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【本編完結】学園の二大王子がクラスの天然女子に興味を持ったようです。ってそれ俺の彼女っ!!  作者: 路地裏の茶屋


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王子と天然姉妹のすれ違い

 『コスプレ衣装専門店 メ☆サ☆イ☆ア』で水着を買った後、せっかく電車で遠出したのでこの辺で結構有名なショッピングモールへ寄る運びとなった。紙袋を大事そうに抱えながら、ルンルンで日葵が跳ねる。


「ひっさしぶりに来たでっす!」


「そういや、俺も久しぶりだなぁ。適当に買い食いでもする?」


「賛成です。熱いので涼やかな物が食べたいです。家で作る参考にもしたいですし、羊羹が食べたいです」


「フワフワのおもしろアイスをテレビで見たんだよ。虹色なんだよイックン」


 ずいっと顔を寄せる姉妹の肩を抑える。


「どっちも食べればいいさ。電車の時間もあるから、さっさと行こうぜ」


 さっきまで、水着でおしゃれをしていたかと思ったら、すでに頭は食い気に支配されているようだ。

 夏休みというだけあって、人も多い。帰りの電車のことも考えてすぐに移動しよう。


 フードコートに到着するが、ここも人が多い。


「あっ、イックン。あれだよ、虹色アイス。何味かは日によって違うから外れも多いと大評判だって」


「悪評じゃん。大丈夫かそれ?」


「和菓子もありますね。目の前で切り分けてくれるようです」


 普段落ち着いていて、見た目も大人っぽい咲月ちゃんも日葵みたいになっている。こういう所は姉妹だよなぁ。


「喉が渇いたんだけど、スムージーも並んでるな」


「それなら、三人で分かれて三人分買えばいいんだよ。私並んでくる。集合はここでっす」


「あっおい。大丈夫か?」


「アイスはトレーを借りるから大丈夫でっす」


 そう言って日葵は列に突撃してしまった。そういう意味じゃないんだかが……今の日葵は髪を解いて少し化粧をしている。つまり……普段よりも印象が違うというか……大人っぽいというか。素直に認めるのは恥ずかしいが、めちゃくちゃ可愛い。普段は子供っぽい雰囲気で誤魔化されているが今はちらほらと視線を感じるほどだ。

 まぁ、漫画じゃあるまいし、変なことにはならないだろう。


「私も、和菓子を買ってきますね」


「何かあったら呼んでくれ」


「私も来年には高校生ですよ。買い物位ちゃんとできます。樹さんはスムージーをお願いしますね」


 いまいち会話が噛み合わないな。多少心配だけど、流石にこの人通りの多い場所でなにかがおきるわけはないだろう。むしろさっさとスムージーを買って戻ってきた方がいいか。そう思って歩き出そうとするが、背後から声が聞こえる。


「興味ありません」


「そういうなよ。君、一人? 暇してるんじゃない?」


「俺らが奢るよ。なんなら、レストランとか行こうよ」


 振り返ると……別れてから、わずか数歩で咲月ちゃんがナンパされていた。まぁ、咲月ちゃんも化粧をしているし、中学生には見えないよなぁ。って呆れている場合じゃない!


「すみませーん。その子のツレでーす!!」


 というわけで、ダッシュで助けに行く羽目になったのだった。やっぱ、日葵も回収しに行くからなっ!



※※※※※



「お疲れ様です。錬坊ちゃん」


 スーツ姿の男性がメモ帳を取り出しながら、仏頂面の錬に語り掛ける。


「坊ちゃんは止めろ。今日はこれで終わりだよな」


 学園の赤い王子こと錬は、家の仕事の手伝いでショッピングモールを訪れていた。

 海外からの輸入品を多く取り扱っている赤井グループの仕事についての勉強の一環で、系列のショッピングモールを訪れていた。

 カジュアルな私服姿とはいえ、海外のブランド品で身を固め、モデルのような高身長にアイドル顔負けの美男子である彼を見て周囲の女性はため息をつく。


「えぇ、おかげでテナントの視察は大成功です。すぐにお車を用意しますね」


「そうしてくれ。ここは居心地悪いからな……いや、タンマッ。やっぱやめだ。今日はこれから自由だろ? 俺は自分で帰るから、じゃあなっ」


「ちょ、坊ちゃん!? どうしたんですか!」


 ()()が目に入ったのか、錬は走りだし、付き人の男性はポカーンとその後ろ姿を見ていた。


 一方、樹が咲月を助けるために数人のナンパ男達に奮闘しているとは露知らず、日葵は鼻歌を歌いながら列に並んでいた。

 ソワソワと肩をゆらし、ついでにワンピース越しに胸もフヨフヨと揺れている。周囲の男子はその光景に目を奪われるが、何かをしようという者はいなかった。しかし、列が進むにつれて店頭のメニューが見えるようになると、笑顔で目をキラキラさせてメニューを見つめる日葵は抜群に可愛く、小動物のような庇護欲をそそらせる、化粧のおかげもあって、美少女と呼ぶにふさわしい彼女にどうにか近づきたいという男が現れるまで時間はかからなかった。コップにそそいだ水がこぼれるように緊張が崩れ、周囲の男性の一人が話しかけようと日葵に手を伸ばした。


 その腕が掴まれる。


「卜部っ」


「およっ。誰かと思えば赤井君でっす。どしたの?」


「今こいつが…………」


 首をかしげる日葵、顔を真っ赤にした状態で停止する錬。腕を掴まれた男はその隙に逃げていくが誰も気にしていない。


 学園の王子様にして女性恐怖症を持つ赤井 錬。生まれて初めて好意を持った女子の私服、しかもおめかし付きのダブルパンチにて完全にKOされてしまったのだった。

更新遅れてすみません。

ブックマークと評価ありがとございます。

感想も嬉しいです。

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↓ハイファンタジーでも連載しています↓

奴隷に鍛えられる異世界生活

― 新着の感想 ―
[一言] ナイスタイミングでもありバッドタイミングでもあるなー。 更新お疲れ様です! 今回も面白かったです。次回も楽しみにしています。
[一言] 更新お疲れ様ですー! 今回もおもしろかったです! 次の更新を心待ちにしておきます!!
[良い点] 色々とニアミスしてるw 場合によっては両手に花状態になってそれはそれで面白そうだけど、赤井くんの場合人間不信になりかねないから、(いっくんのための)おめかし姿で許してあげましょうw
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