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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
3.第一回イベント
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54.イベント開始

 翌日、イベントに向けての調整が入りログインは午後からとなるため、残りの宿題を片付けながらその時を待つ。

 ゲームの合間に少しずつ終わらせていたのでこの待ち時間で終わらせられそうだ。

 春花も悲鳴を上げながら宿題を頑張っているはずだ。


 今回のイベントの目的は活躍するよりは、できるだけレベル上げをするつもりだ。

少しでも早く知識の国に行けるようにしておきたいのだ。

 運良く限定アイテムを手に入れるか、出会うのが難しいモンスターをテイムできればさらにうれしい。

 どうせ読書のできない時間が3日も続くなら、できるだけ今後のためになるように頑張りたいところだ。

 最後の日にあるミッションで活躍するのは難しいので、できればイベント中に見つけたいところだ。

 宿題を終わらせつつ俺は今回のイベントでの目的を考えるのだった。


 昼食を終えてログインする。

 春花も宿題を終わらせる目途はついたようなので一安心だ。

 ログインした俺はファーストの図書館前にいた。

 ギリギリまで図書館で本を読んでいたから当然だ。

 俺は従魔を連れて図書館から少し離れたところに移動する。

 普段の連続ログイン時間は3時間だが、イベントの関係上30分間の猶予があるのでここで従魔たちとともにご飯を済ませる。

 イベントエリアがどんな場所か知らないが、すぐに食べ物を確保できるかわからないので先に満腹度を回復しておくことにしたのだ。


 少ししてアナウンスが聞こえてくる。


≪これより第一回イベント サバイバルイベント「創造神インフからの試練」を開催します。≫


 そのアナウンスの後、今まで公開されていた情報も含めて今回のイベントの詳細が語られた。

 今回のイベントはプレイヤーがいくつかのサーバーに分かれて無人島エリアに飛ばされる。

 プレイヤーには最後の1日に発令されるミッションに向けて2日で準備を整えてもらう。

 イベント中の行動で様々なポイントがプレイヤーに与えられる。

 プレイヤーが得ているポイントはイベント終了後まで公開されない。

 

イベント終了後は様々なポイントのランキングが発表され順位に応じて景品が与えられる。

 今回のイベント中に得られる経験値はいつもより多いこと。

 イベント中にレベルがカンストした場合はそのあとに得られる経験値は戦闘系のポイントに割り当てられる。

 イベント中にプレイヤー、もしくは従魔が死亡した場合は初期地点にリスポーンする。

 

 デスペナはプレイヤー、従魔両方とも1時間は初期地点から行動不能。

 ただしその間、周りからの攻撃は受けない。

 最終日のミッションの詳細はゲーム内の最終日で朝6時にアナウンスがあること。

 イベント内でテイムしたテイムモンスターはパーティーが上限だった場合、その場で入れ替えるか、テイマーギルドへ転送かを選べる。

 入れ替えた場合、パーティーから外した従魔がテイマーギルドへ預けられる。


 そのあとに今回のイベントのバックグランドの話があった。

 プレイヤーが現れて1か月。そろそろ他の国に行く準備が整う時期にきて、創造神インフは一計を案じた。

 今のところプレイヤーはある程度決まったパーティーで行動していることが多い。

 交流の活性化を促すために来てもらったのに効果が薄くなるかもしれない。

 もっと大きな集団で行動することを経験させれば、もう少し交流が進むかもしれない。

 なので、皆で協力するような試練を与えることにした。

 それと同時にある異変の解決をしてもらう。

 ただ、試練だけでは申し訳ないので、成長の促進と試練を乗り越えるのに貢献したものに褒美を用意した。

 という設定らしい。


≪それでは第一回イベント「創造神インフからの試練」開始させていただきます。≫


 そのアナウンスとともに俺の視界はまばゆい光に包まれた。


 ……………………。


 光が消えると同時に視界に飛び込んでいたのは視界いっぱいに広がる森だった。

 ただ自分がいる辺りは、少し開けた場所になっている。

 辺りを見渡すとハルやラピスさん、ドンハールさんのパーティーがいるのが見えた。

 どうやら周りを確認しながらどうするか相談しているようだ。

 そう思ったらハルのパーティーメンバーと思しき一団が、ラピスさんやドンハールさんのパーティーに声をかけに行くのが見えた。


 どうやらイベントの相談ではなく、声をかけるタイミングを見計らっていたらしい

 もともとゲーム内で有名だというラピスさんたちの誘いを受けて沸き立っていたようなので、声をかけたくてうずうずしていたのだろう。

 しばらくすると、俺の視線に気づいたのかハルとラピスさんが近づいてくる。

 

「お兄ちゃんも問題なくこれたみたいだね」

「ウイングさんはこの後どうするつもりですか?」

「とりあえず、辺りの散策からかな? ラピスさんやハルはどうするんだ?」

「私たちもとりあえず散策してからちょうどいい狩場を探すかな?」

「そうですね。ハルやウイングさんのパーティーメンバーのレベルから見ても私たちの狩場と重複は無さそうですし、辺りを見渡してもすぐに協力が必要な感じではありません。デスペナがあるとはいえ復帰は可能ですし、ひとまずここで解散して何か助けが必要な時に連絡を取り合う方がいいと思います」

「そ、そうか」


 大好きなゲームの話だからか、ラピスさんが饒舌だ。

 ついでに俺たちを誘った目的の補足をしてくれた。

 こういうイベントではランキングがつきものなのだそうだ。

 絶対、撃破数ないし撃破時のポイントランキングがあると思い、トッププレイヤーとの狩場の重複を嫌ったそうだ。

 そして読みがほぼ当たったので余計にテンションが高いらしい。

 ただ、懸念として4パーティーと指定されていたことに対して、何かしらの意味がある可能性があると言っていた。


「それではお互い頑張っていきましょう」

「お兄ちゃんも何か手助けが必要なら遠慮なく連絡を頂戴ね!」

「ああ、自分なりに頑張ってみるよ」


 そう言って俺たちはそれぞれのグループに分かれて森の中に入っていくのだった。


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