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ダンジョン大陸A&J  作者: Zyuka TIME
第1章・ファロ・オリジン
13/43

side-J・決着?

 コト………




 キラキラキラキラキラ――ドビュ~~ン!!


「くっ!!」


「わわわわわ!! ダンジョンコアが!!?」




 七瀬さんの一撃を食らったノーヴェル・マシー――!! その一撃を食らった場所から――キラキラと光る宝石がいくつも零れ落ちて……………突如、重力に逆らい空へと飛び去って行く!!


 クルッ! スタンッ!!


 その勢いに押されてか? それとも、未知なる物への警戒か? 七瀬さんは一回転するとバックステップで後ろに下がる!!




「ダンジョンコア!! それもあんなにたくさん!?」

「ちょっと!! 返しなさいよ!! あれらはレイナちゃんのものよ!!」


 少女たちが慌てて空に昇ってく宝石に手を伸ばす!




「えっ? ダンジョンコア……って、これが!!?」


 真一はノーヴェル・マシーから渡された宝石を手に取り空を飛んでいくそれらと見比べる――


「そうよ! あれらこそレイナちゃんのお父様――大魔王レオンガルデの力の源!! ダンジョンを生成し、ダンジョンモンスターやダンジョンアイテムを生み出す奇跡の魔宝石!!」

「ノーヴェル・マシーのおじ様が大陸各地で盗んでたの!!」


 レイナが翼を出して飛び上がるが、追いつかない!!


「なるほど!! つまり!! あの宝石があれば……麿の後宮に住まう魔法少女たちにも魂を与えることができる、ということでごじゃるか!?」

「拙者としてはダンジョンを創るという方に、魅力を感じるでござるが!!」


 野次馬の中もそれが何でどういうものなのか理解しているかしていないのか……飛んでいく宝石に向かって手を伸ばす者もいる……………


 が、いくら手を伸ばそうとも……空を飛ぶことが可能でも――つかみ取ることができるものはいなかった――




「“扉”よ!!」


 バン!!


「あ!! 待て!!」


 空に昇っていくダンジョンコアに気を取られた一瞬の隙にノーヴェル・マシーが例のピンク色の扉を再び出現させる!!


 七瀬さんがそれに向かって静止の声をかけるが――!!


「まったく……今回の物語は開始早々トラブル続きだな――でも、ま、画一的な物語ばかりでは娘たちも飽きる――それならば、これもまた良し、とするべきなのであろう――」


 パシッ! カチャン!! トントントントントン!!


 七瀬さんは足元に転がっていたバズーカ砲を蹴り上げツールに装着する――! そのまま何発も砲撃する!!


 ――が――


 バタン!!


 ノーヴェル・マシーはピンクの扉の中へ入ると、そのまま向こうへ消えてしまった……


 ……その後何発もの砲撃が閉まった扉に命中するが、ナイトゴーレムとは違って壊れるような事はなく、ピンク色の扉は静かに、溶けるように消えてしまった―――――




「……………三尉! 衛星を使ってでも飛んでいった宝石の行方を調べろ!! 二曹! 見物客の皆さんに解散してもらえ!!」


 七瀬さんは部下の超常自衛隊員に指示を出すと、こちらに向かって歩いてくる。


「……真一君……このロボット――ヤッタルデーは、本当に暴れるような事はないんだろうな?」

「え? あ、はい!」

「わいは暴れへん! 暴れへんで~~!!」


 ヤッタルデーは今も残っているドローンからの電撃で、動きを封じられている。


 バチバチバチ……………


 七瀬さんがスッと手を挙げるとドローンからの電撃が止る。


「あ、おおきに、助かったわ……」

 電撃から解放され、やっと動けるようになったヤッタルデーはおれいを言って、たたずまいをなおす。


「……改めて見ると、違和感がものすごいな。実物大のアニメロボットが……どこかのイベント会場とかそうい場所ではなく、こんなごく普通の公園にこうして立っているなんて」


