表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
2.迷宮都市(初級ダンジョン編)
43/268

39.従魔購入

 扉を開け中に入ると、とても広いホールのような場所が広がっていた。

そして中では様々なモンスターたちが思い思いに過ごしている。


「ここ以外にも限定的な場所で生息しているタイプはまた別の部屋にいるわ。沢山いるけど一時期よりは減ったのよ」


 普段あまり出ないはずの殺処分もそれなりに出たと悲しい顔をして説明された。


「それじゃ、私は入り口で待ってるから。いい子がいたら声をかけてちょうだい」


 それからホールの中を歩き回りながら良さそうなモンスターを探す。

 スライム、イーグル、ゴブリン、ウルフ等いろいろいた。

 しかし、それなりに戦闘できるモンスターは貴重なのかあまりいない。

 だがこの広いホールの中で一際目立つ存在がいた。

 

 ホールの奥の方、最初は置物かと思った。

 このホールとは場違いなので近づいて確認してみる。

 俺より背の高い黒い甲冑が身の丈ほどの大きな斧を持っていた。

 すこし観察しているとわずかに甲冑が動いた気がした。

 俺は驚き甲冑を凝視する。


「その子はリビングアーマーというモンスターよ」


 入り口にいたはずのギルド職員が声をかけてきた。

 詳しく聞いてみるとこの甲冑はリビングアーマーというレイス系のモンスターで、まさに動く鎧という事だ。


「そしてリビングアーマーは最初に持っている武器で個体差が出てくるモンスターなのよ」


 そして斧使いタイプは大きな欠点があるらしい。


「攻撃力はすさまじいのだけど、移動速度は私たちが歩くより遅いくらいの速度が最高なの」


 レベルを上げればいいじゃないかと思ったがそう簡単な話ではないらしい。

 移動速度が遅いので戦闘の時はモンスターに近づこうとしてもすぐに逃げられるし、近づいても躱される。

 貢献度の高さで取得経験値が分配されるルール上、攻撃が当たらないし補助もできない奴に入る経験値等無いに等しい。


 そのうえ、従魔のレベルアップで上がるステータスは従魔の行動を基準に自動で振り分けられるので、鈍足のこいつが俊敏力を上げるのは難しい。

 戦闘で役に立たない上に移動の阻害になるので手放すというわけだ。

「剣とか槍のリビングアーマーなら歩くのについていくぐらいはできるのだけど、大盾・斧などの重量物系の装備だと全然追いつけないのよ」

 このリビングアーマーも元はプレイヤーの従魔だったようだが、使えないと手放したようだ。


「……」

 リビングアーマーは少しも動こうとせずそこに鎮座している。

 どれだけ遅いか知らないが俺たちには関係ないな。

 そこまで急いでないし、足止めや行動阻害系のスキルもある。

 何よりこのままだとこいつはずっとここにいることになりそうだ。

 ずっと動かなくてもいいというのもポイントが高い。

 ハーメルたちとも相性が良さそうだ。


「俺はこいつがいい。いくらかかる?」

「本当にいいの? こう言ってなんだけどプレイヤーの人は遅いのは耐えられないんじゃないの?」

「いい。俺たちは急いでるわけじゃないからな」

「わかった。でもファーストから来たばかりなら、お金があんまりないんじゃないの?」


 ぐふっ、そうなんだよな。

 もともと安全のために報酬が少ない町中クエストばかりやっていたし、リーンを送るのに食品を買ってさらに少なくなっている。

 俺が悩んでいるとギルド職員が提案してくる。


「リビングアーマーは食費はかからないからあなたの今あるお金全部でなら譲ってもいいわよ?」

「あんたがそんな事勝手に決めていいのか?それに食費がかからないなら、そこは大事にするなら譲るぐらい言ってもいいんじゃないか?」

「これでもこのテイマーギルドの支部長ですもの。それぐらいの権限はあるの。それに維持費って建物の管理も含むからさすがに無料は無理ね」


