side-A・天に舞い上がる少女
「ヤッタルデー・スペシャル・ぶった斬り!!!!!!」
ズバズバズバズバズバン!!!!!!!
斬って、斬って、斬りまくる!!
アニメでよく見る巨大ロボットの超絶技を、本来なら見る事の無い角度――コクピットという本来ならパイロットである主人公・大河虎太郎でしか見ることがない光景に少し興奮しながらも、崩れていく土人形を見つめる――
「さて、ノヴァ――君には日本に帰ってもらうわ」
「“ひらけ! 異世界に通じる扉”」
バアン!!
レイナがピンク色の扉を出現させる――
「あ、真一君たちがいる場所に送ればいいんだよね?」
『あ、待って――グランドに移動する――!』
レイナの問いかけに、異世界からの声がそう答えた後、ドタドタという音が数秒続く――
「あ、じゃあその間に……」
アニスがノヴァの体をまさぐり、
「見つけた!」
「ああ!! 僕のダンジョンコア~~!!」
「ごめんね、返してもらうよ!」
『グランドに移動したし、超常自衛隊の人たちも到着したし、もういいぞ!』
「はい!」
「うわああああああああああああ!!」
アニスが開いたピンク色の扉の中にノヴァを投げ込む!!
これ以降、ノヴァの――北川藤士郎の物語はside.J――日本――で紡がれていくこととなる――
「さ~~て、君は、どうするかな……?」
「このまま我が町のシンボルとして就職してもらおうかな?」
「復活速いな、グロービス兄弟……」
フルカスが突っ込む横で、グロービス兄弟が崩れた土人形から這い出てきた美少女アンドロイド、ポラリス4世を囲む――
「……ノヴァは……?」
ポラリス4世はキョロキョロとあたりを見て、ノヴァを探す――――――
「あ、もう日本に送ちゃった!」
「………そう、ノヴァの物語は、終わったんだ………」
すくっと立ち上がるポラリス4世―――――
「君には、我が港町ファトスのシンボルとして働いてもらいたい」
「ビューティ・ドールならよい宣伝になるだろう!」
口々に好き勝手なことを言うグロービス兄弟を無視し、ポラリス4世は―――――
コウッ……………
突然、光に包まれる!!
「え!? な、なに!? この光!?」
「これは、魔力の光………!?」
「……これで……ノヴァの物語はお終い……天宮ミュージアムに寄贈される美術品はちっぽけな物になっちゃったな……………」
「な、何!!」
「ちょ、ととと!!?」
「これは!?」
「これの魔力、もしかして……ノーヴェル・マシーのおじ様、の……?」
ドビュウ~~~~~ン……………
天に舞い上がる少女―――――光に包まれた少女が天高く飛び去って行く―――――それは、一つの物語の終わりを告げていた……………
「え? あの子、どこへいったの!?」
「消えちゃった……?」
グロービス兄弟がキョロキョロとあたりを探すが、ポラリス4世の姿はどこにもなかった……………
「……天に昇って行った……天上にあるものと言えば、レイナガルデ様の浮遊魔城をのぞけば、一つしか、ないはずじゃ………」
物知りばあさんがレイナのそばで話す――
「空に浮かぶ天使の所有する美術館……天宮ミュージアム……ヴェルちゃんの所、か……」
「そう、かの天使エルジュバーンのが創造したとされる天宮ミュージアムですじゃ……美術館、とはいっても美術品などはあまりない、という噂じゃが………」
「そうだね、だからヴェルちゃんのお父さん……ノーヴェル・マシーのおじ様は昔から天宮ミュージアムに寄贈するにふさわしい美術品を探していた………………………」
ここから先は少し蛇足になる……………
ほんの少し前から――大陸の空に浮かぶ一つの建造物が確認されていたという……
だが、飛べる者であっても案内のない空では簡単に迷い、そして墜落する………
その当時、その建造物にたどり着くことができたのはある二人の魔族の青年だけだったと――――――
後に、圧倒的な武力を行使し大陸を制する大魔王レオンガルデ。
その友人で、後に魔王軍の強者と言われながらもその性格の悪さで重要な役職には就かなかった変わり者、ノーヴェル・マシー。
レオンガルデはその建造物――天宮ミュージアムに興味を持ち、自身の能力を使って同じような物――自身の居城、浮遊魔城を作り上げる――――――
曰く、モデルがあるなら再現することは可能―――――
ノーヴェル・マシーは、天宮ミュージアムに住んでいた天使の少女に恋をし、口説き落としたという―――――
曰く、余の魔人生は彼女にささげるためにあったのだ!! と――――――
結果として、天使の少女――エルジュ・バーンとの間に子をもうけたノーヴェル・マシーは魔族内の爪弾き物とされ、魔王候補から外されることとなる……………
それならばと、ノーヴェル・マシーは天宮ミュージアムにふさわしい美術品を集め、立派な美術館にしてみせよう、と大陸中から価値ある物を探し始めた―――――
その時に、異世界の文字――Another Languageで書かれた書物を見つけたという―――――
―――――それは、異世界から来た英雄の物語―――――
「ママ! パパから新しい物語が贈られてきたみたいだよ!」
「あらら~~、またまた異世界人の物語みたいね」
「え? どんな異世界人? 英雄? 道化? 速く読んでみてよ!!」
「慌てないでよ、ヴェル……そうね……ええっと、どれどれ……『私はポラリス4世。男性型のアンドロイドを女性型に魔改造した美少女アンドロイドだ。そんな私にある使命が与えられた。私のマスター北川藤士郎ことノヴァの異世界活動をサポートすることだ…………………………
☆☆☆☆☆天に舞い上がる少女☆☆☆☆☆
~~了~~
『次回予告』
『皆様、わたくし侯爵令嬢レティシアの大活躍にはご満足いただけたかしら? 次のおはなしでは、わたくしがもっともっとも~~っと大活躍いたしますわ』
『そんなわたくしの前に新たなるお邪魔虫が現れてしまいましたわ。まったく、わたくしの前に立ちふさがるというのであれば、誰であれ、容赦は致しませんわ』
『あら? 貴方は……いえ、貴方様は、まさか………』
『次回、ヒ~~ヒトクヒトク貴族学院物語――ライバルは、王子様――皆様、ごゆるりとご覧ください』




