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side-A・芸術を欲する物
「芸術……?」
「そう。この勇者の塔の扉を開けるにはこの私、ポラリス4世に芸術をささげる必要があるの」
そう言うのは作り物としか思えない小さな美しい人間、ポラリス4世――噂に聞くビューティ・ドールというヤツだろうか?
「なんで勇者になるために何で芸術が必要なんだ?」
フルカスが、当然の疑問をそのビューティ・ドールにぶつける。
が、ポラリス4世はその整った表情を変えることなく淡々と言ってくる。
「芸術をささげることができないのであればこの塔の扉を開ける事はできません。お引取りください」
「ふざける――」
「まあいいじゃねえかフルカスの旦那よぉ!」
「つまりは何かしらの芸術ってヤツを見せてやればいいんだろ?」
「そうだな。おと者よ」
「ここは我らグロービス兄弟の出番ですな。兄者」
「その通り! かつて魔国の大貴族まで昇りつめたものの、没落してしまった我がグロービス家……」
「だがそんな中でも守り通してきた芸術があるのだ……」
「今こそ見せよう――かつて大魔王レオンガルデ様さえも魅了したという」
「「グロービス家最高の芸術を!!」」




