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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
1.彼がゲームをする動機
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31.図書館のクエスト

「それじゃあ、1日の午後からよろしくお願いするわね」

「ああ、わかった。またゲーム内でな。」


 夏休み前、最後のホームルームを終えた俺たちはそんな会話をして別れる。

 委員長の話では8月1日の午後1時くらいからログインするそうなので、俺もそのタイミングでログインできるようにしておかないとな。


 ……………………。


 それから数日の話をしよう。

 とはいっても俺のすることは変わらない。

 1つか2つクエストをこなし、図書館に籠り読書を楽しむ。

 その繰り返しだった。

 現実世界でも夏休みの宿題をしたり、本を読んだりいつも通りだ。

 時々、リエリアさんの孤児院に行き子供たちの相手をしたり店主のもとで料理の修行をしたりもしたが、特段話すようなものは無い。

 しいて言えばまた読書している本の最後のページの模様を見つけてメモに取ったくらいだった。


 ……………………。


≪司書の目録(中)の記録が一定まで達しました。司書ギルドに提出してください。≫


 もう小説エリアの本もほとんど読み終わったころ、そんなアナウンスが流れる。

 これでゲーム内で深夜の時間にログインしても読書を続けられるな。

 俺は図書館を出ると司書ギルドに向かう。

 

「確認しました。イニシリー王国、「始まりの町」ファースト、司書ギルド副支部長カーナがプレイヤー、ウイングのDランク昇格を認めます。これで夜の図書館にも入れるようになりますね」


≪司書ギルドのランクがDランクに昇格しました。ギルドカードをご確認ください。≫


 ギルドカード


 総合ギルド   E   15P

 テイマーギルド   F   7P

 司書ギルド    D


 所持金   6000ラーン


「それではDランクになったので夜の図書館の利用法について説明させていただきます」


 カーナさんの話では閉館時間の図書館の扉にギルドカードをかざすと自動的に扉の錠が開いて入れるようになる。

 この方法で入ろうとしても、司書ギルドDランク未満は結界により扉の中に入ることはできない。

 普段の開館時間の開閉方法はその権限を持つ者に口伝で教えられるので、今は話せないとのこと。

 俺はお礼を言うと読書に戻るのだった。

 

 一度ログアウトした後再びログインする。

 今回は先に読書から始める予定だ。

 何故かと言えば今回のログイン中に小説エリアの本が読破できそうだったので、クエストに集中できそうにないので先に済ませてしまおうというわけだ。


 しばらく読んでいるとまた模様の入ったページを発見する。

 メモを確認するとちょうど10冊目の本のようだ。

 言語スキルで解読すると唐突にアナウンスが流れる。


≪条件を満たしたことを確認しました。シークレットクエスト 運営の遊び心(23) を受けますか?

 YES/NO≫


 そんなアナウンスが流れてくる。

 ……もはや運営が思惑を隠す気はないのか。

 内容はわからないが図書館に関わるクエストなのは間違いないと思う。

 せっかくなので俺はYESを押して受けてみることにした。


≪シークレットクエスト 運営の遊び心(23) を受けました。それでは頑張ってください。≫


 何!? クエストの内容を教えてくれないのか。

 つまり内容は条件を満たした時点でわかる状態になっているという事か。

 とりあえず今までメモした内容を確認してみる。

 するとどうやら解読した内容に法則性があるようだ。

 それぞれ見えた文字は違うが文字数が同じなので組み合わせてみると。


 ほんのたい・るで(数字)・め、さくしゃ・なま・で(数字)つ・


 数字の方はそれぞれの本で違ったが、文字の方は重複していたので大体これでいいはずだ。

 解読できなかった部分も補完すると「本のタイトルで(数字)つ目、作者の名前で(数字)つ目」となるだろう。

 ここで模様があった本のタイトルと作者を確認してみる。


 ショルダータックルウゥゥ    著者  クモン


 ん~まいグルメ旅        著者  イータ


 ルンルン放浪記         著者  マタンドー


 月明かりの約束         著者  カラン


 飛べ!僕の飛行機        著者  ンーダバ


 宵闇              著者  コット


 デデン             著者  ショーパン


 のどかな物語          著者  トッタリー


 奏でる君は           著者  オリバー


 また逢う日まで         著者  マルーコ


 これにそれぞれの数字を当てはめると


 ショルダータックルウゥゥ  5  著者  クモン   6


 ん~まいグルメ旅      7  著者  イータ   10


 ルンルン放浪記       2  著者  デルター   8


 月明かりの約束       10  著者  カラン   3


 飛べ!僕の飛行機      4  著者  ンーダバ   4


 宵闇            1  著者  コット    9


 デデン           8  著者  ショーパン  2


 のどかな物語        3  著者  トッタリー  1


 奏でる君の         6  著者  オリバー   5


 また逢う日までは       9  著者  マタンドー  7


 数字の順番でタイトルと著者の名前の頭文字を並べていくと


タイトルの方は

 よるのとしょかんでまつ


著者の方では

 としょかんおくまでこい


 となるので、おそらくこのクエストを受けた状態で閉館時間を過ぎた図書館の奥に行くと何か起きるという事だろう。

 これが偶然の一致という事はあるまい。ミスリードの可能性はあるが、序盤も序盤でそこまで意地の悪い問題は無いはずだ。

 とりあえず今すぐにはどうこうできそうにはない。

 俺は読書に戻りその時を待つのだった。


 ……………………。


 夕食を食べ終えた俺は再びログインする。

 今までは夕食後のログインではゲーム内で深夜だったため図書館に入ることはできなかったが、今回からは違う。

 司書ランクがDランクになったので閉館時間を過ぎても中へ入ることができるのだ。


 司書ギルドも閉まっていたのでハーメルとヌエをテイマーギルドに預ける。

 モーフラさんがいなかったのでハーメルも一安心だろう。

 料金は種族と日数によって異なるがハーメルとヌエの2匹を1日で500ラーンだそうだ。


 5500ラーン

 

 図書館に着いた俺は聞いたとおりにギルドカードを図書館の扉に翳し、中に入る。

 薄暗いがテーブルのあたりにランプがあり、そのあたりなら字が読めそうなくらいの明るさだ。

 そう言えば視界を確保する方法を教わらなかった。

 またカーナさんが忘れたんだろうな。

 一応物にぶつからず歩けるだけの明るさはあるので奥へと向かう。

 すると一番奥の本棚の前に光る人型が見えた。


「メッセージを受け取りし者よ。試練を受けるか?」


 どうやらクエストが始まるらしい。

 俺はゆっくり人型に近づいていく。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 内容的にはほかの作品と違い主人公があまり突出していないので新鮮味があり楽しく読んでいます。 [気になる点] 暗号と数字の関係性がよくわかりません
[気になる点] どうしてタイトルと著者名に数字が対応するのかが分かりません。読み落としていたらすみません。
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