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76.生産職の紹介

 だいぶ短いです。

 

昼食後、再びログインした俺はハーメルたちを連れてマイルームを出る。

総合ギルドに出るので、そのまま転移用の扉のそばで待機する。

しばらく待っていると、転移の扉からドンハールさんが出てくる。

それに続いて見知らぬ男女が1人ずつついてきていた。


「よう! 待たせたか?」

「いえ。そこまで待っていません」

「そうか! じゃあ、こいつらの紹介をするとしよう」


 ドンハールさんはそう言って、後ろからついてきていた二人の背中をたたいた。


「こいつらはリアフレらしくてな。男の方は鍛冶師でイトスって名前で、こっちの女の方が裁縫師のミーシャだ」

「よろしくお願いするッス!」

「よろしくお願いしまーす!」

「ああ、今回はよろしくお願いするよ」


 二人と話してみるとどうやらハルと同い年くらいのようだ。

 イトスは狼、ミーシャは羊の獣人らしい。


「今回は俺と従魔たちの装備を作ってもらうという事だけど、問題ないんだよな?」

「全然問題ないッス。俺たちイベント直前からプレイできるようになったから買ってくれる人が少ないんっスよ」

「イベントのおかげで素材は溢れかえっているんですけど、アイテムボックスの肥やしになるかNPCに売るだけで張り合いないんですー」


 どうやら、学校の成績が芳しくなかったようで、補習組だった二人はかなり遅れての初ログインになったようだ。

第二陣が来ているわけでもないので初心者が作ったものを買ってくれる人は少ない。

うまくいかなくて困り果てていた2人は玉砕覚悟で、生産職で有名なドンハールさんに突撃したそうだ。


運よくドンハールさんのクランに入れた2人はレベル上げに勤しんでいた。

しかし、同じものの数打ちが最も効率的にレベル上げできるらしいのだが、ずっと同じものを作り続けるのが苦痛だったようで、音を上げ始めていた。

そんな時に俺たちの装備を作る話が来たのは願ったりかなったりだったそうだ。


「それより、本当に俺たちが作った装備でいいんスか?」

「そうですよ。そんな大したもの作れませんよー?」

「いやいや、作ってもらえるだけで助かるよ。どうしても従魔の装備はオーダーメイドでしか頼めないからな」


 2人には練習がてらの作成という事で、かなりの格安で作ってもらうことになっている。

 その辺りの話はすでにドンハールさんが話をしていてくれている。

 それでも了承するぐらい同じ作業の繰り返しは嫌だったようだ。

 俺たちの顔合わせも済んだところでドンハールさんが声をかけてきた。


「それじゃあ、あとは当人たちの問題だ。もう俺は必要ないだろう。じゃあな」

「ありがとうございました。ドンハールさん」


 用事を終えたとばかりに、ドンハールさんは再び転移の扉に入っていった。

 残された俺たちはひとまず総合ギルドの隅に寄って、今後の相談をする。

2人と相談した結果、俺とハーメル、ヌエの装備を作ってもらうことになった。

 理由は2つほどある。


 1つはエラゼムの進化がもう少しだからだ。進化先によってはせっかく作ってもらったものがすぐに使えなくなってしまう可能性がある。


 もう1つは学生ならではの問題だ。要するに夏休みがもうすぐ終わってしまうのだ。

 デザインや設計の問題で全員分の装備を作る時間を取れない可能性があるからだ。

 すべての武具の作成を並行して行うと共倒れになって、全ての装備の完成が遅れてしまう恐れがある。

 その為、使わなくなる可能性があるエラゼムの装備は後回しにしてもらうことにした。


とりあえず俺が持っている素材を2人に預けることにした。

2人に従魔の採寸をしてもらっている間に一度マイルームに戻る。

俺が持つ素材のほとんどを持って再び二人に合流した。


「チュウーーーーーーーーー!」

「いやー。かわいいですねー」

「ダメっすよ! 人様の従魔で遊んじゃ!」

「いいじゃないですかー。減るもんじゃないんですからー」


 なにやら、以前ハーメルだけがリスポーンした時の状況に似ている。

 俺は声をかけて止めに入る。


「すまないがその辺りにしてもらえるか?というかギルド内で騒ぎすぎだろう」

「すいませーん。つい可愛くって!」

「まったく。あんだけダメって言ったのに……。クライアントは大事にしないといけないってドンさんも言ってたじゃないっすか!」

「ごめんなさーい」


 一応、反省しているようなのでこの件はここまでという事にした。

 ドンハールさんからの紹介だし、話した感じは悪い奴らじゃなさそうだしな。

 持ってきた素材を2人に預け、俺も採寸をしてもらってからフレンド登録して別れた。

 俺はハーメルたちを連れて総合ギルドを後にするのだった。


 前後の話に付け足すには中途半端だったので

これで1話とさせていただきます。

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