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71.派生スキルと王都行きの馬車で

 前の話に少し追加した分があるのでそちらを読んでからでないと、少し違和感を覚えるかもしれません。

 前の話の追加を読んでから、またこの話を読んでいただけたら幸いです。

 次の日、朝食を食べ終えて再びログインした。

 今日はDランクのダンジョンに挑戦しようと思っている。

 目星はつけてあるので目当てのダンジョンへ向かうことにした。


 俺が今回挑戦するダンジョンは迷宮ダンジョンだ。

 大きな理由としては途中に帰還用の魔法陣が存在することが大きい。

 他のダンジョンでは中ボスやボスを倒さないと帰還用の魔法陣は現れない。

 しかし、このダンジョンはどのフロアにも必ず1つは存在するのだ。

 Dランクの下見としてはとても都合がいい。

 ただ、1つ懸念するとしたら、トラップが他のダンジョンより多めという点だろうか?

 とりあえず、百聞は一見にしかずということで早速挑戦してみよう。

 俺は従魔たちを連れてダンジョンに踏み込む。


 ……………………。


 迷宮ダンジョンの中は初級ダンジョンの迷宮フロアと酷似している。

 しかし、床は砂が敷き詰められており、いかにもトラップがありますと、言わんばかりだ。

 俺たちはハーメルを先頭に通路を進む。


 通路を進みながらトラップをよけたり、戦闘を繰り返しているが、今のところ手こずることはない。

 このダンジョンで出てくるモンスターはスライム系・ゴブリン系・スケルトン系で、初級ダンジョンの迷宮フロアとほぼ同じだ。

 ただ、こちらのモンスターの方がレベルが高いからか、より多彩なスキルや動きをしてくる。

 それでもイベントで大幅にレベルアップしたため、問題なく対処できている。

 強いて言うなら、トラップが多いことで戦闘中にトラップに引っ掛かり、余計なダメージを受けているくらいだ。


 迷宮ダンジョンなのでモンスターが来る場所が限定されており、問題なく戦えているが、広いエリアが存在するダンジョンではそうはいかない。

 早めにドンハールさんに生産職のプレイヤーを紹介してもらい、装備を整えたいところだ。


 ……………………。


 しばらく進んでいくと下に降りる階段があり、その横に魔法陣がある。

 このダンジョンは最初のフロアだけは階段と魔法陣が同じ場所にあるが、それ以外のフロアでは、別の場所に存在するようになる。今回は様子見なので、ここの帰還用の魔法陣で戻るつもりだ。