 七瀬さんはそう言いながら立ち上がったヤッタルデーを仰ぎ見る。


「……ただ、現実世界にはヤッタルデーの敵となる宇宙海賊はいない。ヴィランのいないヒーローは、一般人にはただの脅威だ」


「ええっと……わい、警戒されとる?」


「ま、しばらくの間は僕らの監視下に置くことになるだろうな。聞くところによると、元々は自衛隊所属の戦闘機だそうだから問題ないだろ?」


「あ、ああ……そ、そやな……………」


「さて、次は……………」


 七瀬さんはそう言うと、ヤッタルデーよりもはるかに厄介そうな相手に目を向ける――




「レイナ、ダンジョン大陸に帰らないの?」

「待ってよアニスちゃん! 散らばっちゃったダンジョンコアを取り戻さないと!」


「それについて、話しがある。いいかな? お嬢さん方」


 ――レイナと、アニス――幼い魔法少女という感じのレイナと、鎧を纏い女騎士という感じのアニス――


「勇者アニスと、魔王レイナ、でよかったかな?」


「違うよ! レイナちゃんはまだ魔王候補――まあ、お父様である大魔王レオンガルデの愛娘だから、もちろん最有力後継者候補だけどね!」


 七瀬さんの言葉に、見た目通りの無邪気さで答えるレイナ――しかし、アニスは……


「ギンガ・ナナセ、さんでよかったですよね? 貴方は、遅れていらっしゃったのに随分と事態把握が速くありませんか?」


 かなりの警戒しているようだ――


「そちらの……シンイチ・カミシロさんとの会話や、貴方の部下の方々との会話ではそこまで詳しい説明がされてるようには見えなかったですが?」


 そう言って、疑惑に満ち溢れた目を、七瀬さんに向けている。


「疑うのも仕方がないが、僕はここに来るまでに逐一この場の情報を得ていた。例えば――」


 そう言ってスマホを取り出し操作する七瀬さん――


『ギャギャピピピ~~ガガガガガジャジャジャンピ~ピ~―――――』


「?」

「……??」


 七瀬さんのスマホから出たのはおよそ理解できるところのない雑音――


「これは、送信されたいた状況のサウンドデータ。これに対してノイズイレーザーやサウンドエンチャント等のアプリを使えば――」


『次世代の超絶美女大魔王~レイナちゃんによる前回までのあらすじ! 大陸全土で巻き起こったダンジョンコアの大量盗難事件! ある者は言た! もしかしたら死んじゃったお父様―今は亡き大魔王レオンガルデの意思がまだまだ生きているのだろうと! またある者は言った! 怪盗王シーフロードの仕業ではないかと! だけど違う! この美女魔王名探偵であるレイナちんは助手の勇者アニスちんと共に誰よりも早く真相を知ろうと頑張た!』


「と、こうして必要なデータだけを抜き出すことができる」


「レ、レイナちゃんの声!? なんかすご~く、早口だけど!?」


「倍速再生だからね。で、だ――異世界、ダンジョン大陸から来たというお嬢さん方……少し話しを聞かせてもらってもよろしいか?」


 そう言って厳しいまなざしを2人に向ける――


「え~~っと……どうしよ? アニスちゃん?」

「……この人、信頼できるかどうかわからないけど……話を聞くだけ聞いてみたほうがいいかもね」


 アニスは七瀬さんを睨み返すと……胸元から飛んで行った宝石たちと同じ――ダンジョンコアを取り出した――


「………?」


「“鎧解除”」


 パアァ!


「――!」


 アニスが再び光り輝き、光が収まるとその体を覆っていた鎧がなくなってここに来た時と同じ服装になる――


 ただ、剣は持ったままだ――


「もし私やレイナに危害を加えようというのなら、遠慮なくこの件をふるいます――よろしいですか?」


「わかった。それで構わないよ――」


 七瀬さんは剣を構えるアニスに対しバズーカ砲から例のツールを外し、敵意がないことを証明するために両手をあげた――


「それに、せっかく日本に来たんだ。日本の料理ぐらいは食べて帰ってもいいんじゃないか?」


「「料理……?」」


 ふいに出た、七瀬さんの言葉にものすごく2人はきょとんとした反応を示す――


「こちらもそちらから話を聞かなきゃいけないんだ――料理ぐらいは出させてもらう。異世界、日本の料理の味を土産に持って帰ってもいいんじゃないか?」


「異世界の、料理――?」


「言っとくけど! 魔王候補のレイナちゃんは思いっきりグルメだからちょっとやそこらの料理じゃ満足しないからね!」


「――わかった――真一君、君も来い――そこにいる小さいお嬢ちゃんや、ヤッタルデーについての話しも聞きたいしな」


「あ、はい! わかりました!」


 七瀬さんの静かだが、有無を言わせぬ言葉に即答する真一――

 

「オレも、いいのか? いや、でも―――――」

「わいらって、もの食えんのかな?」

「そういうことを知るためにも、話を聞いておいた方がよさそうだ」


「決まりだな。二曹! 僕はこの子たちをアメシストの連れていく――何かあったらすぐそこに連絡を入れてくれ」


「了解しました!」


「アメシスト?」


「僕が知る限り一番美味い料理がある所さ」


 七瀬さんは微笑みながらそう答えた―――――

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