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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
3.第一回イベント
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58.海での戦闘

 砂浜エリアでの狩りが一段落し、持ち物と自分たちの状態を確認する。

 そろそろドロップ品を整理しておいた方がいいだろう。

 初心者エリアらしき森エリアで手に入れたものは消耗品以外順次、捨ててしまってもいいかもしれない。


 それ以外は特に気になることもなかった。

 問題なさそうなのでこのまま海岸に寄って行くとしよう。

 今のところ食べ物が植物由来の物ばかりなので魚介類も手に入れておきたい。

 ゲーム内で72時間連続で行動するのはこれが初めてなので、どれくらいの頻度で食事をとらなければいけないかわからない。


 日誌を復元した時のMP全消費した時に生じる満腹度減少のように、不測の事態で満腹度が減少することもあるだろう。

 その時に毎回、木の実や果物ではさすがに飽きる。

 昼間に砂浜で戦ったモンスターからは食材アイテムが手に入らなかったので、夜行性のモンスターに期待したい。


「クーーー!」


 海岸まで近づくと早速、ヌエが声を上げる。

 海岸線の砂の中から体長1mくらいのカニのようなモンスターが2匹ほど出てくる。

 両手のハサミがまるで大きな盾のような形をしていた。


 これはいきなり期待が持てそうな奴が出てきたな。

 ただ、俺が読んだ資料の中にこのモンスターは載っていなかった。

 とりあえず、いつも通りの作戦で挑む。

 俺はヌエに先制攻撃を指示する。

 指示通りにヌエがカニのモンスターに対して空からの先制攻撃をする。


ガキン!


「クー!」

「シュコーーー!」


 今までそれなりにダメージを与えられたヌエの嘴術が完全にはじかれた。

 確かに甲羅に目掛けて突っ込んではいたが、ここまで効果が無いのは初めてだ。

 ……戦うにはレベル不足の可能性が出てきた。

 俺は先ほどまでの格下に取る戦法はやめ、初級ダンジョンのボス戦で使った足止め戦法で戦うことにした。


「ハーメルは泥固めで、ヌエは俺と一緒にバインドの魔法で相手の動きを封じろ!エラゼムは動きの鈍った相手に攻撃をしろ。MPの消費は考えなくていい。アーツで確実に仕留めろ!」

「クーーー!」

「チュウーーー!」

「……」


「シュコ……」

「やったか……。皆もお疲れ様」

 

 2匹目のカニがポリゴンに変わるのを確認し、従魔たちをねぎらう。

 何とか倒すことができたが、俺たちのパーティーの問題点も浮き彫りになった。

 今回戦ったカニのモンスターはおそらくそれほど強くは無い。

 強さで言ったら昼間に戦ったシー・ハウスと同じぐらいの強さだ。


 だが、シー・ハウスの倍くらいの時間をかけてようやく倒すことができた。

 何故それほど時間がかかったか、理由は明白だ。

 シー・ハウスについては先に情報を持っていたことも大きいが、それ以上にこの2種類の戦闘スタイルが問題だ。

 シー・ハウスのステータスは魔法系の防御型、今回のカニはおそらく物理系の防御型だったのだろう。

 

 シー・ハウスと戦うときは魔法を牽制ぐらいにしか使っておらず、ダメージはエラゼムの斧で十分与えることができた。

 しかし、今回のモンスターはエラゼムの攻撃でも思ったようなダメージを与えられていなかった。

 このパーティーで攻撃魔法を持っているのは俺だけだ。

しかし、魔法力を大して上げていないので仮に魔法が弱点だったとしても、エラゼムの攻撃以上のダメージを入れられたかは微妙なところだ。

 早めに魔法が得意なモンスターをテイムしておきたいところだ。


 幸い、このカニのモンスターは足が速くないので足止めして逃げることもできる。

 まだ海の中から出てくるモンスターとは戦闘していないので、もう少しこの辺りで戦ってみよう。

 海の中にいるモンスターも相性が悪いようなら森の方に行ってみてもいい。

 俺はもう少し海に寄って行くことにした。


≪従魔ハーメルがレベルアップしました。≫

≪従魔ヌエがレベルアップしました。≫

≪従魔エラゼムがレベルアップしました。≫

≪テイマーのレベルが上がりました。≫

≪熟練度が一定に達したため、スキル「闇魔法」がレベルアップしました。≫

≪従魔ヌエの練度が一定に達したため、スキル「迷彩」がレベルアップしました。≫


 しばらく海岸線沿いに歩きながら戦闘を繰り返しているが、先ほどのカニ以外にも初級ダンジョンの海岸エリアで出てきた魚系も出てくるようになった。

 初級ダンジョンの時の奴よりレベルが高いのか、もろに攻撃を受けると無視できないダメージ量を受けるので、しっかり盾で防ぐようにしている。

 やはり海での戦闘は消耗が激しいうえ、時間がかかるのでそろそろ切り上げようと思う。


 あれくらい対応できなければ今後、知識の国を目指すのに支障をきたすな。

 最低限、あそこでまともに戦えるようになっておきたい。

 俺は従魔とともに食事をとり、レベル上げのために砂浜に赴くのだった。


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