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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
3.第一回イベント
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61.館へ

 現在、件の館に向かっているが、俺の出番は無い。

 他のパーティーが蹂躙しているからだ。

 俺も一応戦えると言ったのだが、私たちでやった方が早いとハルとラピスさんに戦力外通告された。

 ここら辺のモンスターたちは比較的弱いものしかいないのだが、それでも作業のようにポリゴンに変えられるモンスターたちが哀れでならない。

 そうしてドンハール達、生産職パーティーとともに護衛されながら空き地に向かっていく。

 

 しばらく森の中を進んでいくと喧騒が聞こえてきた。

 どうやらプレイヤーの集団がいる空き地に着いたようだ。

 すると話に出ていた通りに大き目な建造物も見えてくる。


「さて、それでは一度食事をとってから館の攻略に挑戦しましょう」

「了解だよ! ラピスちゃん!」

「わかったよ。ラピスさん」


 俺たちは空き地の一角でご飯を食べる。

 木の実や果物を出してハーメルたちとともに食事をとっているとハルが声をかけてくる。


「お兄ちゃんはずいぶんヘルシーなメニューだけどボア系とか倒してないの?」

「ああ、砂浜でばかり戦っていたからな。全然、肉とかは持ってないぞ」

「海岸にいたなら魚介類系は?」

「俺が倒した奴らは食材アイテム何も落とさなかったぞ」

「は~。仕方ないな~、私のお肉とお兄ちゃんの果物と交換してあげるよ」


 俺は妹と食品アイテムを交換してもらう。

 海での戦闘でも魚介類系のアイテムが手に入らなかったので、2日目も植物由来の食品オンリーを覚悟していたため、妹の提案はとても助かった。

 俺は感謝しながら調理済みの肉をいただく。

 どうやら妹のパーティーに職業が料理人のプレイヤーがおり、手に入れた肉を調理してもらったもののようだ。

 俺はハルやラピスさんのパーティーメンバーたちと会話しながら食事を終える。

 

「さて、皆さん食事も終わったようですのでこれより難攻不落の館を攻略に向かいますよ」


 ラピスさんの宣言とともに館へ向かう。

 ペンダントはアイテムボックスから出したままにしてある。

 これはラピスさんからの指示だ。

 アイテムボックスに入れたままだと反応を示さない恐れがあるので出しておいてほしいという事だ。

 しばらく歩いて館の入り口にまで来る。

 ラピスさんの話ではもうこの館に挑むプレイヤーはほとんどいないらしい。

 トラップの難易度的にまったく攻略させる気が無いらしい。

 だからイベント終了までの娯楽ではないかとまで言われるくらいなのだそうだ。


「それではお願いします」


 俺はダンジョンである館の扉に触れる。

 キーアイテムを持つ俺が、ダンジョンの手続きをするのは事前の話し合いで決まっていたことだ。

 そうでなければキーアイテムが機能しない可能性があるためだ。

 ダンジョンに入るときに参加パーティーの数を確認するウインドウが出る。

 最大である4を選択すると館の扉が開く。

 

「それじゃあ。入りますね」


 俺たちは館の中に入っていく。

 入ってすぐにホールのような場所が広がっていた。

 高貴な人の別荘という割にはだいぶ質素な感じの装飾だ。

 シャンデリアは有るがそこまで大きくないし、壺などの装飾品も少ない。

 奥に廊下があり、その先に階段があるとハルが言っていた。

 ぶっちゃけて言うと1階は特に何もないらしい。

 モンスターもいない完全なトラップハウスというダンジョンらしい。

 他のプレイヤーも1階を捜索しつくしており、めぼしいものは無かったらしい。

 事前の打ち合わせ通りにラピスさんのパーティーに先導してもらい2階を目指す。

 多少、罠の類があったが気にすることなく階段までたどり着いた。


 階段を登りきると一本道の廊下になっており、左右に扉が並んでいる。

 ラピスさんの話ではどう頑張ってもこの廊下の中ほどで1階に突き落とされるらしい。

 一応ここからは俺が先頭に立ち進んでいく。

 これで罠が発動するようなら、行けるところまでの部屋を捜索してみることになっている。

 俺は一度振り向くと、ハルを筆頭に全員が頷く。

 それに頷き返した俺は1歩踏み出した。


 結論から言うと罠は発動した。

 踏み出した足が床に着いたと同時に落とし穴が現れて危うくそのまま落ちるところだった。

 ラピスさんやドンハールさんに引き上げてもらい、何とか落下は逃れた。

 しかし、これでペンダントがキーアイテムの可能性が下がった。

 ラピスさんたちもやや落胆気味だ。

 とりあえず、予定通りに部屋を1つ1つ確認していくことにした。

 部屋にはほとんどトラップは無いようなので安心して探索できる。


 まず階段から一番近い部屋に入る。

 どうやら女の子の部屋のようだ。おそらく日誌に出てきたキルナと呼ばれていた娘の部屋だろう。

 かなりの可愛い物好きだったのか、かなりの数のぬいぐるみがあった。

 ベッドもお姫様が使うような天蓋付きのベッドだったりする。


 キーアイテムを持つ俺以外の男のメンバーには部屋の外で待機してもらい、捜索を開始する。

 俺も極力、物には触らないようにしながら辺りを見渡してみる。

 するとベッドのわきにある机に写真立てがあるのを見つけた。

 どうやら入っているのは女の子がウサギのような生き物を抱えている絵のようだ。

 このウサギがペンダントを渡すべきペットだろうか?

 片耳に青い花の飾りがついている。

 もしかしたら手掛かりになるかもしれない。

 それ以外はめぼしいものは見つけられなかった。

 他のメンバーも同様のようで、この部屋の調査はここで切り上げて次の部屋に向かうことにした。


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