母さんのお出かけ
月曜日、母さんは友達に用事となり出かけることになった。
じいちゃんは家で、のんびり日向ぼっこいる。
父さんは仕事の用意で、着替え中だ。
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じいちゃん「クスリは辛いが、少しずつ良くなっているわい」
母さん「すみません、どうしても会わないといけない人なんです」
じいちゃん「1日くらいいいさ、行っておいで」
母さん「ありがとうごさいます」
父さん「随分、めかし込んでるな」
母さん「あら、ダメ?」
父さん「別に……そのネックレスするのか?」
母さん「うん、ハートの首飾り!似合う?」
父さん「いつ見ても不思議だ」
母さん「何が?」
父さん「そのネックレス、穴がある斜めに突き抜けてる」
母さん「そうよ、こんな形なのよ……ごめん、お先に失礼します。幸洋は一時預かりしますね。幸洋の経験にもなりますし……バス持っていきますね」
バス、お仕事だよ
母さん、幸洋のお供だ。
バス 『はい、行ってきます!』
カッパ『がんばりな!』
クマ 『またな!』
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午前中 母さんは幸洋を託児所に預けると、公園に来ていた。
天気は晴れ、暖かく春の息吹を感じている。
そこに、待ち人が来た。
お日様『ここからが、本編です。私、お日様こと太陽がお相手しますね』
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母さんは公園のベンチで誰かを待っています。
もうすぐ春……か。
ん?誰か来たわね。
あら、月が言ってた人間だわ!
確か……
母さん「悟!久しぶり」
悟 「おう」
母さん「少しだけ、良いわね」
悟 「そのつもりだ」
母さん、父さん、皐月、悟……
この四人に何かあるのね!
母さん「まず、ゴールドガードおめでとう」
悟 「え!」
母さん「見つけてしまったのね」
悟 「……」
母さん「このガードって、アレよね」
悟 「あははは……」
母さん「笑うだけ?」
母さん、やけに強気だわ。
それに、目が怖い。
変ね?
家族じゃあない二人が何故?
母さん「やっぱり、私も歳をとった……だからね」
悟 「いや、お前はまだ魅力的だ」
母さん「ゴールドガード!」
悟 「魅力的だ!アイツに捕られた時は、信じられなかった。だけど……」
母さん「……私は最低な女ね」
悟 「いや、それは俺もだ」
母さん「私が父さんを責めない理由……」
悟 「俺がアイツを助けた理由、それは皐月のためでも、アイツのためでもない」
母さん「そのネクタイピン、してきたのね」
悟 「ああ、矢のコレだろ?……約束だからな」
母さんが、首飾りを外すわ……大きなハートのアクセサリーに、変な穴があるわね。
……私、目もいいのよ!
悟 「まだ、持ってたのか」
母さん「当たり前よ!嬉しかったんだから。外してよ」
悟 「……外した」
あら、あの大きなハート……あっ!
あの、悟から貰ったネクタイピンと、一つになったわ!
ハートを矢で射抜かれてる!
……全てが、わかった!
悟 「俺はバカだ。お前と言うのがありながら、皐月に手を出し……創った」
母さん「私はそのお陰で父さんと結婚出来たけどね」
悟 「だけど、お前とは続いていた」
母さん「うん、父さんを愛している!これは本当!だけど……それだけでは、渇いた心は満たされなかった」
悟 「……」
乾いた心……か。
???『相変わらず、良い二人』
!!!
これは……品の感覚!
どこ?
???『見えないの?矢に射抜かれたハートのワタシが!』
えっ!
でも、さっきまでは……
???『ワタシは、一つになると品の魂が宿るのよ。ワタシはエンジェルハート……長いからハートでいいわよ』
こんなスタイルの品がいるなんて、私も勉強不足ね。
母さん「これからは、私も子育てが始まる……と言うか始まっているし……もう、終わりにしよう」
悟 「……メール、ツイッター、ラインはそのままが条件でのむ。そして、終わりではなく凍結でお願い出来ないか?」
母さん「……メール、ツイッター、ラインはいいよ。凍結はダメ……終わりよ、あっちはね。今度からは健全な関係、いい?」
ハート『フフフ……健全っね。どうかしら?』
アナタ、どういう意味?
ハート『お日様が知らないとはね……お聞かせしましょうか?ワタシの話を』
……わかりました。
聞きましょう。
どんな話かしら!
ハート『まあまあ、慌てない!』
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第二十九話
火遊び
人間の愛情には、許されるものと許されないものがあります。
許されるものに、人間は始めは満足をします。
「満足で十分ではないの?」
はい、人間は……
与えられたモノには、いずれ満足しなくなります。
刺激……これを求めるんです。
「刺激?」
そうです。
今回の二人の刺激は、みんなから祝福され約束された仲に満たされず、軽蔑、不潔……みんなから罵られバカにされ……それでも、突っ走っている二人……
こんな二人を人間は……
火遊び
と、言うんです。
「火遊び!火傷するあの?」
はい、その通りです。
愛の炎で、燃やす……おバカな比喩ですよ。
実際は燃えないのに、燃えるのはその人の積み上げたモノだけなのに!
「積み上げたモノがなくなる……これは、燃えるといっしょです。火遊びは間違いありませんよ!」
……火傷の跡がない火遊びは……
何度も繰り返す。
人間の、煩悩が燃え尽きるまで何度も何度も!
だから、人間の時間は汚れているのかもしれません。
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ハート『そんなモノですよ。お日様』
……そうね。
悟 「それじゃあ、仕事に戻る。ピンはそのままにしておくから」
母さん「うん、これからは、友達でね」
悟 「……逢えるだけマシか」
母さん「またね!これは貰って帰るわ」
《夕方》
父さん「ただいま」
母さん「おかえり」
幸洋 「うわーん」
父さん「どした?」
母さん「バス、忘れちゃた。今度の土曜日に幸洋見てて取りにいくから!」
父さん「……俺がいくよ」
母さん「大丈夫、ケジメつけた」
父さん「その話は止めよう、卵が先か鳥が先かになるから……」
母さん「……はい」
父さん「今日、いい?」
母さん「うん」




