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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
3.第一回イベント
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66.ミッションへ

 日記をしまい、次の本を読んでいる時にふと気づく。

 もしかしたら、さっきの日記を読んで、海辺の小屋に向かうのが本来のシークレットクエストの順番だったのではないかと。

 何故なら、シークレットクエストを受注しましたというアナウンスを聞かなかったからだ。

 図書館で受けたシークレットクエストではしっかりアナウンスがあったというのに。

 今回はクリアの時にしかアナウンスが無かったのはそのためだったのだろうか。

 もう終わったことなので気にしても仕方ないな。

 俺は読書に集中し直すのだった。


 ……………………。


 読書を終えたのでダンジョンを出ることにした。

 この島のダンジョンは一度クリアするとボスと戦わずに最終フロアの帰還用魔法陣を使えるのはラピスさんに聞いていたので問題ない。


 結局、司書のレベルは21まで上がった。

 おそらく1か月で手に入れた経験値以上の経験値が手に入っただろう。

 ……少しバランスおかしくないか?

 俺としては知識の国にいけるのが早まるのでいいが。


 帰還用の魔法陣で館の外に出ると、辺りは少し白んできていた。

 どうやら、ミッションには間に合いそうだ。

 少し館から離れたところで食事を始める。

 これはラピスさんとの話し合いで決めていたことで、館の前で陣取っていると勘づく人が出てくるためだ。

 俺はハーメルたちとともにご飯を食べながらその時を待つのだった。


 ……………………。


「お兄ちゃん、お待たせ! 本当に読書で時間を使い切ったの?」

「ああ。何とかミッションまでに読み切ることができたよ」

「これで全員揃いましたね。それでは運営からの連絡を待ちましょう」


 しばらくしてハル、ラピスさんのグループと合流した。

 最初は俺以外のパーティーを誘ってみたらどうかと聞いたのだが、館の攻略法を知っている人は少ない方がいいという事でそのまま一緒にミッションに挑むことになった。

 俺たちが合流してすぐアナウンスが入る。


≪イベント最終日になりました。イベントミッションが発令されます。詳細はメールを送信しましたのでご確認ください。≫


 俺たちはそれぞれメールの内容を確認する。

 どうやらプレイヤーの読み通りのようだ。

 扉が解放されたので奥にいるモンスターを討伐してほしいという事のようだ。

 ただし、そのモンスターは辺りの生命エネルギーを徐々に吸い取っていく性質があり、扉から出てくる前に討伐せよというものらしい。

 モンスターが出てくるのはイベント時間以内に倒せば問題ないらしい。

 

 俺たちは館に入り最終フロアを目指しながら先ほどのメールについて話し合っていた。

 どうやらボスを倒したことでもボーナスが入るらしく、これ以上の情報秘匿は逆にこちらも首が絞まるのではないかと。

 話し合いの結果、一度ボスフロアを確認してから考えようという事になった。


 リッチのいたフロアに着いたが、ボス戦はする必要はないらしい。

 奥にある扉が半開きになっているようで封印は解除されているようだ。

 俺たちは頷き合い、扉を開けて先へ進んでいく。


 扉の先はしばらく暗闇でちゃんと前へ進めているのか不安になってくる。

 するといきなり浮遊感に襲われる。

 全員が慌てている間に急に視界が切り替わる。

 次に目にしたのは辺り一面の星空だった。

 いや、どちらかというと宇宙空間のようなエリアのようだ。

 しっかり足が地についている感覚があったので、無重力空間ではないようだ。


「ね、ねぇ。あれ何かな?」


 ハルの声に全員が前方を見る。

 それは深く濃い緑色をしたタコのようなモンスターだった。

 足の数は8本ではなく、数えきれないほどあるが。

 やや半透明に見えるので巨大アメーバのようにも見える。

 プレイヤーの中には苦手な人もいるだろうビジュアルだ。

 そして1人、確実に苦手だろう人物を知っている。


「いやーーー!」


 何を隠そうわが妹、ハルである。

 ハルの叫び声で俺たちの存在に気付いたようで、タコのようなモンスターがハルを中心に足?をこちらに伸ばしてきた。

 俺はハルを後方に突き飛ばす。他のメンバーもそれぞれに対応していく中、突き飛ばした体勢のまま相手の攻撃をもろ受けてしまった。

 すさまじい衝撃とともに俺の視界は真っ暗になった。


 次に目が覚めた時にはイベントの初期位置にいた。

 周りに俺の従魔たちもおり、全員デスペナ中のようだ。

 テイマーが死ぬと従魔も一緒にリスポーンする。

 どうやら一撃でHP全部持ってかれたようだ。

 装備が整っていなかったとはいえ一発でやられると思わなかった。


 そうしてデスペナ解除を待ちながら呆けていると、メールが届く。

 送り主はハルで先ほどの件の謝罪に加え、ミッションと館ダンジョンの事を拡散してほしいというものだ。

 メールを送れるくらいには行動速度は緩慢だが攻撃力がすさまじいらしく、タンクを担当しているプレイヤーも一撃で半分持ってかれたらしい。

 自分たちも館の情報を拡散するから知り合いに伝えてほしいという。

 ゾンビアタック?する必要があるかもしれないという事だ。


 ゾンビアタックは確か、リスポーン覚悟で何度もボスに挑むことだったか?

 しかし、俺のフレンドは片手の指で足りるほどなんだが。

 一応、確認してみるがコロたちは選択できない。

 どうやら別サーバーにいるプレイヤーとは連絡できないようだ。

 どちらにしろ救援を頼めないので、次のフレンドを選択する。

 選択できたのでそのまま、ボス戦と館の事を伝える。

 メールを出し終えた俺は先にもらっておいた食事をとりながら、デスペナ解除を待つのだった。

 


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