70.マイルーム
再び総合ギルドに戻った俺はギルド内を見渡す。
先ほどは気にも留めなかったが、今まで掲示物が貼り付けてあった一角に扉らしきものがあった。
おそらく、あれが転移の扉だろう。
扉に近づいてみると、ウインドウが表示される。
≪マイルーム・エリアに転移しますか?転移する場合は対応した鍵を扉の前で使用してください。≫
というウインドウが出てきたのでメニューを開くと一覧に鍵の項目が増えている。
鍵の項目を選択すると、鍵一覧のウインドウに切り替わる。
マイルームの鍵①という項目しかないので選択する。
≪マイルームの鍵①を使用しますか?≫
と出たので、YESを選択した。
すると目の前の扉が開く。扉の先はダンジョンに入ったときのようなエフェクトが続いていた。
俺は扉の先に進む。
少し進むと一瞬で視界が切り替わり真っ白な部屋に出てきた。
辺りを見回していると目の前にウインドウが現れる。
≪このルームはデザインが指定されていません。設定を開始します。≫
本来はルームを購入するときに指定するらしいのでこんなウインドウは出ないらしい。
今回のような報酬で鍵を手に入れた場合のみ、入室時に設定する様だ。
俺は様々な項目を選択していく。
……………………。
「こんなもんかな」
設定を終えた俺は決定を押す。
すると、ただの真っ白い部屋が一瞬で変化する。
ちゃんと俺の設定したデザインになったようだな。
俺が選んだデザインはウッドハウス風の内装だ。変化したと同時に丸太から木の匂いが漂ってくる。
部屋の大きさは選べる最大の大きさを選択した。大きさは大体10m四方くらいだろう。
窓もつけることができたので丸窓をいくつかつけた。
外の風景もある程度選択できるようで、辺り一面を森のエリアにした。もちろん外に出ることはできない。
部屋の隅には木の宝箱が置いてある。これが保管庫だろう。
後ろを振り返ると、木製の扉がある。
マイルームから出るときは、この扉から出ると入ってきた場所に戻れるようになっている。
マイルームの設定も終わったところで、俺はイベントで手に入れたものを取り出していく。
まずは、洋館のインテリア一式を取り出す。内容はこんな感じだ。
・洋館のシャンデリア×1
・アンティーク調のテーブル×1
・アンティーク調のイス×6
・アンティーク調のポット×1
・アンティーク調のカップ×6
・アンティーク調の食器棚×1
なかなかのアイテム数だ。それにいくつか効果付きの物があった。
例えば、食器棚には入れた食器を自動洗浄する効果があったり、ポットには保温の効果が在ったりして、なかなか便利だ。
ウッドハウスの部屋にアンティーク調の家具を並べていくと森の中のコテージみたいな感じに仕上がった。
さらにもう一つイベントで手に入れた引き換え券(家具)を使用する。
券を使用するとウインドウが現れて、テーブルやイス等様々な家具が選択できるようだ。
家具の種類を選択すると、さらに様々なデザインの物が現れて選択できる様だ。
しばらくスクロールしてくといくつか現実で見たことがある家具があった。
おそらく財団に所属している会社の製品も選べるようになっているのだろう。
俺はしばらく考えた結果、券3枚を使用して本棚を3つ選択した。
洋館のインテリアのおかげで大体の家具がそろっている。
それなら本を集めた時の保管場所を用意したいと思ったわけだ。
保管庫に入れるのもいいが、やはり本は本棚に入れておきたい。
本棚は大体俺の背と同じくらいの物を選んだ。デザインもウッドハウスに合わせて木製のものにした。
食器棚を設置した反対側の壁に3つ並べてみた。
あとで総合ギルドに預けてある本を収めよう。
持っている本を入れても全然埋めることはできない。
知識の国を目指す間に、この本棚を埋めるのを目標にするのもいいかもしれない。
今はまだガラガラだが、この本棚が埋まるころには知識の国に着けていると良いな。
これで大体部屋の模様替えは完了した。
俺は先ほど設置したイスに腰かける。
テーブルにボウルを置き、果物や木の実を入れる。
それを見てハーメルがボウルの中に突っ込む。
その様子を眺めながらハーメルのステータスを開く。
結局、イベント中にハーメルを進化させることは無かった。
さすがにもう引き延ばす事にメリットは無いので進化させようと思う。
≪従魔ハーメルは進化が可能です。進化先を選択してください。≫
もう進化先は決めてある。
NAME「ハーメル」 ウイングの従魔
種族「ハイドラット ♂」LV25 種族特性 NEW「隠遁」
HP 180
MP 310
筋力 9
耐久力 13
俊敏力 38 10UP
知力 11
魔法力 24
スキル
「危険察知LV5」「泥術LV4」「隠者LV4」「睡眠LV5」「逃走LV3」
これでハーメルは、より戦闘でも活躍してくれることだろう。
ただ、泥の特性が無くなったので泥術を使ってもらうときは注意が必要だ。
泥の中での行動阻害を受けるようになったのでハーメルを泥の中に突っ込ませるのは危険だからだ。
それでも、隠遁の効果はかなり便利なのでこの進化先を選んだ。
俺は保管庫に持っているアイテムを入れて、総合ギルドに預けてあるアイテムを取りに行くことにした。
……………………。
総合ギルドに預けてあったものを保管庫に移し、必要なものを分別していく。
ドンハールさんに生産職メインの人を紹介してもらうまでは、売ることはしない。
装備品を作る際に使う素材がわからないからだ。
ドンハールさんはクラン発足でしばらく忙しいそうなので、それまでは保管庫の肥やしにしておく。
それに待っている間に済ませておきたいことがある。
1つは、ファーストの図書館にある魔法教本の読破だ。なんだかんだ言って光魔法と風魔法を読破すれば図書館にある魔法教本を全て読んだことになる。
いまだ魔法攻撃は俺の担当だ。手札を増やしておきたいというのもあるし、終わりが見えているなら終わらしておきたい。
もう1つはDランクダンジョンへの挑戦だ。
イベントでだいぶレベルが上がったとはいえ、いまだフルパーティーではないのでクリアは難しいかもしれない。
それでもこれからの参考になると思うので一度挑戦しようと思う。
消費アイテムについては問題ない。
悲しいかな、イベントで手に入れたランダムプレゼントで大量に手に入れたのだ。
最初に出てきた料理セットはかなりの当たりだったのかもしれない。
一応、1つだけ消費アイテムではないものを手に入れた。
刀(初)
耐久値 ∞
ダメージ量 15
重量 2
そういえばこのゲーム内で刀なんて見たことが無かった。
スキル刀術や職業侍も見たことが無い。
もしかしたら剣士の上位職に設定されているのかもしれない。
今回のアップデートで増えたものが、たまたまランダムプレゼントで出たようだ。
俺はアイテムボックスの整理を終え、ファーストの図書館に向かう事にした。
ハーメルたちはマイルームで待ってもらう。
≪習得度が一定に達したため、スキル「風魔法」を習得しました。≫
風魔法の教本を読み終えたところでログイン時間の限界が来たので、一度ログアウトした。
昼食を食べ終えた後、再びログインして読書の続きを始める。
≪習得度が一定に達したため、スキル「光魔法」を習得しました。≫
光魔法の教本も読み終えたので迷宮都市に向かう事にする。
読みなれたのか少しログイン時間が残ったので、ラビンスに着いてからログアウトすることにした。