 ただ、戻る前に覚えたての魔法を試し打ちすることにした。


 少し階段から離れた位置で魔法を使用する。


「ライトボール」


 俺がそういうと俺の手のひらに光球が現れる。これはイベントの時にドンハールさんのパーティーメンバーが使用した魔法だ。

 他のボール系の魔法と違い、ライトボールは攻撃魔法ではない。一定時間手元にとどまり、暗闇を照らす魔法だ。

 しばらくして光球が消滅したので、次の魔法を行使する。


「ウインドボール」


 これはほかのボール系の風魔法版なので説明は不要だろう。 


≪基本6属性の魔法を使用しました、派生スキル「無属性魔法」を習得しました。≫


 ウインドボールを放ったところでそんなアナウンスがあった。

 ステータスを確認すると確かにスキルに無属性魔法が増えていた。

 何気に初めての派生スキルの習得だ。習得度による習得ではないため、組み合わせさえ合っていれば習得できる。その分条件が厳しいのかもしれないが。



「無属性魔法」LV1  アクティブスキル


 アーツ  


・LV1  ボール 消費MP10 ・・・魔力の球を生成し、相手にぶつける。


 ……何かいい名前はなかったのだろうか。

 確かに属性がないのだから間違ってはいない。しかし、言う時にこれで本当にいいのか不安になるアーツだ。 

 俺は再び手を構えてアーツを使用する。


「ボール」


 すると、目には見えないが何かが手のひらから飛んで行った感覚があった。

 その見えない何かは壁にぶつかり土煙を上げた。


 アーツ名を見たときはどうなるかと思ったが、意外と使える。

 見えないというのはそれだけでアドバンテージだ。

 牽制を入れるのにこれほど適したものもないだろう。


 俺は思わぬ副産物に喜びながら、帰還用の魔法陣で戻ることにした。

 ラビンスに戻ってきた俺はマイルームに入り、果物を食べながら所持品を確認する。

 それほど消費していないが、ダンジョンの1階層でしか戦闘をしていない割には消費してしまった。


 今の装備でも消費アイテムによるゴリ押しである程度は進めそうではある。

 しかし、消費アイテムの量を考えればトントンか少し利益が出るかくらいで、かなりの非効率だ。

 ここは無理をせず、おとなしく装備ができるまで戦闘は控えよう。


 従魔たちと食事をとりながら次の予定について考える。

 ダンジョンに潜るのを後回しにするなら、王都の図書館に行ってもいいだろう。

 もともとイベントで大幅なレベルアップをする前の予定では、イベント終了後に直行する予定だった。


 思ったよりレベルアップできたので、一度Dランクダンジョンを見に行くことにしたが、挑戦しないのであれば元の予定通りに王都へ向かうとしよう。

 俺は食事を食べ終えたところでマイルームを出た。


 マイルームから出て、総合ギルドのカウンターに向かう。

 カウンターにいた職員に王都への行き方を聞く。

 すると、大きく分けて2つ方法があると教えてくれた。

 自分の足で向かう方法と馬車を使う方法だ。


 これだけ聞くとファーストとラビンス間の時と同じように聞こえるが少し異なる。

 まず、馬車が最初から使用できる点だ。今まで使用していた馬車は一度その経路を自力で進む必要があったが、今回はお金さえ払えば最初から使用できる。


 ギルド職員には馬車を勧められた。理由としては距離の問題だ。

 モンスターがほとんど出てこないので、気にせず飛ばせるらしいが、それでも馬車を使って丸々一回分のログイン時間を使うらしい。

 さすがにその距離を歩いていくのは嫌なので、ギルド職員のおすすめ通りに馬車で行くことにした。

 ただ、すでにダンジョンに挑戦した影響でログイン時間をだいぶ使っている。

 俺は食品アイテムを補給して、一度ログアウトすることにした。


 ……………………。


 昼食を食べ終えて再びログインする。

 ギルド職員に教えてもらった場所に向かい馬車に乗った。

 料金は前の馬車より高く3000ラーンほどかかった。

 馬車に乗り込むとすぐに馬車は王都へと走り出す。


 しばらく馬車の旅なので持っている本を読み始める。

 馬車に乗っているときなどにしか読まないようにしているが、そろそろ持っている本が底をつきそうだ。

 時々、露店などを確認しているが、あまり成果はあげられていない。

 さすがに、最初の町や迷宮都市で何度も本が売られているのもおかしいとは思う。

 なので、王都で補給出来ることを願うばかりだ。


 ……………………。


 ハーメルやヌエは爆睡しており、エラゼムは黙して鎮座している。


 持っていた本を読み終えた俺は景色を眺めながら従魔たちについて考える。

 イベントでは結局新しい従魔をテイムする機会はなかった。

 俺が館ダンジョンに時間を割きすぎたのもあるが、これといったモンスターに出会えなかったことも大きい。

 俺としては焦ることもないと思うが、そろそろもう1匹仲間にしてもいいとは思っている。

 せっかく絆のペンダントでパーティー枠が拡張したのにまったく生かせていないのも、あのウサギに申し訳なく思う。

 せめてCランクダンジョンに挑戦するときにはフルパーティーにできれば、かなり楽になるだろう。

 

 物思いにふける俺を乗せた馬車は、淡々と王都に向かって走っていく。


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― 新着の感想 ―
テイマーギルドに成長報告はしなくていいのかな
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