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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
2.迷宮都市(初級ダンジョン編)
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45.イベントの詳細

 それから数日、俺は初級ダンジョンの1階層から4階層までで戦闘を繰り返していた。

 最初の失敗があったのでかなり慎重に進んでいる。今までで行ったフロアの特徴はこんな感じ。


 迷宮エリア  最初に俺が来たエリア、壁・床・天井全てが煉瓦でできている。でてくるモンスターはゴブリン・スライムなどファンタジーの定番を中心に小型のモンスターが多い。


 砂漠エリア  今のところ1番難しいエリアでアイテムの消費も多い。辺り一面が何もない砂漠地帯でモンスターが砂の中から出てくるのが特徴。種類は虫・蜥蜴系が中心。


 森林エリア  視界いっぱいに木々が生い茂り地面は腐葉土で覆われている。個人的にはハーメルやヌエのエサになるものが手に入るのでとても助かる。モンスターの種類はウルフ・サル・虫系が多い。


 海岸エリア  砂浜と海があるエリア。海岸線に沿って行けば確実に次の階段に着くので迷うことは無い。しかし、海のモンスターが攻撃してくるので真っ直ぐに進むのは難しい。種類は魚系と甲殻類が主である。食材アイテムをよくドロップする。


 湿地帯エリア ハーメルとヌエが最も活躍できるエリア。どこに行っても泥があるのはこれほどまでに楽なのかと思った。ヌエも種族的には鶴であるため動きやすいようだ。出てくるモンスターは鳥・虫・爬虫類系だ。ちなみにここで品質の悪い稲が採れる。味はお察しだが農家プレイヤーの努力に期待したい。


 この5つのエリアに加え、昼夜が存在する。夜になると上記のモンスターに加えて夜行性のモンスターが追加される。モンスターの種類はコウモリやフクロウ等、飛行するタイプが多く昼間の時のエリアより難易度は跳ね上がる。俺も最初に入ったときは死ぬかと思った。


 どうやら6階層以降はこれに加えてさらにエリアの種類が増えるらしい。

 現在、俺の職業テイマーやハーメル、ヌエのレベルが10に達している。エラゼムは必要経験値が多いようでレベルは7だ。やはりレベルが10を超えるとレベルが上がりにくくなるようでそろそろ初級ダンジョンの前半でのレベル上げは厳しいようだ。

 だいぶ戦闘にも慣れてきたのでそろそろ5階層の中ボスに挑戦してみてもいいかもしれない。


 昼食を食べている時、春花がこんな話をしてきた。


「そういえばお兄ちゃん。abundant feasibility onlineのホームページは見た?」

「なんだ? またアップデートの通知でもあったか?」

「違う違う。前に告知されていたイベントの詳細が来ていたんだよ」


 そう言えばそんなのもあったな。


「それでね、瑠璃ちゃんが一緒にやらないかって誘ってきたんだ」

「なんでだ?確か結構なゲーマーなんだろう?いつもの決まったパーティーの方がいいんじゃないか?」


 確か前の告知の時にパーティー単位での参加とあったはず。俺たちを誘うメリットは無いはずだ。


「それなんだけど、一度告知を見た方がいいかな?ご飯食べ終わったらネットで調べてみるといいよ」


 そう言われたので食後、片づけを終えた俺はネットでイベントの詳細を調べてみる。

 ホームページに載っていた詳細はこうだ。


1.イベント中に限り現実で1時間の経過を、ゲーム内で1日の経過に延長する。

2.イベントはゲーム内の時間で3日間開催される。そのためイベント30分前からログインでき、その30分は連続ログイン時間に含まれない。

3.基本的にはパーティー単位の参加である。パーティー内のレベル差が10未満であること。

4.ただし4パーティーでレイド登録しておけば同じ場所からスタートできる。

5.レイド申請していない場合、ランダムで4パーティーが同じところからスタートする。

6.装備や生産道具以外の持ち物の持ち込みは禁止。参加時に持っていたものは一度総合ギルドに預けられ、イベント終了後カウンターにて返却される。

7.最後の1日に一大ミッションがあること。

8.イベント開始時には自動的にイベントエリアに転送されるためログインしていればどこにいてもいい。


 こんな感じか。つまり瑠璃さんは最初のスタート地点を同じにしないかという事か。

 一体どんなメリットがあるのだろうか?というか俺がテイマーであることを知っているのだろうか?

 春花が話しているかもしれないが、その辺は確認が必要だろう。

 それから持ち物がほとんど持ち込み不可はかなり厳しいな。全て現地調達する必要がある。

 このゲームはルール上、戦闘職の他にもう1つ職業があるので何とかなるだろうか?

 ……リーンみたいなビルドでは厳しいか。

 そして一番重要なのはやはり体感時間の延長だろう。どうも普段からやるのは運営の対応やサーバーの負荷的に厳しいようだが、短期なら可能なようだ。


 自室から出ると春花はまだリビングにいた。


「あれ、ログインしなくていいのか?」

「うん。瑠璃ちゃんの話が来た時点でパーティーで相談していたんだ。瑠璃ちゃんってゲーム内ではそれなりに知られててね、そんなプレイヤーからのお誘いだからみんな浮き足立っちゃってね。絶対一緒に参加したいからお兄ちゃんの説得をよろしくだって」

「その件なんだが、俺がテイマーであることを瑠璃さんは知っているのか?それに俺たちを誘ってメリットはあるのか?」

「そのことね。一度瑠璃ちゃんとゲーム内で会った時に大まかには話したよ。だからおそらく私のパーティーとお兄ちゃんのパーティーで誘ってるはずだよ。後、誘った理由だけど、同じようなレベルのパーティーが一か所に集まると狩場が競合して食い合いになるからだそうだよ。最後の1日にあるミッションの内容がわからない以上、いろんなタイプのビルドがいた方が協力できるかもしれないって」


 な、なるほどゲーマーにはゲーマーの考えがあるわけか。まぁ、3日間一緒にいるなら知り合いの方が楽か。相手も俺たちが弱いことは織り込み済みみたいだし問題ないか。


「わかった。その話は受けることにするよ」

「本当!よかった、これでパーティーの人たちにいい報告ができるよ。それにやっとお兄ちゃんとゲームできそうだしね♪」


 ……そういえば最初にそんな話もしていたな。今回はいい機会かもしれない。


「それじゃ、報告の為にもログインしてくる!」


 そう言って春花は自室に戻っていった。

 さて、そうと決まれば今後の予定を少し変更する必要がありそうだな。

 そんなことを考えながら俺も自室に戻るのだった。


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― 新着の感想 ―
上の兄弟に遊んでもらいたいのはわかるな恥ずかしくて自分からは誘わんけど向こうから誘ってくれたら尻尾振って行くレベル
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