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読書好きが始めるVRMMO(仮)  作者: 天 トオル
1.彼がゲームをする動機
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30.買い物と妹の勘繰り

 モーフラさんに教えてもらった場所に向かうと


「オラッ」

「セイッ」


 威勢のいい掛け声が聞こえてきた。


 広場の前まで来ると数人の男たちが剣や槍等の近接武器で撃ち合いをしていた。

 俺は邪魔にならないように外周より広場へ入っていく。

 

 すると辺りには見覚えのある木の実がたくさん転がっていた。


「チューーーーーーーーーー」


 ハーメルがいつになく元気そうに走り回り木の実を集めて食べ始める。

 

 それを見た俺は苦笑しながら木の実を集め始める。

 袋はテイマーギルドを出るときに預かっているのでそれに入れていく。


 ……………………。


 しばらくして集め終わったので、戻る前に少し戦闘の見学でもしていこう。


「ここだ!」

「何を!」


 この人たちは剣と槍で撃ち合いをしていた。

 槍の方がリーチが長いから有利かと思いきや、剣の人はうまく間合いの内側に入り込んで攻撃を入れていた。

 槍の人も負けじと石突を使って相手をけん制している。

 

 外から見ていると何やっているのかわかるのだが、自分ができる気がしない。

 テイマーを選んでおいてよかったと改めて思う。


≪テイマークエスト エサがほしい をクリアしました。報酬 100ラーンをお受け取りください。≫

≪貢献ポイントがテイマーに1ポイント溜まりました。≫


「いや~助かりました~。またよろしくお願いしますね~」


 俺はテイマーギルドを後にして商店街の方へ向かう。

 俺の目的は食品アイテムだ。

 毎回あの店主のお世話になるわけにはいかないので、常に持ち歩いて置ける食品アイテムがあればまた世話になることもない。


 ……それにまたあの千切り地獄に落とされるわけにはいかない。

 商店街の中でもいい匂いがする方に向かう。

 いろいろなお店があるが俺が気になったのはパン系だ。

 持ち運びにはもってこいだろう。


 そう思いながら購入したのはこちら

 

  ホットドッグ  適度に香辛料を使ったソーセージのホットドッグ。


満腹度  40回復


200ラーン


  サンドイッチ  野菜とハムを使った基本的なサンドイッチ。


満腹度  30回復


 100ラーン


それぞれ5個ずつ購入した。


 3850ラーン -1500


 これでとりあえず大丈夫だろうか?

 次に服飾関係のお店を物色する。

 装備も初期のものだけなので、何かインナーになりそうなものでも探そうかと思う。

 ……食べ物以外に買い物に来たのは初めてかもしれない。


「いらっしゃいませー。何をお探しでしょうか?」

「はい。インナーになるようなものはありませんか?」

「それでしたらこちらになります」


 そう言ってお店の奥の方に案内される。


  麻のインナーシャツ  何の変哲もない麻で出来たインナーシャツ。通気性がよく、暑い地域で着用しているのをよく見る。


 耐久値 100

 耐久力 +1

 重量  1

 耐暑(微)を付与する


 800ラーン


 案内された先で一番性能のよさそうなものはこれだった。

 今は特にお金の使い道もないのでこれを購入することにした。


 3050ラーン -800


 この流れのまま武器を買いに行くのもいいが、どうせ俺は戦闘でも足止めぐらいしか役に立たないので買い物はここで切り上げる。


 またいつものように図書館に向かい本を読んでいると、また最後のページに模様が描かれたものを見つける。

 言語スキルで解読できた部分をメモしておく。

 どれだけの数あるかわからないが小説エリアですでに2つ目なのでかなりの数があるのか、はたまた小説エリアに集中しているのか。

 考察もそこそこに俺は読書に集中するのだった。


 ……………………

 

≪司書のレベルが上がりました。≫

≪ウイングの従魔 ハーメル は熟練度が一定レベルに達したため、スキル「睡眠」のレベルが上がります。≫

≪熟練度が一定に達したため、スキル「読書」のレベルが上がります。≫


 やっと読書スキルのレベルが上がったがアーツの類は増えなかった。

 ハーメル……俺が言えた義理は無いが、俺が読書している間ずっと寝ているのだろうか?

 ハーメルとヌエを引き取りいつも通りログアウトした。


 ログアウトしてリビングに向かうと妹がだらだらしていた。


「お兄ちゃんもお疲れ様」

「おう、その様子だとテストは余裕で大丈夫だったみたいだな。」


 俺がそういうと


「うぐ、今日の返ってきたテストの中でかなり危ないのはあったけど、何とか大丈夫だったよ。それよりゲームの話をしようよ」


 嫌な話になったからか強制的に話を変えてくる。

 まぁ、赤点じゃないなら特に言う事は無いか。


「俺としては毎回目的の事は出来ているから満足しているぞ」

「私たちのパーティーはようやく初級ダンジョンの中ボスを倒したところだよ」


 どうやら俺のもたらした情報のおかげでデメリットの強かった種族のパーティーメンバーが特性緩和アイテムを手に入れられたので、順調に進むことができるようになったらしい。

 そんな話をしている時ふと委員長との約束を思い出す。


「実はな俺のクラスの委員長がな…………(事情説明中)…………する約束をしたんだ」


 そこまで話すと春花は急にニヤニヤしだして


「ふーーーん。ふーーーん」


 何やら勘違いしているようだ。


「何考えているか知らないが、お前の考えているようなことではないと思うぞ」

「それはその日になってからわかることになると思うよ。お兄ちゃん♪」


 ……………………。


 そんな感じで委員長と合流する日までゲーム内の読書に勤しみながら過ごすことになるのだが、合流する前に俺はゲームへのスタンスが変わる大きな体験をすることになる。


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