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74.王都図書館

 少し短めになります。

 司書ギルドを出て図書館に向かう。

 先ほど説明を受けたとおりにカウンターにいる職員に声をかけた。

 ギルドカードを提示して図書館の中に入る。

 王都の図書館はファーストの図書館のように、背の高い本棚が立ち並んでいる。

 入り口から続く廊下の先に階段があり2階がある事を示していた。

 俺はファーストの図書館で最初に入館した時と同じように一通り見て回ることにした。

 

 ……全体を見て回ってみた感想は期待以上だったといえよう。

 蔵書のうち、技能本の類はほとんどなくなり、その代わり小説・伝記が増えている。

 そのうえ、歴史書や地理に関する本が追加されている。少なくはあるが、絵画や美術品に関わる資料もあるようだ。

 これならしばらく、読書には困らないな。ダンジョンランクがCランクになるまではここで読書できそうだ。


 図書館を回った俺は一度図書館を出る。

 今回のログインでは図書館にたどり着く前にだいぶ時間を消費してしまった。

 今から読書を始めても中途半端なところで終わるのは目に見えている。

 それなら先ほどの古本屋に顔を出そうと思ったわけだ。


 図書館を後にして古本屋まで来た。

 今回はお店の中にいてくれたので、大声を出さずに済んだ。


「すいません。早速、来ました」

「おや?もーかい。勝手にしていきな」


 許可を得た俺はひとまず手前の本から整理をすることにした。

 中ほどから本の塔を持ち上げ、下の本を確認していく。

 やはり長く埋もれていたからか、すでに復元すらできないくらいの損傷のものも多い。

 そういったものはお店の外に出し、まとめて破棄するつもりだ。


 今回はそこまで時間が無いので、修復不能の物をある程度破棄して、店の中にスペースを確保しようと思う。

 俺はお婆さんから紐とハサミをもらい、劣化した紙束と化している本をまとめていく。


 ……………………。


 しばらく片づけてようやくお店の入り口辺りがスッキリしてきた。

 これ以上続けていくとログイン時間を過ぎてしまうのでここまでにしようと思う。

 俺は掃除を眺めていたお婆さんに声をかけた。


「すいません。今日はこの辺にしようと思います」

「ほんとーによくやるねー。お金にもならないのに。後から請求されても1Rラーンもやらないからね!」

「わかっています。そんな詐欺まがいの事はしません」


 古本屋を出た俺は総合ギルドに向かい、マイルームへ転移した。

 ハーメルたちは思い思いに過ごしてくれていたようだ。

 おやつを追加しているとドンハールさんからメールが来ていたのに気づく。

 メールの内容を確認すると、以前約束していた生産職の紹介をしてくれるという。

 現実世界で明日の午後くらいの時間を指定されていた。

 場所はできれば王都が良いそうだ。

 今は俺も王都にいるので、こちらとしても都合がいい。俺はドンハールさんに了承のメールを返してからログアウトすることにした。


 一時間の休憩後だと中途半端な時間になってしまうので、夕食後にログインすることにした。

 どうやら、ゲーム内は夜のようだ。

 マイルームに従魔たちを置いていき、図書館に急いで向かう。

 王都の図書館に来てカウンターにいる職員に声をかける。

 ここの図書館は人数が多いからか、閉館時間は無いらしい。

 俺は意気揚々と小説エリアに足を運ぶ。


 小説エリアでザッと蔵書を確認する。やはりというか、なんというかすでに読んだ本もそれなりに置いてあった。

 ただ、ファーストにあった現実世界の新人小説家の作品は無くなっていた。

 その代わり、中堅どころの小説家が書いたと思われる小説が追加されていた。

 俺が現実世界の読書でもお世話になった作家の名前もチラホラあった。

 俺は逸る気持ちを抑えながら、最初の1冊を手に取った。


 ……………………。


 ひとまず現実世界の作家が書いた作品から読んでいるが、どうやら手慰み程度の作品が多いようだ。しかし、その内容がかなり面白い。

 ゲームの中での作品だからか、普段の作品とは違ったジャンルのものを書いている本も多い。

 例えばホラー作家が書いたコメディ系の小説なんて秀逸だ。

 確かに面白い小ネタが挟んであって、笑えるポイントも多い。しかし、書き方の節々にホラー作品の怖がらせる表現や書き方の技法が使われていたりしてちぐはぐな印象を受ける。しかし、さすがプロというか、それがまたいい味を出していて、面白い作品になっている。


 このような現実世界では絶対に書くことが無いだろう作品がそれなりの数、存在していた。

 作品を提供したというよりは、作家たちも息抜きがてらに書いているのかもしれない。

 こうして作品の背景を考えるのも楽しい。ここでしか読めないという特別感があるのもいい。

 俺はワクワクしながら新たな本を取り出して再び席に着く。


 ……………………。


≪司書のレベルが上がりました。≫


 ログイン時間いっぱいまで読書をした。今日はこの辺で終わりにすることにした。

 イベントでの経験値が残っていたのか、司書のレベルが上がった。


 しかし、イベントで読んだ本は、司書の目録には記録が残らなかったので、司書ギルドのランクは上がらなかった。

 ここの蔵書を考えたらそれも時間の問題だが。

 俺は図書館を出て総合ギルドからマイルームに戻りログアウトした。

 


 祝20万字突破

 ちりも積もれば山となると言いますか、感慨深いものがあります。


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