 なんとこの人がここの支部長だったのか。

 最初の印象が最悪だったから偉い人だとは思わなかった。

 そんな考えが顔に出ていたのか。


「最初の事は悪かったわね。こっちも気が立っていたとはいえ長に立つ者の態度ではなかったわ。そのお詫びに本来の料金よりはかなり安くしているのよ?」


 まぁ、こいつを仲間にできるというのなら悪い話ではない。

 俺はそう思い手続きに移ることにした。


 リビングアーマーを連れてカウンターに向かう。

 歩きながらリビングアーマーについて説明を受ける。

その時にふと名前を聞いてなかったなと思い確認しておく。


「私の名前? ……そういえば名乗ってなかったわ。なら、名乗らせてもらうわ。迷宮都市ラビンス、テイマーギルド支部長キレーファよ」

「俺も改めて名乗らせてもらおう。プレイヤーのウイングだ」


 おそらく最初の自己紹介は聞いていなかっただろうと思い、もう一度自己紹介する。


「ウイングね、覚えたわ。さぁ、従魔の譲渡を済ませましょう」


 キレーファとカウンター越しに向かい合う。

 リビングアーマーは俺の隣で待っていた。


「それでは手続きを始めます。迷宮都市ラビンス、テイマーギルド支部長キレーファがプレイヤーのウイングに従魔リビングアーマーを譲渡します」


≪ リビングアーマー がキレーファより譲渡されました。名前を付けてください。≫


 NAME「」 

種族「リビングアーマー」LV3 種族特性「魔法生物」「鈍足」

 HP 100

 MP 50

筋力 20(+2)

耐久力 20

俊敏力 10(-9)

知力 5

魔法力 15 

 スキル

「斧術LV1」「不動心LV3」「筋力上昇LV1」


 どうやら前につけられた名前は消えるらしい。

 ……それにしてもずいぶん強く見える。

 俺の従魔が戦闘系じゃないからかもしれないが、普通にプレイヤーの初期値を上回っている。

 ただ、種族特性の影響で俊敏力が最低だ。

 詳しく確認してみよう。


 特性

「魔法生物」   呼吸・食事の必要がない。ただし、定期的に魔力を必要とする。

「鈍足」   俊敏力にマイナス10する。(ただし、1を下回ることは無い)レベルアップ時に上がる俊敏力は最大で+1までになる。


 スキル


「斧術」LV1  アクティブスキル

 アーツ  

・LV1  スラッシュ 消費MP10 ・・・基本技。斧に力を込めて振りぬく。効果は筋力に依存する。



種族特性の「魔法生物」は確かに食事が必要なくなるな。

そのかわり、テイムした時点で必要な時に勝手にMPを持ってかれるようになるらしい。

そして問題の「鈍足」だが、剣や槍のリビングアーマーなら初期値で12以上はあるらしいので歩くのにはついてこられる。

しかし、こいつは初期値が10のためデメリットを払拭するのに最低でも2回レベルアップする必要がある。


しかも1ずつしか上がらないのだ。それも絶対に俊敏力が上がるわけではない。

実際に戦ってみないとわからないが、ウルフやイーグルが最初だとこの遅さは耐えられないだろう。

スキルは特に語るところは無いな。

強いて言うなら不動心スキルが高いぐらいか。


 そこまで確認してキレーファに料金を払う。

 これで完全に文無しだ。

 さて、名前を考えるとしよう。


 ここで出す従魔の方向性は決めていましたが、パワータイプの鈍足は

かなりいろいろな作品で出ているのですごい悩みました。(;^_^A

 あまり凝ったやつだと自分が管理できなくなるので王道で行きたいと思います。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
斧使いは最初の方は鈍足なのはお約束だよねぇ
[一言] ただで貰おうとするなw
[一言] 色物がお好きと(笑)
2020/02/18 21:54 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