もない、ただ真っ白な何も無い空間が広がっているだけ――――


 いや、目の前、じゃなくて、上? か? に、人の顔が見える!


「うえ――!!?」


 ゆっくりとした落下感に包まれているオレは、その見えた人の顔を凝視する!!


「オ……オレ……………!?」


 上に見えたのは、キョトンとしたオレの顔――


 ザンッ!!


「うわあっ!!」


 ―――――!?


 オレじゃない、オレを――また何かが斬った!?


 それによりオレの目の上でオレが二人に増える!?


 キョトンとした表情のオレは何もわかっていないのかキョロキョロと周りを見渡している。

 驚愕の表情を見せる、オレじゃないオレが、そのオレから離れていく――


「う、うわっ!?」


 その瞬間、オレとオレが急速に小さく――いや、遠くなっていく!?


 どこかに、運ばれていくかのように―――――――




 そして、目の前から白い光がなくなって、真っ暗になる……………




「オ、オレ!! どうなったんだよ!?」


 慌てて体を動かす――!!


 ―――――ちゃんと、ちゃんと、体は動く?


「どこか、体のどこかが、切られて無くなってるってことは――ない、ないよな!?」


 暗闇の中で体中をペタペタ触る――そのための両手は、ちゃんとある――足も、ある、五体は全部、ちゃんとあるようだけど……………


「なんかオレ、柔らかくないか? てか、いつの間に着替えたんだ……?」


 ―――――なにかが、おかしい―――――


「なんなんだよ、一体――?」


 ズドン!! ズドン!!


「え―――――!?」


 その何かを確かめる前に、あたりが激しく揺れる!!


「何なんだよ!?」


 慌ててこの暗闇から脱出する方法を探す!!


 上に手を向けると、なぜか持ち上がる!!


「ええっと、こっから出られるのか、オレ―――――」


 無我夢中で上にある何かを持ち上げる!!


「あ、え――?」


 何か、を持ち上げると――オレの目に光が戻る!!


「な、な、な!? なあ!!?」


 そんなオレの目に飛び込んできたのは、巨大な……巨大すぎる……


「ヤ、ヤッタルデー――!!?」


 だった。

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