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91.クエスト報酬

≪司書ギルドクエスト 考古学者の手伝い をクリアしました。報酬を司書ギルドの職員と相談してください≫

≪司書ギルドのクリアクエスト数が1増えました≫


 アナウンスが流れたので、クエスト自体はここで完了のようだ。

 まだ、果物を入れたボウル等がお爺さんの家に残っている。

 後で取りに戻るとして、先に報酬の話を済ませてしまおう。

 俺は先ほどお爺さんと話していたギルド職員と話を続ける。


「報酬についてですよね。確か依頼書には要相談とありましたが」

「はい。この度は我々、司書ギルドの力不足によりエドウィー様に書物を提出してもらえなくなってしまいました。すでにエドウィー様の印象が悪いギルド職員では対応出来ず、同じような事が続けばエドウィー様との関係の悪化は避けられなかったでしょう。それを加味して、報酬の方を決めさせていただきたいと思うのですが、何か要望はありますでしょうか?」


 そう言われた俺は1つ思いついたことがあったので、聞いてみる事にした。


「もし可能であればですが、王都図書館2階の奥の部屋にあった本で、読む人によって内容の違う本というのがあったと思うのですが、この本は続きがあるようなので、その位置の詳細を調べる事はできませんか?前に聞いたときに本部ならば、位置を把握しているかもしれないと聞いたのですが」


 俺のお願いを聞いてギルド職員が答える。


「そうですね。本部に問い合わせればわかるかもしれませんが、返答までにかなりの時間がかかると思います。それでもよろしいでしょうか?」

「はい。かまいません」

「わかりました。それでは3ヶ月後までには返答があると思いますので、そのくらいの時期にもう一度、司書ギルドに来てください。あと、それだけでは報酬として足りませんので、他に要望はありますでしょうか?」


 俺はギルド職員の言葉に再び考えるが、すぐには出てこない。

 そもそも、今回のクエストを受けた動機が言語スキルの為であり、それについてはすでに達成している。

 知識の国の情報を聞くのもいいが、どちらにしろ、ある程度の戦闘力が無いと近くの国に向かうのも難しそうなので今聞くことでもない。

 

「もし、特に要望が無いのでしたら、こちらで金銭かそれらと同等のアイテムを提案いたしますが?」


 俺が悩んでいるとギルド職員が提案してきた。

 今すぐに欲しいものがあるわけではないので、ギルド職員の提案を受け入れる。

 すると、「支部長と相談いたします」と言ってギルド職員は奥の部屋に入っていった。

 しばらく待っていると、ギルド職員は一枚の紙を持って戻ってきた。


「これが今回のクエスト報酬で提供できるものの一覧になります」


 そう言って持ってきた紙を渡してきた。

 最初は金銭でもらった場合の金額が書かれていた。

 ・・・20万Rラーンってだいぶ高いな。これは情報を持ってきてもらったうえでこの金額がもらえるのはとてもうれしい。


 しかし、ここで安易に金銭へ飛びつくのは早計だろう。

 金銭で20万Rラーンという事は、それと同価値の物がこの一覧にあるという事だ。

 もしかしたら、なかなかお目にかかれないレアアイテムもあるかもしれない。


 俺はもらった一覧を入念に見ていく。

 どうやら、ブックカバーや栞等、小物を大量に頼むことができたり、技能本や魔法教本なども一覧の中にはあった。

 ギルド職員に確認してみると、20万Rラーンの価値になるまで選んでいいらしい。

 俺はギルド職員に確認を取りながら、吟味していく。


 しばらくして今回の報酬を選択した。

 

・空間魔法の教本 初・中・上

・小説の写本 数冊


 今回はこれを頼むことにした。

 他にも気になる報酬はあったが、やはり司書ギルドならではの物の方がいいだろうと思いこれらを選択した。


 空間魔法は基本属性の魔法ではないので、価値が高い上に同じ3冊でも本の厚さが3倍近く多い。

 このことから図書館で少しずつ読んでいくより、手に入れられる時に手に入れて、自分で所持して好きな時に読んでいく方が効率的であると判断した。

 

 もう一つは単純に欲しいと思った本をもらう事にした。

 お婆さんの古本屋に無かったものを中心に数冊、写本を作ってもらう事にする。


 空間魔法の写本には時間がかかるという事なので、ゲーム内時間で明日以降なら受け取ることができるとのこと。

 話し合いも終わったので、お爺さんの家に引き返すことにした。


 お爺さんの家に戻った俺は地下室へ向かう。

 地下に降りるとお爺さんが相変わらず、資料とにらめっこしていた。

 相変わらず熱心なようだが、初めて来たときよりさらに気合が入っているように見える。

 一応、声をかけてからボウルを回収することにした。


「すいません」

「おー。なんじゃ?もう戻ってきたのか?」

「そういうわけではなくて、慌てて出てきたのでいくつか置いていった物があったので取りに来ました」


 お爺さんは俺の言葉を聞いて、机に置いてあるボウルに目をやる。


「そういえば、そこのボウルは小僧の物だったのう。なら、さっさと持っていくがいい」

「わかりました。それでは持っていきますね」


 俺はすでに空になったボウルをアイテムボックスにしまう。

 俺が片づけていると、お爺さんが聞いてくる。


「そういえば小僧は最後のページを見ていた時、目で追っていたように見えたが?」

「あっ、はい。俺は言語スキルを持っていて、不完全ではありますが内容を読むことができるので」


 俺がそういうと、お爺さんは俺の腕をつかんできた。


「お前はあの文字を読み解くことができるのか!言語スキルとはなんじゃ!」


 そういえば俺が言語スキルを持っていることをお爺さんに言った記憶が無い。

 ……失言したかもしれない。

 案の定、お爺さんに付き合う事になりログイン時間の制限いっぱいまで文献の研究に付き合う事になったのは言うまでもない。


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