57.小屋での考察
短めです。
読み終えた俺はこの日誌について考える。
アーツ修復を使用しなくてもかろうじて読めそうな状態だったので、他の人にも読み解くことはできたであろう日誌。
この内容がなんの意味もないという事はないだろう。
日誌に書いてある内容を要約すると。
“この島はもともと高貴な身分の一家の別荘があり、使用人たちが住んでいた。
高貴な人々が骨休めをするためにこの島に来ていた時に、動物たちの衰弱という異変が起こる。
それは日に日に島全体の生物に広がっていった。
その異変は病気などの類ではなく鑑定スキルをもってしても原因がわからなかった。
昔いた人々は異変を解決することができず、この島を離れたため現在は無人島になっている。
この島には高貴な家族の娘が飼っていたペットが今もいるかもしれない。”
イベントのバックグラウンドで、異変の解決もしてもらうというようなことを言っていたはずだ。
ここに書かれている事が今回のイベントの説明で言っていたことだろうか?
しかし、俺や従魔たちには今のところ体調に変化は見られない。
すでに異変が終わっているのか、異変の最初だけ起こることだったのか。
最終日にアナウンスがあると説明があったが、こういう形でいたるところで情報を集められるようになっているのかもしれない。
という事は、ここに書いてあるペンダントは何かしらの意味がある可能性がある。
そのペットが今も生きているかは不明だが、ペンダントが見つかれば何らかの形で届けることができるはずだ。
この日誌の持ち主のメッセージを受け取ったからには、できるだけ届けたい。
ペンダントを見つけることができたら一度、別荘の跡地を探してみるのもいいだろう。
もしかしたらペットの情報を得られるかもしれない。
それにこの日誌のように復元できる本があれば儲けものだ。
ただ、別荘の状態もひどい可能性は高いので、本については期待しない程度に考えていた方がいいかもしれない。
MPが回復するまでしばらく戦闘できないので小屋の中を探索する。
あのメッセージによるとこの小屋に件のペンダントもあるような書き方をしていた。
あの日誌のそばにあったと思われるが、おそらく小屋が崩れた時に瓦礫の下敷きになった可能性が高い。
ヌエとハーメルには周りの警戒をしてもらい、俺とエラゼムで小屋の瓦礫をどけながらペンダントの捜索をしていくことにした。
ある程度、大きな瓦礫を取り除いたらハーメルにも協力してもらって細かいところの確認をしてもらうつもりだ。
とりあえず上にあるものからということで、手始めに屋根の一部と思わしき廃材などを順番に取り除いていく。
長年、人の手で整備されなくなったせいかどの木材も腐食がひどい。
持ち上げた時に崩れることも多いし、いつ床が抜けるか分からないため、かなり時間がかかりそうだ。
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夕日も沈み辺りが暗くなってきたので一旦、捜索を終了する。
瓦礫だけでなく、船で使うと思わしき道具の残骸が多かったため予想以上に時間がかかってしまった。
大体、大きな瓦礫は小屋の外に出せたので、明るくなってから再び捜索しよう。
暗い中、見たことも聞いたことも無いペンダントを探すのは難しいからだ。
MPもだいぶ回復しているようなので、夜の狩りでもしながら夜明けを待つことにしよう。
「よし。それじゃあ、そろそろ行くとするか」
「クーーーーー!」
「チュウーーー!」
「・・・!」
≪従魔ハーメルがレベルアップしました。≫
≪従魔ヌエがレベルアップしました。≫
≪従魔エラゼムがレベルアップしました。≫
≪テイマーのレベルが上がりました。≫
何度か夜間戦闘をしてみたが、ヌエの偵察による先制攻撃が決まっているので、かなり有利に戦えている。
やはりヌエの種族特性は夜の戦闘で光る。
ヌエの種族特性である「飛行」と「夜目」は夜間の偵察にもってこいだ。
今のところは、ほとんどダメージを受けずに完封している。
先に見つけてさえしまえば、ハーメルの泥固めで動きを封じることができる。
あとはヌエに周囲を警戒してもらいつつ一方的な攻撃で撃破という流れになるわけだ。
気になる点としては、昼と夜で出てくるモンスターがすこし変わっている所だろうか。
どうやら夜行性のモンスターが活発になっているらしく、バット系やウルフ系が砂浜エリアで出てくるようになった。
今のところ、大きく戦い方を変えなくても問題ない範疇に収まっている。
これなら、戦いにくそうな海を覗きに行くことぐらいできそうだ。
今いる場所にいるモンスターから手に入るドロップ品はレアドロップを除いて手に入ったと思うので、少し海の方に挑戦してみよう。




