68.イベント終了とアップデート情報
無人島に帰ってきた俺たちに新たに運営からメールが届く。
ミッション終了後はイベント終了時間まで自由にしていいという事だった。報酬はイベント終了後にランキング報酬とともに、まとめて渡されるらしい。
それと先ほどまで戦っていたボスのバックストーリーについて説明があった。
掻い摘んで説明すると、あのタコのようなモンスターはもともとこの世界にいたものではないらしい。
この世界のほころびから迷い込んだ異世界の生物だった。
創造神インフをもってしても追い出すことができず、封印することにしたらしい。
プレイヤーはその体質からか、生命エネルギーを吸い取られることが無かったので今回の試練として倒してもらう事にしたという話だった。
メールを読み終えた俺は、また砂浜でレベル上げをすることにした。
館の本も読み終えていたし、他のダンジョンに本が無いことは他のプレイヤーから聞いていた。
それにミッション後の館は混雑している。どうやら、司書から転職したくてもレベルが足りない人たちが押し寄せているという。
館での読書はかなり経験値を得られるのですぐにレベル10にできる。
なので、交代で書斎の本を読んでいるそうだ。
≪イベント開始よりゲーム内で3日間経過しました。サバイバルイベント「創造神インフからの試練」を終了いたします。プレイヤーの方々はそれぞれイベント開始時にいたポイントに転送します。イベント報酬やランキングについては後日、本ゲームのサイトに掲載します。≫
こうして、abundant feasibility onlineの第1回イベントは幕を閉じた。
イベント後にまたメンテナンスが入り、同時にアップデートがあるらしい。
プレイヤーもイベント前にいた場所に飛ばされた後、そのまま強制ログアウトされる。
強制ログアウトされた後、自室でしばらく呆けていた。
体感では確かに3日間を経験したはずなのに、実際には3時間しかたっていないというのはなんとも不思議な感覚だ。
とりあえず、のどが渇いたのでキッチンに向かう事にした。
俺がキッチンでジュースを飲んでいると、妹もキッチンにやってきた。
妹の分をコップに注ぎながら話しかける。
「ほら、のど乾いたろう。これでも飲んで落ち着け」
「う、うん。……プハッ。ありがとう、お兄ちゃん」
その後、お互いにイベント中の話をしながら夕食の買い出しをして、準備を済ませる。
まだ、食べるには早いので自室に戻り、abundant feasibility onlineのサイトを開こうとタブレットを起動する。するとゲームの運営からメールが届いていた。
内容を確認すると俺が何らかのランキングに入っているらしく、プレイヤーネームを公開するか否かの確認メールだった。
……ランキングに入れるような行動はとっていないと思うんだが?
答えは当然、NOだ。俺に名前を公開するメリットが無い。
逆に注目を集めるのは読書の邪魔になりかねない。
メールを返信した後、ゲームのサイトを確認するとイベントの事はまださほど書かれていなかったが、アップデートの情報は載っていた。
アップデート情報
1.レベルキャップを60まで解放
2.マイルーム・マイエリアの実装
3.クランルーム・クランエリア実装
4.土地の購入方法の公開
5.上位職・種族クエストの解放
この辺がアップデートで重要なところだろうか。
レベルキャップの解放は当然といえよう。
ラピスさんの話では、職業ランクでCランクに届いたプレイヤーはいるらしいが、ダンジョンランクがCに届いたプレイヤーはいないらしい。
おそらく30レベルでギリギリ攻略できそうなものがあるかどうかだったらしい。
攻略組と言われるプレイヤーでそれぐらいなのだ。普通のプレイヤーが30レベルになったところで攻略できるか怪しかった。俺としても助かる。
次にルーム・エリアの追加だが、どうやら土地の購入とは違うらしい。
俺たちが普段、行動している世界とは別の空間を用意したので、そこをプレイヤー個人ないし、クランで購入するらしい。
購入したプレイヤーないしクランには人数分の鍵が与えられる。この鍵はアイテムとは別にメニューから選択し、取り出すことができる。
アップデート後に各総合ギルドに転移の扉が設置されるので、そこで使用することで自分が購入した空間に転移される。
購入する時に空間の大きさやオプションを選択できるらしい。後で部屋の数を増やしたり、他の空間を購入することもできる様だ。
土地の購入は土地の主に交渉するか、王都での手続きが必要らしい。
自分の土地を手に入れる事が出来たら、そこからもルームやエリアに飛ぶことができるようになる。
ギルドで転移したときは、戻るときに同じギルドの扉前に戻る。
しかし、土地を複数持っていた場合、転移先を選択できるようになる。
ただし、プレイヤーが土地を手に入れるのはかなり難しいらしい。
最後に上位職・種族のクエストを開放とあるが、おそらくレベルキャップの問題で受けられなかったので、あっても意味がなかったのではないかと思われる。
この辺りは見つけた時に考えればいいか。
アップデート情報を読み終えた俺はタブレットを閉じ、リビングに向かう。
そろそろいい時間なので、夕食を食べるかな。
この後は閑話で掲示板と運営の話を挟もうかと思います。




