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ダンジョン大陸A&J  作者: Zyuka TIME
第3章・
41/43

side-A・メイドサン

「こ、これって……まさか……バウザー城!!?」


 ファロは目の前にそびえたつ異形だが、どこかで見たことがある城を眺めながらやや興奮気味に言う――


「……ばうざあじょう? 何それ?」


「ケアルンアドベンチャーってゲームのラスボス、バウザーっての住んでる城だ! 初代のドットゲーム時代からゲームハードの進化によるグラフィックの変化が多少あれど、その特徴的なビジュアルは変わらず本編、外伝問わず異彩をいつもさらしている!! ケアルンシリーズをプレイするたびバウザー城を見て……ああ、いつものバウザー城だって思うのは……」


 そこでふと、思い出してしまう……ファロ本体はケアルンアドベンチャーをプレイした事はない――子供の時から自宅、またはレトロゲーム好きの両親がいる友人宅でゲームをプレイしていたのはマスターである神城真一だ、と………


「……えっと? あの建物って本来は日本にある物なの?」

「ま、ダンジョンコアを使えばあれくらいの建物を創造するのは簡単だけど、結構趣味悪い?」

「魔王城ってああいう感じじゃないの?」

「……う~~ん、どうだろ?」


 ファロの言葉が途切れたのを見て、アニスとレイナがバウザー城を見た感想を言う――二人とも、日本を見たことがあるので、日本の風景とバウザー城がミスマッチだと思っているのであろう――


「あ、いや、バウザー城はゲームの中だけの存在だよ」


「ゲームって、リノアちゃんがもってきたチャトランガみたいな?」

「チャトランガのボードとか駒があんな形しているの?」




「あの……ここって、魔族圏との境にある山脈の麓、だよね……魔族に見つからない、かな?」


 ガクガクと足を震わせながらどうにか地面に立っているタリアンが、ゆっくりと話かける。


「あ、大魔王のレイナガルデがいるから安心、なの、かな……」


 三人娘はタリアンの話を聞いてる雰囲気はない……


「あのビューティードールってのは……僕らとは別の国からやってきたって事?」


 タリアンは疑問に思っていた事を口にするが、その質問に対する答えはなかった。




「とりあえず、行ってみればいいじゃん」


 そう言ってレイナが先頭を飛ぶファロに続いて城に近づいていく―――――


「タリアン、行くよ!」


 忘れていなかったのか、タリアンに声をかけるアニス――


「あ、あああ、待って! 勇者アニス!!」


 ドタン!


 慌てて女の子たちを追いかけようとした王子様は、ふらついて大きな音を立てて倒れてしまった……


『おいおい、大丈夫か? 王子はん……』

「そ、その声は……あ、あの空飛ぶ乗り物をあやつっていた声の主だね……手を、貸してくれたありがたいんだけど……」


 特注の、軽量化された槍を杖代わりに立ち上がろうとするタリアン。


 ――わけのわからない謎の物体に乗って、空を飛んで高速移動――そんな初めての衝撃体験にタリアンは完全に腰を抜かしている――


 だけど……王子……というか、男としてのプライドがあるので……女の子に手を貸してもらうという事はできない……………


『いや、悪いな。わいは、ちょっと大きくて手ぇ貸すっていうのはちょっと無理や』


 ガシャガシャ! ガチャン!!


 そう言って飛行形態からロボット形態へ変形するヤッタルデー――


「うわ……」


 その大きさと、ファンタジー世界ではあまり見られない異様な姿にタリアンは目をまん丸くする。


「……僕は……僕はここに宣言しよう……絶対にベリア王にはならない。王位は兄上、ジータ兄上が継ぐべきだ……大魔王レイナガルデがこんな途方もない戦力を持ってるなんて……………」


『わいもファロも目的があってレイナや、アニスについとるだけで、戦闘に参加するつもりはあらへんけどな……』


 そんなヤッタルデーの言葉を聞いて安心できるほど今のタリアンは心穏やかではなかった……


「そうだ。兄上がベリア王になったら聖大陸に留学に行こう、そうしよう!!」




「出て来い! バウザー!! ライア姫を返すんだ!!」


 城の前ではファロが大声でそんなことを叫んでいる―――――


「あ、ゴッメ~~ン! ここにはライア姫なんて、いないの~~!」


 ファロの声に反応してか、バウザー城の城門が開き中から女性が三人出てくる―――――


「……えっと、また女が増えた? いや、あれは…………キュキュとリュリュ!」


 知っている顔を見つけて弱々しく手を振るタリアン――




「あれはタリアン王子? なんでここにいるのかしら?」

「それに、アニス様に……もしかして、大魔王レイナガルデ!? 何しに来たの!?」


 メイド姿の2人が、こちらを見ながら言っている。


「あ、知り合い? 私にはあのヤッタルデーくらいしかわからないんだけど?」


 肩の上に狸獣人のアニマロイドを乗せた少女がメイド姿の2人に質問を投げかける。


「というか、あんな謎の巨大モンスターを知っているだけですごい事だと思うけど?」

「えっと? やったるで? あんなモンスターは見たことないです! ゴーレムとも違いますし……」


「いやあれ、ロボットのヤッタルデーでしょ? この間、アニメ第3期制作が発表されてた……」


「浪花激戦ヤッタルデーはついこの間、初回10分延長で――と言ってもその延長分の10分は大戦と決戦のおさらいパートだったけど――アニメ第一話が放送された! それを知っているってことは――君は日本人だな!!」


 ファロがそう言った少女の前に飛んで行ってそう尋ねる――


「そうよ! 私は野原六花! 異世界転移してバウザー城を作り上げた女子中学生!!」

「そしてボクは六花を守るために存在するアニマノイドのケアルン! で、君とヤッタルデーを作り上げた君のマスターはどこにいるのかな?」


「オレのマスター? マスターの真一なら日本にいるけど?」


「え? 日本?」


「ああ、オレのマスター神城真一は、異世界転移ものの主人公なのに異世界に行かない系主人公だからな!」


 そんな感じで日本出身者同士で話しを始める。




「アニス様! 大魔王レイナガルデのところで苦労していませんか?」

「大丈夫よ。うまくやっているわ」

「辛くなったらいつでも戻ってきていいのよ。勇者の軍にいたからといっても貴女はまだまだ幼い女の子なんだから」


 大人びた様子のキュキュと、アニスと同年代に見えるリュリュ――二人のメイドは勇者アニスとガールズトークを始め、


「ねぇねぇ! キュキュちゃんリュリュちゃん! ちょっとお願いがあるんだけど!」


 そこへ魔王のレイナも加わる――




「……………兄上は、どこにいますかぁ…………? ナパーラ将軍やマジュリッツ宮廷魔術師殿でもいいですけど…………」


 女の子たちの会話に加われないタリアンはヤッタルデー以外の同性の存在を探す――が、女の子たち以外の存在はバウザー城のモンスターぐらいだった。




「あ、ジータ王子たち? ジータ王子たちなら、最近この付近で起こっている住民の誘拐事件の犯人が魔族の一団だってわかったからそってこへ討伐に行っちゃったよ」



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