29.委員長との話し合い
現在、小説の書き方は勉強中ですので前話と後話で文法が違うかもしれません。
俺は昨日と同じ理由で本日3回目のログインを見送る。
早くDランクに上がれればこんなことにはならないのにな。
次の日でテスト返却も最終日だ。
今日が終わればいよいよ夏休みが間近に迫ってくる。
「今日で最後だがテストは大丈夫だよな」
「ふふーーん。一番の鬼門は昨日突破したから問題ない!……はず」
……すこぶる心配だ。
「それじゃ、今日の放課後もよろしくね」
「おう、また図書室でな」
授業の合間の休憩時間に冨士崎とそんな会話を交わす。
もちろんゲームに関する予定の話し合いの為だ。
放課後になったので冨士崎とともに図書室に向かう。
昨日のごとく顔を突き合わせた俺たちは夏休みの予定について話し合う。
「昨日言ったことだけど少し変更があるわ。ゲームの機器が来るのは8月の1日だけど子供のほうが8月3日に来ることになったわ」
「ほう、それだと2日……いや1日と少しは余裕ができたわけか」
「そうなの。それでその子が言うには1日いっぱいログインできれば迷宮都市?とやらに着けると聞いたけど。本当?」
「ああ、普通に進めていけば問題なく行けるらしい」
俺のような明後日に向かうような奴じゃなければな……。
「そう?ただ私、生まれてこの方ゲームをやったことないから勝手がわからないのよね」
「abundant feasibility onlineはかなり自由度の高いゲームだからな、何をやりたいかから考えた方がいいと思うぞ」
「そうは言ってもね。本当に何をすればいいかわからないのよ。強いて言うなら早くその子と合流したいってことくらいかしら」
「うーん、そうだな。例えば魔法を使ってみたいとか俺みたいに趣味に走りたいとかは?」
「そうねー。現実の方で頭を使っているのにまた新しいことを覚えないといけないと思うと二の足を踏んじゃうわ」
「その子のステ……職業とか聞かなかったか?一緒にやっていくならお互いのサポートができる職業のほうがいいだろう」
「確か・・・そう! 魔法を使いたかったから魔法特化?みたいな感じらしいわ」
そうだな、魔法職のサポートで新しいことに挑戦する気は無しか。
「なら、無難に片手剣と小盾の剣士がセオリー通りでいいんじゃないか?」
「ごめんなさい。専門用語はわからないことも多いの。順に説明してくれる?」
俺は委員長に勧めたビルドの説明をする。
ファンタジーものでは使い古されたような定番の剣士スタイルであること。
魔法を使うつもりがないなら種族で近接特化の種族を選ぶこと。
スキルも剣術のほかに盾術やステータス向上系を選んだ方がわかりやすいことなどを教えた。
「ありがとう。早速ゲーム機が届いたら設定してみるわ」
「ああ、ゲーム内ではよろしく頼むよ」
俺はのちにこのビルドを勧めたことを後悔することになるのだが、それはまだ先の話であった。
委員長との話し合いも終わり帰宅する。
妹が先に帰っていることを確認し、赤点は無かったのだろうと胸をなでおろしながら自室に向かいログインする。
ログインするとゲーム内は昼間だった。昨日は結局千切り地獄でクエストを受けられなかったからな。今日は1つくらいこなすとしよう。
テイマーギルドに向かった俺はクエストを物色する。
今日はモーフラさんはいないのかやけに静かに感じる。
ハーメルもほっとしたように寝る姿勢を取ろうとしたその時
「あ~。ウイングさんいらしてたんですね~。ちょうどよかったです~。ちょうど受けてほしいクエストがあるんですよ~。」
その声を聴いた瞬間ハーメルはコートに潜り込む。
俺は気づかなかったことにして尋ねた。
「どうしたんですか。モーフラさん?そんなに慌てて」
「それが~先ほど預かったモンスターちゃんのエサが~在庫切れをしていたらしく~。エサをあげられないんです~。」
ん?預けてすぐに空腹になるだろうか?
俺が聞いてみると
「実は預けに来た人は~どうしても外せない用事があったようなのですが~。どうやらモンスター禁制の場所らしくて~。慌てて預けに来たそうなのですよ~。」
なるほどそれならあり得るか。
「それでそのエサとはなんですか?」
「それは~ハーメルちゃんも大好き~。エイコンの実で~す」
なるほどだからちょうどいいか、しかし
「すいませんがエイコンの実がどこにあるか知りませんよ」
「え~。なんでですか~。それじゃあハーメルちゃんはいつも何を食べているんですか~」
俺はナンカのクエストの件を簡単に説明する。
「成程ね~。それじゃ~簡単にセツメ~するよ~」
モーフラさんの説明によるとこの町の戦闘系ギルドが並ぶ通りを越えると大きな広場があり戦闘系の人たちが訓練に使っているそうだ。
そこの外周を覆うようにエイコンの木があり年中取れるそうだ。
……ドングリが年中?まぁゲームだしな。
「町中にあるなら自分で取りに行ってもいいんじゃないですか?」
「それが~今ギルドに私しかいなくて~。出られない状態なのですよ~」
それなら仕方ない、受けないとそのモンスターもかわいそうだ。
「わかりました。そのクエスト受けますよ」
「ほんと~ですか~。ありがとうございます~。それじゃ、お願いしますね~」
≪ テイマークエスト エサがほしい を受注しますか?YES/NO ≫
俺はYESを押しテイマーギルドを後にするのだった。




